舞踏会の乱入者、多勢 その1
お久しぶりです!
長らくお待たせいたしました!
そう言えば、5月10日は私の誕生日でした!
てことはもう一年経つんですね。
執筆速度遅い!
いつまでも終わりが見えないルナとドロシーの試合は、突如として終わりが訪れた。
「アリス様そろそろお時間ですのでお城に戻りましょうか」
「待つかニャ!あともう少しで当たるかニャ!」
「は!何妄言を吐いているのですか。1発もカスリもしてないじゃ無いですか」
「それはお前も同じかニャ!」
「おじさんに当てた人となんかと同じにしないでください」
「1発だけかニャ!弾も込めないで狙って奴なんかに言われたくないかニャ!」
「はぁ...分かりました。後一回だけですよ」
「楽勝かニャ!」
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汗ひとつ流さず悠々とコタツを運ぶアート。
摩訶不思議仮面をつけ幼児用ビスケットを貪るリナ。
今日手に入れたステッキと帽子を被り鼻歌まじりにスキップしながら歩くミア。
そして、むすっとした表情で前を歩く二人組...ドロシーとルナがいた。
結局、三本勝負最終戦はルナとドロシーの泣きの16回が入ったものの弾はもはや才能としか思えないほど明後日の方向に飛び交い勝者は出ることなく引き分け。
犬と猫の命運を勝手に掛けていたという真剣勝負は、両者1勝1敗1引き分けという幕切れを見せた。
二人はその結果にえらく納得いかないご様子だった。
城門へと近づいてきたところで
「では、邪神様!私はこのへんでお暇させていただきます。くれぐれもドブ猫にご注意ください」
「うるさいかニャ!!」
ドロシーは後ろに軽やかにステップを踏みながら別れの挨拶をした。
ほんと最後の最後まで中の悪いことで。
俺たちは手を振りドロシーを見送る。
そういえば、ドロシーってどこに帰るんだろ。
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城内に入る頃には日は高く既に前半折り返し地点を過ぎ後半戦を駆け抜けようとしていた。
ところで、穴があくほど凝視してきた門番には、仮面を着けコタツを持ちながら鼻歌を歌いお互いを睨め付け合う謎集団は、どのように映っていたのだろうか...
そんなことを考えつつ城に入るやいなや俺たちを見つけたメイドが慌てた様子で駆け寄ってきた。
「アリスティア様!!どこに行かれていたのですか!もう直ぐ立食会が始まるんですよ!?」
メイドはアリスに駆け寄りまくしたてた。
ん?よくよく見てみればこの人アリスのお父さんの部屋にいたメイドさんだ。
「まぁまぁ、アリシアさん立食会まであと30分はあるじゃないですか。パパーっと着替えて準備すればまだ間に合いますよ」
「アートさんは何もわかってない!!」
メイドもといアリシアさん?はアートに掴みかかる。
「あーーもぉ!!!衣装の着付け、化粧に髪も結わないといけないのに!!30分で終わるわけないでしょ!!!」
アリシアさんは天を仰ぎ見る。
「とにかく急ぎますよ!!」
「行ってらっしゃいませー」
にこやかに微笑んだアートに見送りられアリシアさんに手を引かれいつもの拷問室へと向かうのだった。
「アート!終わったお話があります!!!そこで待っておきなさい!!」
「...了解致しました。」
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急ぎ足で衣装部屋へと足を運んだ俺たちは、いつもより忙しなくパタパタと動き回るメイド隊に囲まれていた。
「時間がないですから化粧は、皆様元が良いので軽く!髪は流してください!」
アリシアさんが四方八方に指示を飛ばす。
「衣装は...もう仕方ありません、変に手をつけるよりかは、今の服に何か適当なトップスでも引っ掛けて誤魔化してください!」
お?どうやら、計らずもあの窮屈な服装が回避できたようだ。
アリシアさんには申し訳ないがアートに感謝した。
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またいつもどーり、と言ってもまだ3回目の誕生祭が始まった。
少々暑苦しい格好にはなってしまったが息苦しくはない分いつもよりか楽だ。
「本日はお日柄もよく良い1日になることでしょう」
「そうですねぇ。今日も良いお天気ですね」
「ええ全くです。今日の太陽はあなたの笑顔のように眩しい」
「えぇ、全く全く...」
「そういえば、リーン様は、お仕事は何をなされておられるのですか?」
「徹夜で書き物をしたり、迷子の保護者を探したり、笑顔でお客様のご対応をさせていただいております」
「は、はぁ...そうでなんですか」
もう3度目にもなると普段の仕事と何ら変わらないにこやかーなおべっかを使いながら今日の出来事を思い返していた。
始めは、ルナとドロシーの邂逅から、小競り合いへと進展し、犬と猫の安っぽい命運を掛けた小賢しい三番勝負にまで発展してしまった。
白熱した勝負の結果は、一勝一負一引き分けのドローと相成り両者不満の残るものとなった。
そんな未練タラタラな状態で今日は解散となり当初の祭りを楽しむという目的は果たせず仕舞いで終了。
ほんとに忙しない1日だったなぁと物思いにふける。
あ...そう言えば、すっかりと悪魔が出現したことを忘れていた。
あまりにもアッサリ、バッサリ、去ってしまったため忘れていた。
が、よくよく考えれば三番勝負なんかよりよっぽど大きな事件だったのではないか?
神話上の生物である悪魔が現れたのだ小さな事件であるわけがない。
しかし、辺りを見回しても至って普通。
平常運行だ。
いやまぁ、神話上の生物なんて甘いものか犬でも持って来ればいくらでもつられて出てきそうだが。
もしかしたら、悪魔なんて生き物は、黒光りする虫のように一般的で、この世界にとっての日常なのだろうか?
いやいや、だがリナによると悪魔は見ればすぐぶちのめさないと行けない存在で、アートによれば人類に仇なす者と、どう好意的に考えても厄災の根源的な存在で...ん?
まさしく、あの虫では?
すぐぶちのめさないとまた姿を現し、人類にとって途轍もない嫌悪感を催す害虫。
うん、あまり深く考えない方がいい。
気持ち悪くなってきた。
ふと、いつもは見かけない人影を見つけた。
「アート?」
少々やつれながらもいつもと変わらぬにこやかな笑みを浮かべこたつではなくハルバードを手に持ち直立不動の体制で立っていた。
何時なら夜中の寝ずの番の疲れを取るため、立食会の時間に仮眠を取って居るはず。
今日に限ってはアリシアさんに説教を受けてるはずの最高位騎士団係長代理兼アリス見守り隊の会会長のアートが何故ここに居るのだろうか。
よくあたりを見渡してみればみればアートの他以外にも初めて見る兵士が多い気がする。
と言うか、いつもは綺麗な装飾の施されたレイピアとかを持っているのにタワーシールドやらフランベルジェやら、やたら重装備をしている気がする。
胸騒ぎがする。
...よく考えてみれば今日だけ特別にドレスではなくいつも通りの動きやすい格好に分厚めの上着。
明らかにドレスコード擦れ擦れアウトの服装だ。
今日だけ?たまたま偶然?
たまたま今日だけ帰りが遅くなって服を着替える時間がなくてたまたま兵士みんなが重装備なだけ?
いや、いくら時間がないからといって護衛である俺はともかく一国の王女であり、今回の主役がそんな服装?
ありえない。
そして何より明らかにおかしいのは、いつも通りの服装してるゆえに今俺の懐には雅さんだか佐藤さんだかが作った短剣が隠されて居る事だ。
やばすぎる。
胸騒ぎは悪寒へと変わった。
ドォンッ!!
壁が盛大に吹き飛んだ。
バーチャルユーチューバーとか面白いなぁとか思い始めた今日この頃
 




