武闘会の乱入者 、多数 その2
ふと思ったんですけど、週一くらいなら書けなくもないので(忙しくなければ)決まった曜日に出した方が良いですか?
今みたいに書け次第載せるか、毎週何曜日かに出すかどっちが良いですか?
ドーン!
壁が突如破壊された。
「ゴホゴホッ」
土煙が上がりパラパラと壁の破片が舞い散った。
穴の空いた壁から差し込んだ西日が逆光となりシルエットとなった異形の一団の影がぼんやりと浮いて見えた。
「御機嫌よう。バカ神ども」
煙の中の一団の一人が声をあげた。
「退避ッ!!」
「本日はわざわざ私たちのために盛大なる生誕祭を開いてくれてありが」
「襲来!!貴族の皆様を避難させろッ!」
「その余興とても楽」
「避難が終了次第、迎撃態勢ッ!!」
「...わた」
「計画通りに動」
「うるさーいッ!!!!」
そんな叫び声がこだましたぐらいには、煙が晴れ誕生祭乱入者達の姿をがはっきりと見ることができた。
「げ、悪魔だ」
やっぱり群とでも言うほどの大小様々な大量の悪魔と
何故か男女二人ががそこに居た。
その内の男一人、中央に立っていた人物が前に出る。
...ん?あれ?あいつって
前に出た人物には見覚えがあった。
屋台の下でごそごそと何かしていた如何にも悪魔然とした不審悪魔じゃないか。
その角、その尻尾は、何者よりも悪魔らしい風貌。
似た種族とかコスプレとかじゃなく、間違いなくやっぱり悪魔だったらしい。
となると隣の女性も悪魔なのかもしれない。
俺は、ポケットの中を探りながらそんなことを考えた。
だけど、まぁ取り敢えず
「ゴホン!改めてまして私は、新規売り出し中、大罪の悪魔が一人」
「くらえ!」
ボフッ!
俺はポケットに入ってたくじ屋の煙玉を全力で投げつけた。
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「大丈夫ですか?」
アートが足早に駆け寄って来た。
「予定通り悪魔が襲来しましたが皆様お怪我はありませんか?」
「...予定通り?」
「あ!...いえ、予定外通りに襲来しました」
アート...知ってたな?...
貴族の慌て様にアリスのポカンとした顔を見る限り皆んな悪魔を釣る為の囮として使われたってことか。
貴族や王族が参加するような立食会にいくらボディーガードだからってあまりに不恰好な服装でまして短剣を持参できるなんておかしいと思ったんだよ!
「いや、しかし、リン様ナイスアシストでした。リン様の煙玉のおかげで取り敢えず貴族達の避難は完了しました。後は、私達が悪魔を一掃してる間にアリス様をお守りしていただけますか?」
元よりアリスを守るためにこの場所にいる。
だから守るのは全然構わない構わない。
でも
「守るのは良いけど、何でアリスもいっしょに避難させないんだ?」
「心強いお言葉ありがとうございます。して、その理由ですが、悪魔達の狙いは、女神ルナティーナ様です。つまりは、アリス様と一緒にいた方が危険だと判断いたしました。であれば」
アートはチラリとアリスを見た後、
「ここでアリス様を守りながら悪魔を迎え撃つ」
アートが煙の中を睨み付け力強く言い放った。
西日を浴びて少し影のさした横顔は、何時もの穏やかな表情では無く剣幕な表情に見えた。
「今までアリス様をお護りするためだけに研鑽を鍛錬を積んできました。だから!アリス様を狙う不届き者には絶対に負けるわけにはいかないんです」
まだ短い付き合いではあるものの、その表情からは何時ものどこか余裕綽々のアートには無い、怒りや不安、多少の恐怖が入り混じっている事が感じられた。
「でも、まぁ」
アートは、気持ちを落ち着かせるためか深い深呼吸をする。
「悪魔の狙いはあくまで女神なんですけどねっ」
舌を出していたずらに微笑んだ。
あ、勘違いだわ。
「ゴホッゴホッ...あぁ!もうお前らいい加減にしろよ!ふざけんなよ!!」
アートと必要最小限の現状確認をしていると、煙玉の粉と土煙を充分に浴びて白と茶色のまだら模様に汚れた悪魔達が咳き込みながらも見えてきた。
「せっかくの大罪の悪魔の初登場、カッコよく登場してやろうと思ってたっていのにッ!!!!」
タップダンスでもしてるかの様に地団駄を踏みながら悪態を吐く。
「許さない!絶対許さないッ!!!」
それはもう、ガチギレでした。
「リン様、突然の出来事ではありますが、準備はよろしいですか?」
アートは、怒れる悪魔を無視して優しい声音で俺に訪ねた。
俺は、懐から短剣を取り出し、じっと見つめた。
短剣は薄っすらと土煙が上がってなお、煌めき透き通るほどに美しかった。
だが、俺にとってこの短剣は、クロが言っていた程価値あるものでは断じてない。
短剣を取り出さないといけない時は、狂気の少年の時、盗賊に襲われた時、アリスに変装してた時、そして今、どれも決まって死の瀬戸際に立たされるからだ。
全くもってろくな事がない。
まるでリナだ。
言っとくが俺は、プルーとの訓練によって多少は強くなったかもしれないけど、不老不死でも、豪腕剛力の力があるわけでも、無敵のスキルが無限にあるわけでもない、ただのBランク冒険者だ。
こう何度も何度も厄介ごとに巻き込まれてもキャパシティオーバーだ。
俺は、そっと胸に手を当てた。
やはりいつも通り胸の鼓動はうるさい程に高鳴っている。
だが、もう流石に
「もちろん!」
慣れた。
アートは俺の返事を聞いて歯が見えるほど気持ちのいい笑みを見せた。
「では」
アートは大きく息を吸い込み
「突撃ッ!!」
「皆殺しだッ!!」
開戦の火蓋が落とされた。
まぁ、感想は来ないでしょう...
...書いても良いんですよ?




