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千波と  作者: 久木
10/13

改めて約束

11月、千波との会う約束が無くなり、あれから千波とは連絡を取っていない。

忙しく心に余裕がなさそうだと感じた時は、お互いに連絡しない雰囲気を通してきたからだ。暫く、或いは金輪際、連絡がなくても放っておくしかない。従って尚更こちらからは連絡が取りづらかった。

そんな時、山木次長が千波の居た店の次長(親友)の噂を話していた。親友の次長が鬱になりかかっていること、更に千波の先輩が鬱になって休んでいること。

恐らく千波は、前の営業所の所長から、何かしらのエールを二人に送ってやって欲しいと頼まれたのだろう。頼りにされている千波、しかし、そんな重たすぎる人間関係がのし掛かる千波。私はそっと彼女を見守ることにした。今の千波と私の距離感では、私から連絡しても、煩わしいだけだろう。


ところで季節は12月、ボーナスシーズンとなっていた。この季節は一人でも飲みまくるに限る。千波を忘れ、新しい恋をしようと、職場の同期の女性を食事に誘った。彼女とはカラオケに行ったぐらいで、何もなかったし、逢ったこと自体を二人の秘密にしていたのだが、数日後から上司達の態度が冷たくなった。少し私と同僚(女)の空気が良すぎるからか。妬いてやがるな、女々しい奴らめ。いや山木次長が、千波以外の女にも手を出しやがってと思っているのだろう、あらかた想像が着く。そう言う私も、千波が後輩の田川を連れてきた時は何だか悔しかったが。まあこの話は置いておこう。


私はボーナスでスマホを買い換えた。そしてLINEのアカウントの引き継ぎの為、何がきっかけだったのか、連絡した。ちゃんとアカウントが引き継がれて連絡できるか心配だとか、そんな理由だったと思う。

「久し振り。森山さん、大変そうだけど元気してる??機種変でLINE繋がるか心配やったもんで、連絡したんさ」

「くわっち、久し振り!機種変したんだ、良いなぁ☆二人で忘年会しようよ」

「良いねぇ、今度こそチーズフォンデュ食べに行こう!お店はここと、ここと…」

それからの展開は早かった。

千波とは12/26に飲む約束をした。この日はクリスマスの後日だが、実は私の誕生日だ。千波は気づいているだろうか。

11月のドタキャン以降、もう連絡は来ないと思っていた。しかし、罪滅ぼしの気持ちもあったみたいだ。そんな千波の気持ちが嬉しかった。


年末と言うこともあって、クリスマスチックなチョコをまたもやプレゼントに準備した。そして千波とはいつもの駅の時計台で待ち合わせの約束をした。


当日、帰り際に急いで帰ろうとすると、山木次長から「そんなに早く帰りたいんか。急ぎすぎやろ。」と小言を言われた。気付いてやがるのかも知れないが、振り切って帰る事にした。今は久しぶりに千波に会えることが嬉しい。

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