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2/1 -いちぶんのに-  作者: 藍内
旅・故郷
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決別の旅

 気分は全く晴れない。時間が何か解決しているかと期待したが、二日程度では駄目なのか、その兆候はまだない。

 それでも病院には一応足を運んでいる。

 廊下からベッドの上に座っている美久の姿が見えた。窓側を向いていて表情は分からない。この病室は夕方に近い時間帯になると西日がよく入る。美久は病室から外の景色を見ている事が多かった気がする。気分転換になればと、自分も一緒に窓の外を眺めてみた。

 ――そうか。

 美久に声をかけ、一つお願いをしてみた。

「お金貸して」

「え?」

 美久は眉をひそめる。当然の反応だ。でも目的を話せば理解してくれるはず。

「姫路に行きたい」

 一瞬美久の動きが止まり、そして、

「分かった」

 と、返事があった。

「急だね」

「早い方がいいから」

「そう」

 理由を深く聞く事もされず、キャッシュカードを渡してもらった。

 帰り際に元気のない美久を励まそうとしたけれど、気の利いた言葉は思いつかなくて、

「リハビリ頑張って」

 としか言えなかった。

「毎日親に言われてる」

 ぶっきらぼうな返答だが、美久は笑っていた。更に、

「他人事みたいだね」

 と。

 そして追加でこうも言われた。

「いいね、怪我の無い人は」

「しつこいな」

 美久はもう一度にやっと笑った後、

「頑張って」

 と背中を押してくれた。


 貸してもらったキャッシュカードで美久の口座からお金を引き出す。前回の姫路行きで誠側の貯金はほとんどなくなっているから、仕方ない。暗証番号は知っている。

 自分のもう一つの生まれ故郷に行く。

 決別の旅になるという予感がした。


 それぞれが状況が違っても一生懸命考え、導き出した結論が同じになったなら、それが自分達にとっての答えだ。たとえ正解じゃなくても、自分達で選んだ道だ。

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