武闘会の乱入者、多勢 その5
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悪寒が身を震わした。
俺は迷わずにその場から飛んだ。
「慟哭せよ!絶望せよ!!消し飛べ想い出ッ!!!『暗黒覇王真龍波』っ!」
「ニャッ!」
ドンッ!!
黒い稲妻が壁がパラパラっと崩しさる。
もうすでに、壁や天井、床に至るまであらゆるところがひび割れ崩れ壊れていた。
ほんの数時間前までは、貴族が集まり、おべっかを使うパーリィーをしていた豪華絢爛な部屋だったとは誰も思わないだろう。
「はぁ...はぁ...はぁ...」
あの中二病技は、スキルのおかげでなんとか躱せる。
だから、接近戦で斬り合うよりはマシかと思って距離をとっているが体力がそこを尽きればいずれは動けなくなってしまうだろう。
ならばいつかは近づいて一矢報いなくてはいけないのだが。
「くそ!!今度こそ!消し飛べ想い出ッ!!!『暗黒覇王真龍波』っ!」
「あぶニャ!?」
全身に鳥肌が立つほどの悪寒がした。
急いで左へと飛んだ。
ドンッ!!
黒い稲妻が顔のすぐそばを通り抜けた。
ピリリとした痛みが頬に伝わる。
少し気を抜いたら即物言わぬ魂になってしまう。
全く、いつもいつもこんな目にあってないか?
「なぜ当たらない!創世の神の邪魔が入っているとでも言うのか」
「いくら撃っても無駄ニャ!!だから、そろそろ観念してそのビリビリを使うのをやめなさいニャ!」
「『暗黒覇王真龍波』を嫌ってるらしいな」
「違うニャ!!」
「...あーもう!!ニャーニャー!ニャーニャー!!って!まともに喋れんのか!?...ん??」
悪魔は首を傾げ何かを考え込んだ。
「その喋り方...趣味かと思ったが...そうか!スキルかッ!」
やばい...バレた。
『猫の予感』に対策をされたら今の俺になすすべはない。
「そうか。見えてきたぞ。貴様のスキルの秘密が。...貴様も苦労してるのだな...」
悪魔は同情する表情を向けてきた。
「煩いニャ!!!中二病!!!!」
「貴様のスキルは、預言...いや、そこまで正確でない...直感といったところか」
「ち...違うかニャ...」
「そうか図星か!!ならば、やりよういくらでもある」
悪魔は、数度振っただけでヒビの入った剣を投げ捨て、両手の手の甲を俺に向けた。
「その魂に刻み込め。二重詠唱!『暗黒覇王真龍波』ッ!!」
両手の手のひらがキラリと光る。
まずい...
体が震えるほど悪寒がする。
だが、それだけ。
『猫の予感』が教えてくれるのは、ただ感じるだけの『予感』だけだ。
どこから何が来てどう行動すればいいかわかるような万能な『予言』ではない。
だから、二方向から攻撃が来た時、右に飛べばいいのか左に躱せばいいのかがわからないのだ。
悪魔は、また気持ち悪いほど中二病にふさわしい自身に満ち溢れた笑みを浮かべた。
やばいやばい!!
『予感』は、やばいほど伝わってくるがどこに行けばいいかわからない。
こうなれば一か八か、直感で決めた。
「下ニャ!!」
ドンッ!ドンッ!!
見事なヘットスライディング。
黒い稲妻は、天井と壁、それぞれに穴を開けた。
「痛いニャ」
手は擦りむき赤くなっているが、どうやら賭けには勝ったようだ。
パラパラと破片が零れ落ちてくる。
「チッ。外したか...運のいいやつめ」
悪魔は、また両方の手のひらをこちらに向けた。
「だが、これで最後だ」
やばい、また、あの稲妻がくる。
次は、どこに躱せばいい。
右か?左か?はたまた上か?下か?
それで、運良く躱した後はどうする??
頭は、フル回転していたが考えが堂々巡りをしていた。
「そのまま突っ込んでください!!!」
アートが叫んだ。
悪魔の掌はこちらを向いている。
スキルを使わなくても嫌な予感がビンビンに感じれられる。
明らかにこのまま突っ込めば、消し炭にされるだろう。
だけど、
「わかったニャッ!!」
俺は、『予感』よりも『直感』を信じた。
震え限界直前の足を無理矢理に動かして、最後の攻撃を仕掛ける。
「血迷ったか!?ならば、冥府への片道切符をくれてやる!二重詠唱!『暗黒覇王」
「『煙玉』のプレゼントです!!」
ポフッ。
突如、悪魔の眼の前にボールが飛んで行き白い粉を撒き散らし爆発した。
「ゴホッ!ゴホッ!くそッ!こんな、おもちゃなんかに!!」
アートが横目にサムズアップしているのが見えた。
「ナイスアシスト!!!」
俺は、白い煙の中が今更服が汚れる事なんてことは気にもしないで突っ込む。
「我が名は邪神リン!!その神名魂に刻みつけて!!」
「クソが!!!」
俺は、悪魔の頭上高くまで飛び上がりる。
「地獄に叩き返してやるニャ!!!」
「俺としたことがッ!!」
悪魔の首元めがけ一気に短剣を振り下ろす。
一撃必殺!!
「...ニャ!?」
だが、短剣は悪魔の首数センチ手前で止まった。
「『愛の束縛』」
またも、腕に鞭が絡まっていた。
「だから、主役があっさりやられてどうするのよ...」
「悪かったな。助かった」
そういって、悪魔は手のひらを俺にゆっくりと向けた。
「リン!!早く逃げて!!!」
リナが叫んだ。
わかってる。
わかってるが、体がピクリとも動かなかった。
いや、それどころか完全に空中で静止していた。
「体が動かないニャ!!」
「こんどこそ本当に最後だ!!」
やばい。
全身が凍えるほどの今までに感じたことのないほどの悪寒が走った。
「慟哭せよ!絶望せよ!!」
直撃したら死ぬ。
なんとか体をよじろうとするがやはりピクリとも動かない。
やばいやばい!!!
「「消し飛べ想い出!!『暗黒覇王真龍波』っ!」
「『スモール』ッ!!!」
悪魔が叫ぶとほぼ同時に体がぐんぐんと縮んだ。
小さくなったおかげで、鞭が腕からすり抜けた。
「動くニャ!!」
体が動く様になったが、稲妻は目の前まで迫っていた。
完全な回避不可能と踏んだ俺はせめてもと体をよじり直撃だけは回避する。
ドンッ。
「リンッ!!!!」
「リン様!!」
「リンちゃん!!」
チリン。
鈴の音が鳴り響いた。
突如、あたりに1m先も見えないほどの濃霧が発生した。
「リン!!大丈夫なのだろう!?大丈夫だな!?...なぁ!」
アリスちゃんが体を揺すってくれているが、今度は、体が動かないのではなく動かせなかった。
「アート!!リンを連れて一度逃げるべきよッ!!」
「撤退ッ!!皆一度撤退せよッ!!!」
俺の意識は、ここで完全に白く染まった。
最近だらけすぎててやばいです。
でも、今日はすごい頑張りました!!




