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2/1 -いちぶんのに-  作者: 藍内
旅・故郷
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美久ではない自分

 園庭にたむろしている猫を横目に、名前の知らない木々で囲まれた遊歩道を通り、目的地へたどり着く。街の喧騒から離れたと言うか、逆に人混みに近づいたとも言えるか。見上げたそれはやはり大きかった。

 タイミングが良かったのか内部は観光客もそこまで多くなく、自分のペースで登れた

 何年かぶりに姫路城に来ている。時には交通の邪魔だと感じる事もあったが、その存在感の大きさは美久としての人生には何らかの影響もあったと思う。小学校の遠足以来であまり覚えてはいないが、薄暗い城の内部は印象に残っている。急いでいる訳ではないけれど、それらの展示物をじっくり味わうようなことはなかった。

 ただ、過去を追体験するように上まで行きたかった。

 最上階まで来ると外光が増えて明るくなった。少しだけ息が上がっている。

 窓に近づくと街が一望出来る。美久の生活圏は中心部から離れていて、ここからだとやや見辛い。けれど駅側の繁華街や大通りはよく見える。そう言えば遠足の時は持ってきた双眼鏡で、家や学校や遠くの山とかを眺めていたな。

 長年住んでいた街の見慣れない風景。いつまでも見ていたいと思えた。


 自分は美久でなくなった。

 静かにそう感じた。

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