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新しい生活
美久の両親が自分の事をどういう目で見ているか、どういう目で見るようになるかは懸念していたので美久の意見に異存はない。
「それと、携帯直った」
「本当?」
「これでちゃんと繋がるんならいいけど」
「試してみよう」
自分の携帯の電話帳から美久にかけてみる。驚くことに正常に繋がった。
「奇跡だ」
「大げさだね。でも……、自分達にとってはそれに近い」
「あとは距離が離れてからもう一度検証しよう」
これは助かる。
「文明の利器が使えるようになると、新しい生活のスタートって感じがするな」
「携帯一つで悲しい話だね」
美久の一言に二人とも笑った。
美久は退院後一旦姫路に戻った。埼玉に来るのは年明けの引っ越しの時になりそうだ。
新居は意外にもこちらの家の近くになった。どうやら事故現場のすぐ近くのマンションは不吉だと避けることになったようだ。
携帯は恐れていたようなトラブルは何もなく、これまでが何だったのかというぐらい楽に電話やメールで連絡を取れるようになった。
美久のメールを見ていくと、今の自分との違いがまた増えてきている。言葉の選択や考え方といった細かい部分だけど。美久もそんな風に思っているのだろう。
二人に分離して、もうそろそろで一か月か。




