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千波と  作者: 久木
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再会

森山千波(もりやまちなみ)と、私、桑村紀夫(くわむらのりお)が再会したのは、1年半前の冬の飲み会だった。きっかけは、5年前の職場のメンバーと皆で久し振りに飲もうと言う話になったからだ。

後輩から打診が来て、参加しようかな、と言うような曖昧な返事をしていた。そうしたら数日後に千波から直接ラインが来た。主催は千波。いつの間に幹事やってくれて居たのか、と言う驚きと、彼女から直接連絡が来たと言う二重の驚きを感じたことを覚えている。


当日、久し振りに見た千波は、自信と色気を強く感じさせる女になっていた。プロポーションに自信があるのか、服装はグレーのタートルネックのセーター、黒地に白い花柄のロングスカートを身に付け、170の長身ながら胸が目立つコーディネート。そして茶色のポニーテールは、5年前と変わらなかった。

「くわっち、今日は来てくれてありがとう。」

「俺の方こそ誘ってくれてありがとう。」

私、桑村の名字から、千波は私を「くわっち」と呼ぶ。

再会の言葉を交わしつつ、適当に席についた。そうして待っていると、隣には初め誘ってくれた後輩の高水が座った。

「高水くんとこうして外で飲むのって、久し振りだね。」

「そういえば、桑村さんと独身寮では、宅飲みばっかですもんね。」

「今夜は生ビールばっかりガンガン飲もう。宅飲みじゃあ、缶ビールばっかやしな。」

「桑村さん、ビール大好きですもんね(笑)」

そうして話していると、会は始まった。


千波は写真を撮りたいのか、色んなメンバーと写真を撮っていた。千波が真ん中に写ったり、カメラ係をやったりと大忙しだ。

「くわっちも写真撮ろうよ。」

「良いねぇ、そうしよっか。」

肩を寄せてくる千波が気になる。自然と顔を離してしまう自分がいた。別居中とは言え私は既婚だ。千波は男友達が多いタイプだから、私にも平気で肩を組んだりしながら、写真を撮っているだけなのだが、気になってしまう。

そうして会は進んでいった。

千波は近況報告をしながら、「今度一緒に飲もうね」と言ってくる。確か5年前も何度かそんなやり取りをしたが、二人の飲み会が実現した試しはなかった。最大の理由は私が既婚であり、曖昧に返事をしていたからだ。千波も口癖のように言っているところがあると思っていた。しかし今回、わたしは違った。

「そうだね、何だかんだあったし、今度はホントに行こう(笑)」

千波は半分社交辞令のつもりだったのか、少し意外な顔をしながら、

「ホントにいいの? でも楽しみにしてるね。」

「ほんとさ。今は半分独身みたいに飲み歩いてるから、いつでも良いよ。今度連絡するよ。」

「なにそれ(笑)」

他のメンバーとも再会の積もる話をしながら、飲み会はつつがなく終わった。

帰りは後輩の高水と一緒に帰ったのだった。

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