全力ネコミミキャット砲、120%。
またまた、遅くなった理由は最後に書きます。
でも、またいつもの2倍くらいの量なので許して。
「こっちよ!」
リナは俺の手を俺はミアの手をやや乱暴に引き、住人はすでにどこかに避難して隠れたのか人気の少ない路地や誰も知らないような細い通路をぐんぐんと進んでいた。
「お前どうしてそんなに道詳しいニャ?」
「私、一人でも色々この街探索してたのよ!」
あ、祭りのことか。
「リンのお金で!」
「ニャ!?お前ッ!!」
「いいじゃない別に!そのおかげで逃げれてるわけだし!」
それは、結果論では...
「(それだけじゃないけどね...)」
リナが小さな声で何かをつぶやいた。
見慣れない道を進むリナが不意に歩みを止めた。
「どうしたかニャ...」
路地の先、そのにはもう見慣れたダサい格好のペインが腕を組んで佇んでいた。
「全く...手間をかけさせる。今一度、冥府への引導を渡してやろう」
ペインが何か言っているのを聞く耳持たずリナは俺たちの手を引っ張り横道に逸れていく。
「あ!おいコラ!!待てッ!!」
ドンッ!!
後ろで、ガラガラと何かが崩れる音がした。
「なぁ、これ俺たちに後で請求とか来ないかニャ?」
「たぶん、大丈夫でしょ」
俺は、そう言うリナがちらりとミアを見たのを見逃しはしなかった。
ミアを哀れに思い見るも可愛らしく顔を傾けるばかりだった。
もし、請求されたら自称知識の神とやらのデタラメ猫神に叩きつけてやろう。
しかし、後ろを振り返れば、音を立てながら何かを破壊して回るペインが近づいてくるのがわかる。
何かを壊しながらじゃないと進めないのか、
「なんであいつ撒けないかニャ!」
余裕なくほどんど怒鳴るようにリナに質問した。
「臭うのよ」
「ニャッ!?」
とっさに返した俺の疑問符にリナは顔を顰めた。
「臭いって言っても神臭よ。二人も神がいるんだから当然臭うでしょ」
あぁ、そっちですか。
と、思わず安心してしまったが、いやそれだと。
「それだといくら逃げたところで意味がないじゃないかニャッ!!」
「えぇ、そうよ。だけど、後ちょっとだけ。後ちょっとだけ時間を稼げは勝機はあるから」
リナは、そう言って信じて疑わないのかこっちを振り返ることもせず一心不乱に前だけを見て、手を引いて先に進む。
そうは言っても膝が爆笑しそうなほど、かなり体力がなくなってきた。
それでも何とか必死にリナについていく。
路地を何度も何度も右に左に迂回しながら。
薄暗い路地を、細々と物の散乱した通路を駆け抜ける。
しかし、不意に謎の浮遊感が体を襲った。
どうやら、足の限界が来る前に何かを蹴飛ばし、躓き転んだのだという単純な事に気づくまで少し時間がかかった。
頭上に馬鹿でかい魔法陣が街を赤くる照らしているとしても、この体はいくら夜目が効いたとしても。
狭く細い路地には光が入り込みづらく、疲れた体では注意力は散漫になる。
「リンッ!!」
リナが叫んだの同時に後ろを振り向くとペインが通路の先に立っていた。
「ハァ...ハァ...ハァ...やっと追いついたぞ...」
目が血走ったペインはゆっくりとにじり寄るように歩き出す。
いや、疲れるなら建物破壊して回らなければいいだけなんですよ?
「リンッ!目をつむるのじゃッ!!」
横を見るとミアが懐から取り出した丸い玉を向かいくるペインに放り投げた。
「バカにしやがってッ!!幾度も同じ手が通じるものか!!」
しかし、ペインは今まで散々煙玉を食らって警戒していたせいか、軽々と爪で弾き返そうと腕を振りかざしていた。
俺はそれでもミアを信じ目を閉じた。
パリンッ
ガラスが割れる乾いた音の後、まぶた越しからでも伝わってくる強烈な光が網膜を刺激した。
突然のフラッシュにやや立ちくらみする中、ふらふらと立ち上がる。
光が収まったのを見計らい立ち上がりリナとミアと合流し、また路地を走だした。
お礼を言おうとミアをみたら
「あぁ、『個人情報強制開示水晶』が...。帰ったら怒られるのじゃ...。でも...仕方なかったのじゃ...」
とブツブツ呟いていた。
あぁ。なるほど。
あのプライバシーガン無視水晶を投げつけたのか。
そしてペインがそれを砕いて中の魔力が放出された?
いやいやしかし、これにてこの世界のプライバシーは守られた。
「ミア、ありがとう。ちゃんと一緒に謝りに行くニャ」
ミアは何も言わず手を強く握った。
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あれから、幾つの角を曲がり、幾つの路地を抜けたのだろうか。
大爆笑する膝をごまかしながら、走ってきた。
脳の中枢神経が麻痺したのか、1分が1時間にも感じられる。
次足を止めたら確実にびた一文として動きはしないだろう。
もう最初のように軽口を叩けるほどの余裕はない。
後ろを見ると大粒の汗を頬に伝わせたミアがいる。
前を見ると、さっきよりも手を強く握っているリナが走っている。
不意に、前を走るリナが止まった。
つまり、必然的に自分の足も止まるわけで。
「はぁ...はぁ...どうしたニャ!!」
そんなことは、質問するまでもなかった。
リナのすぐ目の前、そこには壁があった。
つまるところ行き止まり。
その事実に気づいた時、前は見えずとも、未来の見通しはついた。
終わりだ。
「はぁ...もういい。もう悪夢を終わらせよう」
路地の角からペインがひょっこりと現れた。
俺はその光景を、ペインが暴れまわっていたのは、もしかしたらスキルの副作用なのかもしれないなぁ、などとある種達観した心持ちで見た。
「はぁ...遅いわよ」
しかし、リナはどこかため息をつきながらも、どこかやり遂げたように言った。
俺がリナを見るとリナは、そっと腕を上げ空を指差した。
その腕につられるように空を見上げる。
バンッ
と気持ちのいい音が街を包むと同時に、馬鹿でかい赤い魔法陣が割れた。
その、まさしく異世界に求めていた非現実じみた光景に思わず言葉を失った。
それは、俺だけではなかったようで、ミアもペインも誰もが時間が止まったかのように動きが止まっていた。
ただ一人を除いて。
リナは小さく呟いた。
「後は、頼んだわよ。リン」
リナに背中を叩かれ止まった時計の針が動き出す。
しかし、それを合図にしたかのように白い光の円が突如俺を中心として展開された。
それはグルングルンと回る度、さらに一回り、ふた回りも大きくなっていく。
今度は、真っ白の街。
街が光に覆われた。
「ニャッ!?なんだニャ!!」
体が光る、ついでに尻尾が二股に分かれた。
「特別衣装よ?」
俺が頭に特大の疑問符を大量に浮かべるなか、リナはそう言って魔法邪神コスプレ衣装のさらなる過剰装飾を施した。
背中に大きな白黒リボンが追加され、手にはひらひらのシュシュが付いていた。
ドンッ!
「何処にいるッ!!!」
なぜ今服を変えたのかその真意をリナに問う前に怒号と轟音と共に俺たちとペインの間を割って壁を突き破り、犬歯をむき出しに怒り狂うドロシーが飛び出してきた。
ドロシーは、ペインを俺たちをキョロキョロと見た後、視点は俺に留められた。
「ドロシー...ニャ??」
「はい!!邪神様!!私はドロシーです!!」
ドロシーがいつもの輝いた瞳で俺を見る。
何でこんなところにとか、今の状況とか色々訳のわからないことだらけだけど、だがこれはチャンスだ。
近年稀に見るチャンスだ。
この世界に来て初めて運がこっちに向いた。
「ドロシー!!そいつを空に吹っ飛ばしてくれるかニャ!?」
俺は、ペインを指差し、ドロシーに半ば叫ぶように頼んだ。
「わっかりました!!!邪神様!!」
ドロシーが丁寧なお辞儀をしながら上ずった声で言うと、すぐさまペインへと振り向き突撃する。
「チッ!!また傀儡が増えたか!」
しかし、ペインはドロシーの介入にもすぐに対応する。
いくら、ドロシーでもペイン相手は少し荷が重いかもしれない。
だからこそ!
「こっちを見るニャッ!!」
俺は、大きな声を出し何かを投げるような動作をした。
ペインは今まで散々煙玉やインチキ水晶を投げつけられていたためとっさに顔を守るように腕をクロスさせた。
しかし、俺の手の中には何もない。
「なッ!!」
「『邪法:魔狼の衝撃』」
ドロシーの強烈な掌底がペインを宙へと吹き飛ばした。
俺は、目をつぶり体にある魔力を感じる。
原理は理解できてないが、リナが『後は、任せた』と言った意味、この白い魔法陣の効果。
段々と状況を飲み込めてきた。
どうやら、また悪夢を見れるようだ。
それも前よりもより強く体の魔力を感じることができる。
つまるところ、さっきより強くなったってことだ!!
「じゃ!!ラストフィナーレと行くニャ!!」
ペインを空に打ち上げた意味、それは今状態で『ネコミミキャット砲』を打つと街を破壊しかねないと思ったからだ。
それほどの魔力を今なら杖に込めることができたからだ。
「全力120%ニャ!史上最高の威力!史上最低の品格!!前代未聞のとっておきの技を喰らうといいニャ!!」
「チッ!!慟哭せよ!絶望せよ!!消し飛べ想い出」
お互いに息を飲む。
「『暗黒覇王真龍波』っ!」
「ネコミミマジック!!『マジカルキャット砲』ニャッ!!」
まさしく、網膜を焼くほどの閃光。
街全体が真夏の昼間のように明るく光る。
いや、それよりももっと明るい。
瞳孔が最大限小さくなり網膜へと届く光量を限りなく少なくしようと残光が目に焼きつくほどの光。
思わず目をつぶりたくなるが、しっかりとペインの方を向いて放つ。
「いや、全くフザケタやつだが、実力は認めてやるよ、マジカル女神リン」
光に目を焼かれる中、不思議とペインの声がストンと耳に届いた。
「それはそうと、我はその語尾は結構可愛いと思うかニャ?」
ペインは、呪いではない、本心からの楽しそうに顔を歪ませ、嫌みたらしくこう言った。
「...好きでこうなったわけじゃないかニャッ!!!!!!」
世界は白に飲まれた。
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白い光が消えた後には、随分と壊れた街の姿が月明かりに照らされて見えた。
「ありがとうね、リン」
リナは小さくつぶやいた。
「世界のへーわを守るのは当然のことかーニャ!!ッ」
二本に分かれた尻尾を振り、一回転してから目の横で勢いよくピースした。
あ、やっぱり状態でも副作用はあるんですね...
「はぁ...締まらないわね」
リナが大きなため息をついた。
いや...モチベーションがいまいちわかなくって...
コメント書いてください...頼みます。
コメント書いてくれたら頑張って次は早く投稿しますんで。
ほんと頼みます!!




