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2/1 -いちぶんのに-  作者: 藍内
それぞれの自分の世界
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帰り道

 部活が終わる頃には辺りはすっかり暗くなる。

「疲れたよー」

 政也も他の部員も見るからにぐったりしている。

「まあ、もうそろそろでテスト前の部活休みになるんだから」

「それもまた疲れるんだよねぇ。誠はいいよな、勉強しなくてもテストの点いいから」

「そんなことないって。効率よくやっているだけ」

 一応嘘は言っていない。時間の取りやすい美久側で勉強時間を確保しているのが大きいけど、空き時間や、睡魔に襲われなければ授業時間を有効活用しているのも効果があるはず。

「誠はもともとの頭がいいからなー」

「俺の頭と入れ替えてくれよ」

 同じ二年の菊池(きくち)が絡んできた。

「政也なら大丈夫だって。心配しすぎ」

 そう言っても政也は不安そうな顔のまま。

「うーん、でもやっぱり英語が苦手でさあ」

「でも最近は成績良くなってきてるよね」

「俺は全教科苦手だぜ」

 菊池は胸を張る。

「残念だねえ」

 政也は本人が言うほど成績は悪くない。何だかんだでちゃんと点数取るし、勉強の仕方もよく聞いてくる。菊池はまあ、とりあえず平均点ぐらいは取ってるから、こっちも大丈夫だとは思う。

「そういや明日、社会の宿題の提出日じゃなかった?」

「一応終わった」

「俺も終わりそうだけど、あの先生何か宿題多くねえ? しかも嬉しそうにこれやっとけよー、って言うよな」

 菊池はぶつくさ言いながら着替えや帰り支度はテキパキと済ませる。いつも大体一番だ。


 教室に忘れ物をしていたので取りに行って戻ると、校門で待っていた政也は熱心に単語帳を読み込んでいた。

「そんなの読んでて気分は大丈夫?」

「いつの話だよ」

 政也は照れ臭そうに笑った。一度大会に行くためのバスの車内で、政也が今と同じように単語帳に集中しすぎて車酔いで吐きそうになったことがあった。一時期は車に乗っていなくても、単語帳を見るだけで気持ちが悪いとまで言っていた。

「歩く時はそれ禁止ね」

「分かってるって」

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