糠漬け
梅雨がはじまる頃、畑にキャベツの珠が太り始める。
葉牡丹を思わせる広がった葉が白緑の珠を
しっかり抱いて朝露に濡れているさまは清々しい。
渦巻いたキャベツは、大きくて目方もあって
欲張って採っても 二つ、三つ、籠に入れると一杯になる。
「もう、いいんかい?まっと持ってけば、」
「ん、十分。重いし(笑)」
畑のあいだを蝶が絶え間なく飛んでいる…
白い浮雲が6月の風に流れてゆく。
夏の美味しいお漬ものは
胡瓜や茄子の浅漬けときまっています。
朝、胡瓜や茄子を糠床に漬けて、
夕食に取り出します。
朝、忙しくて漬けられなかった時は
野菜に塩を揉み込んで
夕餉の支度をしながら
小一時間も漬ければ大丈夫です。
毎日、糠床を丁寧に掻き回し、
素手を入れるからこそできる味なのです。
ひとつのお皿に黄色、白、青、赤の漬物をたっぷり盛ります。
沢庵の黄色、白菜の白、胡瓜の青、人参の赤
漬ける野菜はなんでもいいんです。
竹の子の黄色、独活の白、キャベツの青、ミニとまとの赤
一年中こうして、
いく種類もの野菜を盛って出すと
季節の移りがそれとなく食卓に上がります。
糠漬けにキャベツを入れる時は、ガーゼに包んだり、蜜柑のネットに入れると取り出すときに便利です。
ミョウガ、プチトマト、生姜、豆腐なども同様に。