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決意の夜、4日目 その2

いつになく真面目な展開ですね。


「「「「一発やるきゃっない(でしょ)(かニャ)(です)(のじゃ)ッ!!」」」」


 示し合わせたかのように息のあった声が小さな部屋に響いた。


「でしょ?リン」


 4人全員が俺を見ていた。


 最終決戦の最終決定権は俺が握ったようだ。

 まるで、この世界に来る前に俺が望んでいた巨悪と戦う英雄のようなシチュエーション。


 だが、ここに居る英雄の仲間たちは、危なくなったら逃げる予定の自己中ばかり。

 まして、その中心になってしまった俺が最も逃げ腰と言うのだから、一体何処にこんな頼り甲斐の無いヒーロー達が居るだろうか。


 俺は、深いため息を一つついてから、深く息を吸い込み声を大にして高々と宣言した。


「じゃ!いっちょやりますか!!!」


 でも、まぁ、そんな英雄譚も嫌いじゃない。



 ーーーーーーーーーーーーーーーー



「じゃ、リンちゃんに悪魔(大将)は任せるとして私とアホ犬は、そこらの悪魔(雑兵)を引きつけて、もとい片付けておくかニャ」

「バカ猫と一緒なのは不本意ですが仕方ありません」

「はニャしが進まニャいからニャにも言わニャいであげるかニャ」

「ええ、そうして一生口を閉じていてくれると助かります」

「...」

「じゃ、早速行きましょ。ずっと話をしても問題は解決しないわ」

「そうかニャ。いつまでもこいつと一緒に居ると気がおかしくニャりそうかニャ」

「全く同感です」


 2人が足早に去ろうとした時ふと気付いたことがあった。


「そう言えば大将は何処にいるんだ?」

「知らニャいかニャ」

「...え?」


 ルナはあっけらかんと言った。


「悪魔と戦ってればそのうち見つかるかニャって」

「悪魔と戦ってからあいつと戦う体力なんて無いぞ?ルナも知っての通り俺は、ひ弱なんでね!」

「そ...そんニャに卑屈にニャらなくていいかニャ...」

「...」


 待ち望んでいた俺の英雄譚は、いきなり行き詰まった。


「敵の場所がわからないんですか?」


 今まで一言も喋っていなかったアンナさんが首を傾げ質問を投げかけた。


「そうかニャ。ニャにかいい案でも持っているのかニャ?」

「いえ、ミアがきっと役に立ってくれるんじゃないかなと思いまして」


 アンナさんがそんな話を切り出した。


「ミアが?」


 ミア自身もよく分かってないらしく首を傾げ疑問を浮かべた。


「ミアの持つ『タロウコレクションNo.4の個人情報ナンチャラ水晶』を使えば一度見たことのある者の場所ならすぐわかるでしょう」

「『個人情報強制開示水晶』じゃ!」

「そうそう、そんな名前だったわね」

「なるほど!そう言うことなら、わしに任せておけ!!」


 ミアは、手で自分の胸を叩いて自信満々の様子。


「でも...」


 ミアに、戦う力があるとは到底思えなかった。

 故にそもそもミアにはここにいてもらうつもりだった。


 ミアを危ない場所には連れて行きたくなかった。


「だったら、その『ナントカ水晶』貸していただけませんか?」

「『個人情報強制開示水晶』じゃッ!!」


 たぶん家宝クラスのものをはいそうですかと二つ返事で貸してくれる分けないが一応聞いてみる。


「貸すのは全然構いません。ただ...」

「ただ?」

「使えませんよ?」

「え?」


 斜め上の予想外な回答が帰って来た。


「ミアを心配してくださってるのでしょう?でも、『タロウコレクション』は、才能(スキル)あるミアにしか使え無いんです」


 チラリとミアを見た。


 才能ある???


「今失礼なこと思ったじゃろ!」


 ミアは可愛げある声を張り上げる。


「思ってない思ってない」


 ミアは、ジトッとした目で疑いの嫌疑をかけてきた。


「じゃ、問題は解決でいいかニャ?」


 ルナは、まとまったとばかりにそそくさと話を切り上げようとする。


 ミアを見る。


「ん?なんじゃ?」


 金糸の髪を月灯りに反射させながら、無邪気に微笑した。


 大将を見つけるまでに有象無象と戦って体力がなくなれば負け、だから、ミアに案内してもらう。

 とてもわかりやすい。とてもわかりやすい理論だ。

 みんなが幸せを得る、最大幸福を追求するならわかりやすい論理。

 だから、答えは一つしかない。


「やっぱり、ひと」

「大丈夫よ。何があっても私がミアの事守っといてあげるわ」


 俺の話を遮り、いつも通りのトーンでリナが名乗り出た。


「でも、お前だって危険」

「危険なのはお互い様でしょ?それに危なくなったら逃げるんでしょ?」


 怖いくらいに真剣な表情だった。

 こいつがこんな表情をしたときは決まって良くないことが起こる。

 本当に疫病神みたいだ。


「私にだって手伝わせてよ!」


 声を大にしてリナが言う。


 ...悪魔との戦闘で頭でも打ったのだろうか。


「...」


「そんなに、私のことは信用出来ない?」



 まっすぐ眼を見つめられ思わず逸らしそうになった。


 そんな質問するなよ。

 決まってるだろ。

 ここにいる誰よりも長く、不本意だがずっと一緒に暮らして来たんだから。


 だから、はっきりと答えた。


「うん。」

「な...何でよーーーッ!!!!!!!」


 小さな部屋から大きな声が町中に響き渡った。

いや、いつも通りでした。

そろそろ、感想プリーズ!!

私のやる気の源なんです!!

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