自分以外の両親
美久の学校はどうやら別になるようだ。家は近くでも学区は違っていた。
「よく考えたら二人が一人のままで学校もクラスも同じになったら、体育の時に誠君にも着替え見られるようなものだったよね」
「残念だったね」
「これは、どう答えればいいんだ」
別に当たり前の事だったから美久と同じように特に何も思わなかっただろうが、今はどうなんだろう。
「ねえ、二人はさ、どんなことをおしゃべりするの?」
「基本的には情報共有かな」
「お互いが何をしたかとか、誰とどんな話をしたとか。気になったことだけを簡潔にね」
「それじゃあ私がみくちゃんと誠君に話している事が違ったらバレちゃうかも」
と怪しく笑う。どういうことかと思ったら、
「女の子同士は秘密の話があるからね」
美久がそれに冗談を被せ、二人で笑い合っている。
気を付けないと自分だけ仲間外れになりそうだ。
翌日、偶然町中で美久の両親を見た。当然だけど、病院の外で見かけた二人は美久側で見ていた時と全く変わらなかった。二人は何か話をしながら、たまに母が父の腕を引っ張って商店街を歩いている。いつも通りの仲の良さそうな姿。
自分は――、かつてはあの二人の子供だった。
近くまで寄って声をかけると、うちの娘の為にありがとうございました、と度重なる見舞いのお礼を言われ、ただの娘の友人として、どういたしましてとだけ答えた。




