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2/1 -いちぶんのに-  作者: 藍内
それぞれの自分の世界
34/98

アドバンテージ

「今度の練習試合いつだっけ?」

 話は部活に戻った。

「来週ぐらいじゃなかったかな。相手は多分いつもの東中とか城北あたりで」

 その試合、監督の言っている通りなら自分と政也はスタメンで菊池はベンチになるだろう。政也はエースだから怪我か控えのメンバーを試すのでない限り確実に出場する。体格もいいし――菊池とは違う意味で――、足の速さもテクニックもうちではNO.1だ。

「飯田はサッカー始めたのは中学入ってからだよな?」

「うん、入ってすぐに政也に誘われて」

「誠なら絶対すぐにうまくなると思って」

「じゃあなんで俺は小学校から続けてもうまくなれないんだろうなー」

「菊池も頑張ってるんだけど……」

 政也は言葉を濁し、その先を口にするのをためらった結果、頭を抱えてしまった。

 見かねて助け舟を出してみる。

「やっぱり……自己管理じゃない?」

「うーん」

 そう言って菊池はコーラを豪快に飲み干す。


 そういったことをダラダラとしゃべって一休憩してから家路についた。菊池と先に分かれて政也と二人になった時――ちなみに菊池は帰り際「今日の晩メシなにかなー」とつぶやいていた――、どちらが先に始めたか、サッカーでどこまで行けるかという話になった。

 自分は、はっきりとした目標はないけどとりあえず現状のまま部活で頑張って、将来的な見通しが立ってきたらその都度考えるつもりだ。ただ……、政也とは比べものにはならない。才能も実力も。

 横目で政也の背と自分を比べてみる。政也の方が頭一つ分大きい。高校生になるころには多分政也のお父さんと同じく180cmは超えそう。幼稚園の頃は自分よりも背が低く、気の弱い性格もあって、とてもスポーツで活躍するような感じではなかった。それがいつの間にか……。成長期はすごい。

 自分は政也みたいになるのは厳しいと思う。誠の父の体型は、身長は並だったけど胃腸が弱いせいで食も細く、やせ気味だった。誠自身に遺伝しているのは身長だけで、体重は標準レベルなのでスポーツをやる上では不利な点はないけど、恵まれた体格でもない。

 さっきの菊池との会話を思い出す。小学校の頃から政也がサッカーやっているのは知っていたけれど、その時はきっかけがなかったからか特に誘われることもなかった。実は政也とは小学校一年以降からクラスが一緒になることもなく、一時は若干疎遠になっていた。だから中学で一緒にサッカー部に入らないかと、政也にしては珍しく強引に勧誘された時は驚いた。

 筋肉もついてきて、随分と体つきがたくましくなった政也の方を見る。

「政也はプロにはなるつもりはないんだったよね」

「なるつもりがないって訳じゃないけど、そこまで才能がないから多分無理だからさ。セレクションとか受けた時も周りに追いつくのに必死だったし……」

 サッカー部の中で政也の実力はトップだ。それでもプロを目指していこうとするには壁があるらしい。それに本人も言っていたけど弱気な性格――自分から見たら優しい性格――も競争の場所には向いてないみたいだ。

「とにかく一生懸命頑張って、高校とか大学で実力が付いたらチャンスはあるかもしれないから、やるだけはやってみたい」

「頑張ってね」

「誠はどうするつもり? プロの選手になることは考えてないの?」

「え?」

 政也にそんな風に言われるとは意外だった。

「中学から始めたのに簡単にレギュラー取れるなんて、才能あるんじゃない?」

「いやいや、全然大したことないよ。政也の相手にもならないし、無理だよ」

 自分のアドバンテージがある部分といえば美久の方では勉強を、誠の方ではスポーツをという分担ができることによる時間的・知能的なプラスぐらいだ。それによって状況判断や戦術理解などを進めやすかったり、誠の側では学校の勉強を最小限にして可能な限りサッカーに力を注げるようにしているけど、それは才能とは言えないはず。

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