よくわからない方向け講座・第三弾! おっさん主人公の描き方
少し前から、なろうではおっさん主人公が流行っています。全盛期ほどの勢いはないものの、まだまだ十二分に通用する題材ではないかと思います。
そんなわけで、「自分若いけどor女だけどおっさん主人公もの書いてみたい!」という方向けに例によってわからない方向け講座を執筆します。
1.おっさん需要の本質とは
おっさん需要が生まれた本質は、作者も読者も実はおっさんが多く、「よく考えたら別に感情移入しにくい少年主人公である必要がないのではないか」という真理に気がついてしまった故に生まれたと推測します。そのようなわけで、おっさん主人公作品はおっさん受けを考えて書く必要があります。
2.おっさんは別に打たれ強くない
若い方が勘違いしやすいのがここ。歳食っただけで鋼メンタルになれるなら誰も苦労はしないというものです。なので、異様に打たれ強かったり立派だったりするおっさんというのは、おっさんから見て非常に不自然に映ります(同時にタフガイというのは憧れの対象でもありますが)。あまり豆腐メンタルでも困りますが、適度に情けない部分を出すと感情移入されやすくなるでしょう。
3.おっさんは枯れている
おっさんというのは枯れています。あまり肉体的にも精神的にもエネルギッシュなおっさんというのも不自然な存在になります。
4.おっさんならではの魅力とは
ここまではいいとこなしにしか見えないおっさん主人公ですが、「経験」という部分にはかなりプライドを持っているものです。「若いキャラには思いつかなかったこんな老獪な作戦を、経験から導き出したのか!」みたいな描写をすると、おっさんはとても喜びます。若い才能とベテランの経験がぶつかったら若い才能が勝つのが少年向け作品ですが、おっさん主人公ではその逆が求められているのです。
5.使い方に気をつけなければいけない「オヤジギャグ」
オヤジギャグというと、ダジャレを思い浮かべる方も多いかと思いますが、ダジャレはなろうを読んでいるであろう30~40代のおっさん読者の親世代のギャグセンスです。はっきりいって、30~40代は上司のおっさんのダジャレに愛想笑いを浮かべたぐらいしか思い入れがないと言うか、むしろ嫌な経験・聞き飽きたものなので、おっさんキャラに言わせると嫌悪感を持たれます。
6.おっさん世代にとってオタクは被バッシング対象だった
これも若い方にはピンとこない感覚かと思いますが、30代以上のオタクは世間から隠れなければいけない存在でした。オタク趣味が学校でバレようものならいじめのターゲット不可避、そんな時代を送っています。ですので、例えばおっさんの転移者にオープンな思い出としてオタク趣味を語らせるのは不自然な行為になります。逆に、現実で羽根を伸ばせなかった分、異世界で羽根を伸ばさせるのはありだと考えます。
7.細かいテクニック
細かいテクニックですが、サバナはサバンナ、グリセリドはグリセリンと言わせるとおっさんらしさにリアリティが出ます(おっさん世代はこのような名前で習っていますので)。なろうで書く上でこれらの言葉がどのぐらいの頻度で出るかと言うとかなり疑問ですが、覚えておいて損はないと思います。
以上、簡単にではありますが、おっさん主人公を描くにあたって気をつけるべきことをまとめてみました。他にはおっさん世代の流行を取り入れると良いと思いますが、これはやはり同時代を生きた人間でないと非常にやりにくい部分なので、おすすめはしません。そういう意味では、転移者や転生者よりも現地もの主人公にしたほうが無難かもしれません。