始まり
今週から日曜日の投稿になりそうです。
基本的にはこうしたサイクルを繰り返す。自分の二重の人生は、二つの肉体に一つの命があるという点だけでなく、一日を二度繰り返すという点でも物理法則が無視されている。
この繰り返しが美久としては14年、誠としても14年、合計28年続いている。
これがいつから始まったのか分からない、けれど完全な一人だった記憶は全くなく、生まれた瞬間――勘ぐれば母親の胎内にいる時から――二人共が自分だったのではと推測している。
14年前の5月11日に二人とも生を受けた。それは傍から見れば何の変哲もない、祝福されるべき命の誕生だったはず。だけど、二つの赤ん坊の身体に対して誕生した魂は一つだけだった。
他人の体に乗り移ったり支配しているといった感覚もない。間違いなく美久の時は美久、誠の時は誠として自分は存在している。それどころか美久でいる時は誠の、誠でいる時は美久の、もう一方の自分の存在が疑わしく思えることさえある。
美久と誠が直接対面したことは未だない。実際に触れることが出来るのは、そこにいる一つ分の自分の体だけだ。そういう時、もしかしたら本当は、自分はたった一人ではないかと考えてしまう。
しかし自分が二人なのはこれまでずっと揺るぎない事実だ。たとえそんな疑問が生まれても、朝を迎えればいつもと変わらずもう一人の自分に切り替わってきた。




