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8. 襲撃

 周りを見るとサラちゃんだけでなく、ドリスさん、カルロスさん、カイちゃんもテーブルに突っ伏している。部屋で給仕をしてくれていた人達が驚いて悲鳴を上げる。即効性の毒だとまずいと考えた私は時間凍結の魔法を発動、この部屋内の時間の流れを止める。これでゆっくり治療が可能だ。探査の魔法で調べると先ほど飲んだスープに毒が混入されていた様だ。私も先ほどスープを飲んだが、やはり私には毒も効果が無い。一緒に食事をしていた4人に回復魔法を掛ける。ついでに嘔吐と血で汚れたサラちゃんの服も綺麗にしてあげる。治療が終わって部屋の時間を動かすと、給仕してくれていた人達は、一瞬戸惑ったが、食事をしていた人達が全員元気そうなのを見て安堵の表情を浮かべていた。


 突然サラちゃんが泣き出した。


「うぁぁぁ~ん....おかあさ~ん、たすけて! こわいよう。」


 私はサラちゃんを抱き上げた。そりゃ、いきなり死にかけたんだ、苦しかったろうし、怖かったよね。かわいそうに。


「もう大丈夫だからね。お姉ちゃんの傍にいたら平気だよ。」

(実年齢上お姉ちゃんというには語弊があるが、外見は20歳なので許してくれ。)


 サラちゃんは私の胸に顔を埋めてまだぐずっている。まあ、気持ちが収まるまでこうしていよう。こんな小さな子に毒を盛るなんて許せんぞ!


「調理室に怪しい者がいないか確認してきます。」


 突然、給仕のひとりが言って部屋を飛び出した。


 私はカルロスさんと顔を見合わせた。食事に毒が入っていたということは、暗殺者の仲間が神殿内に入り込んでいる可能性が高い。


「申し訳ありません、まさか神殿内に暗殺に加担するものが居るとは...。」


 「いえ、まだそうと決まったわけではありません。外部からの侵入者の犯行かもしれませんし。」


 そう、可能性は低いが犯人が外部からこの神殿に侵入して犯行に及んだ可能性もある。もしくは護衛隊の兵士の中に暗殺者の仲間がいることも考えられる。そんなことを考えていた時、私は強力な魔力がこの神殿に迫って来るのを感じた。咄嗟に防御結界でこの神殿全体を覆う。次の瞬間、


 ドガーン~~!!!


という音と共に窓から閃光が差し込む。相手の魔法攻撃が結界に当たって弾けた様だ。


 かなりの威力だ、この惑星の魔法使いはルーテシアの魔法使いに比べて魔力の量が多い様だ。しかも複数人の同時攻撃だ。探査魔法で魔力の強い人物が3人神殿近くの森に潜んでいるのが分かった。


 ドガーン!!! ドガーン!!! ドガーン!!!


 追撃が襲ってくる。狙いはこの部屋の真上だ。明らかに私達の居場所を知っていての攻撃である。おそらく私達の毒殺に失敗した場合に備え攻撃の準備をしていたのだろう。そうすると先ほど部屋を出て行った給仕が連中に毒殺失敗を伝えた可能性が高いな。


「大丈夫ですか!?」


 と大声で叫びながら護衛隊の隊長ラザロさんが部屋に飛び込んでくる。私達が無事なのを確認すると安心したように敬礼した。


「すぐに移動をお願いします。この部屋は狙われております。」


「あわてなくても大丈夫です。私の傍以上に安全な場所はありませんから。それより、今攻撃している魔法使い3人をこの部屋に強制転移させますので、捕縛をお願いできますか。」


「女神様! いけません、連中は危険です!」


「大丈夫です、ちゃんと無力化しますから。 ひとりずつ呼び寄せますね。」


 そう言って私は攻撃者のひとりを部屋に強制転移させ、同時に攻撃者の魔力の流れを強制的に遮断する。これでこの魔法使いは魔法を使えない。ついでに重力魔法で手足を押さえつけて動けなくした。

 ラザロさんがポケットから何か緑色の首輪の様なものを取り出し、素早く攻撃者の首に装着する。驚いた私が見つめると、攻撃者の手足を縄で縛りながら、


「これは魔力封じの首輪です。これでこの者は魔法が使えなくなりました。」


 と説明してくれた。魔法使い自身の魔力を利用して魔力遮断結界を展開する魔道具らしい。魔法使いの魔力が強力であればあるほど、強力な結界を展開するのでどれほど魔力が多い魔法使いでも魔法が使えなくなるそうだ。隷属の首輪のことを思い出し一瞬ドキッとしたがあれほど物騒なものではないらしい。解除も鍵ひとつで可能とのこと。

 

 それであればと、私はふたり目、3人目の攻撃者を呼び寄せ同様に拘束する。これで攻撃していた魔法使いは全員だ。まだ外には武装した集団が居る様だが、こちらは神殿を警備している兵士さん達にお任せしよう。3人はラザロさんと部下の兵士に連行されて部屋を出て行った。


「女神様、精霊様が女神様とお話したいとおっしゃられております。」


 とドリスさんが言ってきた。いや、突然ですね。でもついに精霊様とご対面できる。ドリスさんの周りから強い魔力を感じなかったからここにはいないと思っていたのだ。


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