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2/1 -いちぶんのに-  作者: 藍内
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新しい日々

 最近の習慣で、最後の授業が終わるとすぐに病院へ向かう。今日もそのつもりで手早く荷物をまとめて教室を出ようとすると、政也に呼び止められた。

「誠、何かあったの? もう一週間部活休んでるけど」

「ちょっと色々と用事があって……」

 お見舞いに行っていることもあるが、何より部活をするような気力がわいてこない。

 もう一週間か、早いな。

「そっか。体調悪いとかでもないんだよね」

「ああ、別に問題ないよ」

 美久と比べれば。

「それなら安心だけど……。昨日誠のお母さんにたまたま会った時に聞いてみたら何も知らないみたいで、なんかすごく気になってさ」

 それは少し困ったな。母には何も言っていなかったから。


 案の定、見舞い後に家に帰ったら母に質問攻めにあった。友達のお見舞いに行っていると言うと、

「え! 千夏ちゃんが?」

「違うよ。お母さんの知らない友達」

 美久の両親が今の自分を知らないように。

 不意に、左ほほに母の手が添えられる。何となく気恥ずかしかった。

「最近元気がないから心配だったのよ。何か悩んでいる事があったらお母さんに相談してね」

「……大丈夫だよ」

 母には、嘘を言うしかない。




 一日が過ぎればその次の日、それが過ぎればまたその次の日と続いていく。連続しない日々は、一人のままではいられなかった不連続な日々は、戻らない。

 自分が誠だけになってから日付の進みがとにかく早い。いつの間にか過ぎていく。一人分の時間しかないからだ。頭ではわかっていたけれど、実際に経験すると違う。余裕がない。他の人と比べて時間的なアドバンテージが無くなったら自分が凡人であると、これから先よく分かるようになるんだろう。



 美久はゆっくりとだが順調に回復してきている。

 しかし単純に回復だけを喜べなかった。時間が経つほど美久が別の存在になっていくのを感じるからだ。

 美久はどう思っているのだろう? 同じように思っていれば――。でも自分には、もう一人の自分の考えはもう分からない。

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