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営業開始

物凄く流行った訳でもないし、シミュレーションゲームがこれといって好きな訳でもない。ただ面白そうだと思っただけ。


だから思う。


「こんなの聞いてない」





僕、百原刀嘉(ももはらとうか)は、ふと目に付いたアプリゲームをインストールしただけ。別に学校で流行っているわけでもなんでもない。ただ暇つぶしに遊ぼうと入れただけ。そしてアプリを起動した途端にこれだ。


「ここはどこなのさ?」


辺りを見回す。森と平原。The自然。だが振り向くと、


「コンビニ?」


これで、僕の中のラノベ担当が答えを導き出した。

まさかとは思うがね。おそらくそのまさかなのだよ。


僕の目の前には一軒のコンビニが佇んでいる。建物どころか舗装路のひとつも無い、この大自然の中にポツンと。

そして僕がインストールしたゲームの名は


「...超次元コンビニ?」


店の看板にはそう書かれている。ご丁寧に高い屋外自立看板まである。

僕がインストールしたのはコンビニを経営して、店を大きくしていくゲームだ。それが現実になったって所だろう。


「ワンチャン夢説あるな」


薄々気付いているが、まだ僕の理性は受け止めきれていない。どこか否定しようとしている。


バサバサバサバサッ!


遠くで鳥の羽音らしき音が聞こえる。その方向へ振り向くと


「...首が2本...ある!」


おそらく確定だ。ふたつ首の鳥が群れで飛んでいる。こんな鳥、僕が知る限りはおそらく地球には居ない。


「異世界召喚キター!」


嬉しさ半分、困惑半分で思わずテンションが空回りする。

たしかにラノベが好きな僕は異世界モノは大好物だ。ただ、あれはチートがあるからいいのだ。僕みたいに無能が来ても困るだけ。

ただ、コンビニがある僕はある意味負け無しだ。異世界モノは、大体文明レベルが中世ヨーロッパくらい。コンビニ商品で、コンビニなめんなファンタジーと洒落こめるかもしれない。


「商品はちゃんとあるのか?」


僕は急いで店内に確認に向かう。店内はよく見なれた日本のコンビニそのままだった。しっかり商品が陳列されている。

たとえ補充が出来なくても、今ある分で上手くやれば稼げるかもしれない。そうと決まれば


「街を探そう」


異世界モノで学んだ知識その1︰人里及び街を見つけよう


まずは情報収集をするのが鉄則。異世界あるあるの冒険者や魔物や魔法の有無が、是非知りたい!この目で見なければ。


そう意気込んで僕は500ミリリットルの水と焼きそばパンを棚から取る。街は見つけられなくても、まずは周辺の探索をしないとならない。軽く見て回るつもりだ。


「よし、しゅっぱ──」


ピロン♪


「うん?通知だ。って、あ!スマホがある」


スマホの通知がなり、確認しようとしてポケットに手を入れた。そしてスマホの存在に今気付いた。そもそも、僕はこの大自然に来る前には部屋でスマホを扱いながらゴロゴロしていたのだ。だが、気が付いたらこの場所に立っていたし、そもそもスマホは手に持っていた。なのにスマホがポケットにあるとは驚きだ。


「他にもありそう」


反対のポケットをさぐると財布があった。中身は召喚前と変わらず3000円丁度。


「スマホの通知はなんだろう?」


そういえばと、僕は通知を開く。


『ログインボーナス1日目︰200万円』

『1週間連続ビキナーボーナス1日目︰500万円』

『運営資金︰1000万円』


「え?」


スマホにそう表示され、残金が17003000円と表示された。

この金はあれだろうか。『超次元コンビニ』のログインボーナスとかだろうか。うんそうだろう。分からないし、それでいいか。

しかし、一瞬でお金持ちだ。


「まぁ、この世界で使えるか知らんけど」


他にも色々調べて見た。それで分かった事は4つある。

1つ目はこの金は『仕入れ』に使う。『仕入れ』は文字通り仕入れる事だ。お金を払い、商品を取り寄せる。ただ、その商品は別にコンビニ商品だけじゃ無い。

それが2つ目。元のゲーム『超次元コンビニ』はゲームを進めていくうちに家電や乗り物、兵器までなんでも出てくる。それが面白そうだと思ってインストールしたんだ。それがどうやらこの世界でも同様らしい。『仕入れ』の一覧に銃を見つけた時はビビった。

そして3つ目。そのコンビニ商品以外のモノは最初からある訳じゃ無いようだ。ゲームの説明では、総売上をあげていくとビルや潜水艦も買えると書いていた。だが、『仕入れ』の一覧を見ても無さそうだ。ゲーム通りなら多分売上次第で出てきそうだ。

最後に4つ目。円はここの通貨に替えられる。『両替』という機能で、円を金貨や銀貨や銅貨に替えられる。おそらくそれがこの世界の通貨だと思う。


という事で護身用に拳銃でも持とうと『仕入れ』を開くともう1つ気付いた。


「おにぎり高くない?」


鮭おにぎりの仕入れ値が140円だった。初めは一般的なコンビニのおにぎり値段だと思っていたから気付かなかった。ただ、仕入れ値が140円なのだ。売値が140円ではなくだ。


「プリンも汗ふきシートもボールペンも全部仕入れ値が、売値になってる」


『仕入れ』の商品全てが店内の商品の値札と同じだった。


という事で全部の値段を倍にした。値段を設定する機能もあった。その機能で一括で値段を倍にした。


「お腹空いたなー」


僕は店内のポットに商品の水を入れて沸かす。そして商品のカップラーメンを取る。


すると店の外に女性が立っていた。不思議そうに店内を覗き込んでいる。


「もしかしなくても、冒険者じゃね?」


有り体に言えば初級冒険者といった感じの赤髪ポニテの女の子だ。ただ、腰に剣を下げている。正直ちょっと怖い。


「あ、驚いてる」


彼女が店に入ろうと自動ドアの前に立つと、ひとりでにドアが開いた事で彼女が警戒した。


「確定だな。この娘は自動ドアを知らない」


つまりテンプレ異世界の文明レベル。

彼女は恐る恐るといった感じで、入店してきた


「いらっしゃいませ、超次元コンビニへようこそ」


接客なんかした事無いが、まぁなんとかなるだろう。知らんけど。


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