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2/1 -いちぶんのに-  作者: 藍内
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自分達の考え

「それは、申し訳ないとしか言えない」

「……冗談だよ。誠の方も、経済的な面で言ったら楽ではないしね」

「もういいとこ取りは出来ないからね。前はそういったメリットがあったのに」

「仕方がないよね。こうやって決まった以上、これまでのような役割分担じゃなく、それぞれの体で出来ることをやっていくしかないかな」

「仕方がない、な」

 美久の考えは寂しく感じる。

「本当にそう思う?」

「え?」

 咎めるような言い方。真剣な顔つきで美久はこちらを見ている。

「誠の考えが分からない。考えていることは変に配慮せずに言ってほしい」

 美久は怒っているのか? 何が言いたいんだ? 相手の考えが分からない事だけは同じだけど。

「誠はもっと過去の自分に執着があったはず」

「確かに――本来の自分が継続して欲しかったし、それがこんな形で別れ、変容していくのは避けたい」

「あの状態に歪みが起きていても?」

 それは分かっている。

「じゃあ今の状態がいいと思うのか? 自分の半身が引きはがされ、離されないようにしてもそれぞれが次第に別の形に変化して、一つにまとまりそうもなくなっていってる」

 自分のわがままのような言葉に美久はきっぱりと答える。

「自分達でコントロールできるものなら、そうやって抵抗するよ。だけどできない以上は、そんな力がない以上は新しい状態になったらなったでどうにかするしか、現状での最善を尽くすしかないよ。感傷に浸っていられない。分かってるでしょ?」

 美久の言っていることは正しい。それは薄々感づいていた事。

「誠は、二人に相違点があるのが許せない?」

「そこまではいかない、けど簡単には受け入れられない、最小限に留めたい」

「環境も肉体も違うんだから、これからどんどん無理が生じてくるよ」

 それも分かっているんだ。

「確かに、成長しないことを望んでいるようなものか、寸分たがわぬ発展を願うようなものだ。それは頭では理解しているつもり……。だけど心が……」

 お互いの意見をぶつけ合っているけど、ある意味では自分達の考えをまとめていく作業でもある。話せるものは洗いざらいさらけ出して整理していかなければ――。

 決意して恐る恐る切り出したのは、答えを知るのが良いとは限らない質問。

「本当に、今までの自分達が一つではなかったと思う?」

 言い終えるまで目をそらしていたが、怯えながらも美久の方に美久の様子を見ようと必死で顔を上げる。

 意外にも美久は眉を寄せて疑問の声を上げる。

「誠はそう思ったことがあるの?」

「え?」

 ――違うのか?

 美久は言う。

「自分はないよ。……それはあくまでも数ある仮説の一つ。大した根拠もない」

 肩透かしのような気分だ。

「ただ、これから別々の二人として生きていこうと考えた時に、そうであったという一つの可能性として考えられただけ」

「そうか、それはただの杞憂だったのか」

 それでも、もう一つの自分が認めたくなかった考えである、独立した二人で生きていくというのは美久の中では確立しているようだ。それは自分自身も、どこかで納得しなければいけないと、そう感じてはいる。だけど――。

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