武闘会の乱入者、多勢 その4
眠い!
でも書かないと!!!
手を足を振って身体を解す。
軽く目を閉じて全身から無駄な力を抜く。
完全に脱力し切ったらパッと目を開けて敵を見据える。
「じゃ!行くニャ!!アホ悪魔!!!」
「かかって来いよ!バカ猫!!!」
姿勢を低くクラウチングスタートの要領で風のように素早く飛び出し、しかしゆらりと逆手に持った短剣を斜め上に滑らせる。
悪魔は、何とか上半身をそらし躱す。
ならば今度は、グルリと体を回転させ斜め下に蹴りをかますが、惜しくも腕で防がれてしまう。
右から伸びてきている悪魔の腕をスキル『猫の予感』によって察知し頭を下げ見ることなく回避する。
地面に着地したと同時にまたも斬りかかる。
相手に休む暇は与えなかった。
悪魔は、たまらず後ろに下がるろうと翼をはためかせ飛ぶが、そうは問屋が卸さない。
「ニャリヤーッ!!!!」
思いっきり地面を蹴り一直線に悪魔の喉元目掛けて、短剣を持った腕を精一杯に伸ばして、飛び跳ねた。
「クッ!!」
一撃で急所をつき仕留める。
これこそ、プルー直伝暗殺術の真骨頂。
風のように荒々しく戦場を駆け抜け、風のように優しく魂を刈り取る。
完全に決まった。
短剣は確実に悪魔の喉を一突きし、悪魔はだらりと力なく倒れ落ちる。
そうしてあっけなくこの戦いは終わり。
そうなるはずだった。
だが、悪魔の喉に突き立てた短剣は数センチ手前で止まっていた。
「今回はあんたが主役なのよー?そのあんたがこうも簡単にやられてどうするのよ」
後ろから今まで聞いたことのない女性の声が聞こえた。
いばらのようにトゲのついた鞭が腕に巻きつき動きを完全に止めていた。
そういえば一人幹部らしき女の悪魔がいたことを完全に忘れていた。
「遊んでないで、さっさと本気でやらないと本当にあっさりと逝っちゃうわよー」
女の悪魔は、飄々とした態度で首を搔き切るジェスチャーをした。
「言われなくても分かってるッ!!...あーっもう!!分かった!分かったッ!!やってやるよ!!!」
女の悪魔は、俺の腕に巻きつけた鞭を解いた。
「私はもう助けないからねー」
俺は、二人を警戒して距離をとった。
「お前がそのふざけた言動からは考えられないほど強いということはわかった」
悪魔の顔は、何やら諦めた表情に変化していた。
「だから、俺は今からスキルを使う!知ってると思うが『スキル』は有益な効果をもたらしてくれるが、それとは別に全くもって無益な、そう意味のない効果も持っている」
なぜ今スキルの説明をしてくれるのだろうか...
「だから今から俺が発する言葉、言動は全てスキルのせいであって、俺じゃない!!いいな!?」
あー...なんとなくわかってしまった。
「我は世界を統べる者なり!我は大罪を背負いし者なり!『覇王真龍煉獄の魔眼』ッ!!」
彼はスキル名を口にした。
一瞬間。
彼の眼には真紅の焔がともっていた。
決意に満ちたその表情は、先の世界に悲観した表情ではなかった。
すでに彼は、己の心に刻みつけたのだろうその誓いを。
だから、俺は彼に同情はしない。
「お疲れさまニャ」
「煩い!!!」
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「貴様に悪魔の裁きを下す」
文字通り目の色が変わってしまった悪魔は、兵士の誰かが落とした剣を拾いまっすぐに向かってきた。
俺もそれに対抗し短剣を構え迎え撃つ。
悪魔は、真上からまっすぐに剣を振り下ろしてきた。
俺は後ろに引き悪魔の剣を避ける。
バキッ!
だが、剣が振り下ろされた地面にはヒビが入った。
「ニャッ!?」
明らかに力が上がっている。
推測するにスキルの効果は、筋力の向上なのだろう。
短剣で受けていたら確実にやられていた。
一息つく間もなく力任せの次の攻撃を仕掛けてくる。
今度は、上に飛び跳ねなんとか避ける。
右からくる斬撃を左に避け、左からくる足蹴を右に避ける。
完全に防戦一方の戦い。
やばい。
「我が、覇王真龍の力にひれ伏すがいい!」
ふざけた、スキルだが圧倒的に強い。
一度、後ろに引いて攻撃のチャンスを得ようと体制を整える。
こちらは、あくまで短期決戦。
息が完全に切れるまで、体力が無くなるまで、それがタイムリミット。
相手のスキルが時間制限付きだとかそんなことに甘い期待している時間は俺にはない。
それにもうかなり足にきている。
時間はそう残されていないだろう。
なら一刻も早く仕留めなくてはならない。
俺は、こちらから攻撃を仕掛けようと脚に力をかけた。
「距離をとったな?」
悪魔を見れば手の甲を此方に向けて口が裂けるほどの笑みを浮かべていた。
距離をとったことが逆に悪手だったようだ。
「避けろッ!!」
アートが叫んだ。
なるほど、あの焦り様、アートはこれにやられたのか。
だけど、えぇ、叫ばれずともヤバイ『予感』は、ヒシヒシと感じてる。
だから俺は、脚に掛けた力を転換し横へと飛んだ。
「慟哭せよ!絶望せよ!!消し飛べ想い出ッ!!!『暗黒覇王真龍波』っ!」
ドンッッ!!
手のひらから黒い稲妻の様な光が放たれた。
小石が頬をかすめる。
俺がほんの少し前までいた地面は消し飛んでいた。
「チッ!外したか」
...近づけば力負けし、距離を取れば消し炭にされる。
「我が、魔眼に死角なし。この忌々しいスキルを使った我にもはや勝てるものなどない」
さて...いかにして、この中二病を屠ろうか...
いや〜、戦闘描画難すぎやしませんか?
何か参考になるような本とか小説とか知りませんか?




