犬猫の誕生祭、3日目 その6
皆さんお久しぶりです!
異世界より日本に帰って参りました!
がまぁ...忙しくなるのでまた期間あきそうです。
すいません...
いい加減一発も当たらないドロシーとルナの泥試合を見るのも飽き飽きしドロシー達をよそにみんなで射的をやることにした。
射的は一回500アリスでコルクの弾が5発貰える。
1発は100アリスとかなり高額なコルク。
祭りは楽しいがヒータ前のアイスのように金が溶けていく悪魔の催しだ。
明日になれば悪魔に魂を奪われた財布軽さに愕然とする事は間違いなし。
が、今は一瞬間の甘美な囁きにお金を払った。
アーメン。明日の自分。
先に始めていたアートは無難に小さなお菓子の箱を狙っていた。
可もなく不可もなし。2、3発に1発は当たる具合。
コタツ置けばいいのに。
ミアはどうやら大物一点狙い。
マトが大きいゆえにあたりはするものの落ちる気配は全くなし。
そしてリナはというと
パン。
乾いたコルクが飛んでいく。
ボトッ。
「お嬢ちゃんうまいねー。射手かなんかかい?ハッハッハ」
「ま、これくらい楽勝よね」
以外にうまかった。
...なんか負けたくない。
と対抗心がルナやドロシーではないけどもふつふつと湧き上がった。
「こちとら何年もFPSで鍛えてられてんだ!器用貧乏神なんか負けてられるかってんだ!」
「誰が器用貧乏神よ!」
狙いを定め引き金を引く。
パン。
引いた指に合わせ放たれたコルクは見事お菓子の箱のど真ん中を貫きその座から引きずり下ろした。
「よし!」
思わずガッツポーズ。
「お二人ともお上手ですね」
「おぉ、二人ともうまいのじゃ」
「かぁー。そっちのお嬢ちゃんもうまいねぇ!こりゃ商売上がったりだ!ハッハッハ」
賞賛を受け少し照れくさい。
屋台のおっちゃんが拾った景品を俺はいそいそと受け取った。
幼児用ビスケット。
あー...うん。美味しいよね。
さて次は一体何を狙おうかと悩んでいるとミアにこんな提案を持ちかけられた。
「リン!リン!アレを落として欲しいのじゃ!」
全弾撃ち尽くしてしまったらしいミアが先ほどから狙い続けている一つの景品を指差す。
ミアが指差す景品はお菓子やおもちゃやらが立ち並ぶ中でひときわ異彩を放っている暗黒物体。
頭頂部がとんがりやたらツバの大きな真っ黒帽子。
ヘンゼルとグレーテルの魔女が予備の予備まで揃えていそうな教科書通りの魔女帽子。
マジカル魔法少女ミア!(横ピース)にとっては必須アイテムというところなのだろうか?
しかし...
大きさといい重さといい。
「あれ落ちるの?」
「取って欲しいのじゃ...」
「うっ...」
...ウルウルとした瞳を使い上目遣いで懇願してくるのはずるいと思いませんか?
しかし、別にとりわけ欲しいものがある訳でもない。
ビスケットよりいいかと試しに一発撃ってみる。
パン。
乾いた空気の小気味好い音を鳴らして軽いコルクが飛び帽子の中央に当たるがビクともしない。
考えるまでもなく当たり前の出来事だった。
ならば狙う位置を変えてみてはどうかと帽子のつばの裏側を狙って見る。
パン。
結果は意外にも帽子の前方部分がフワッと軽く浮いた。
だが、浮きはしたものの動きはせず。
しかし、パッと分厚い暗雲を突き抜け奴を落とすとある一筋の策が差し込んだ。
「おっちゃん!銃もう一丁貸して!」
「いいけど、何に使うんだい?」
二丁のライフルをコッキングしてからラスト2発の弾丸をギュッと銃口の奥へ詰め込む。
これでさっきよりも空気が多く入りさらなる威力向上が見込まれるライフルの完成だ。
バッと二丁のライフルを構える。
「二丁小銃だ!」
映画でよく見る(気がする)ポーズを決める。
「...はぁ。そうですか」
「ダブルアクションって意味間違ってるわよ」
「おぉ!かっこいいのじゃ!」
...皆からの絶賛を受けいざプレイショット!
俺の考えた策というにはあまりに安直な作戦は、まず帽子のツバを撃ち帽子を浮かばせたところ、ど真ん中に2発目を撃ち込むというシンプルなもの。
だが、この策とてつもない欠点があった。
「狙いにくい...」
「でしょうね」
と言うのもこれ、銃を両手に持たなくてはならないためにリアサイトからフロントサイトを覗き込みその先に目標をセンターに入れることなど不可能だ。
故に読んで字のごとくの正しく当てずっぽう。
しまいには、狙いを定めようと長時間両手を伸ばしっぱなしにしていたせいで腕がライフルの重さに負けプルプルと震えだしやがった。
しかし、弾は残り2発。
泣いても笑っても一発勝負。
1発目で帽子が浮かばない時点で、2発目で帽子の中央を射抜かない時点で即終了。
そんな最初で最後の小さなチャンスを詰め込んだライフルの引き金をゆっくりと引いた。
「なんぼのもんニャー!!」
パンッ。
1発目のコルクが心地よい炸裂音を撒き散らし螺旋軌道を描きながらダーゲットへ向かい飛び出した。
乾いたコルクは狙い通りツバの底を正確に叩き帽子をフワリと浮かばせ一矢報いる。
よしきたと間髪開けず2丁目のライフルの引き金を引く。
パンッ。
2発目のコルクも爽快な炸裂音を響かせ帽子に向かい飛び立った。
「ニャ!」
だが、腕震えたせいで弾は中央より少し上部。
帽子の頭頂部に当たる。
これではうまく力が働かず帽子は落ちない。
瞬間、脳裏にミアの残念がる姿が目に浮かんだ。
帽子がフワリフワリと元の位置に戻るまでのわずかな時間がえらく長く感じられる。
どうやら、最初で最後の小さなチャンスは、大きな壁に阻まれ簡単に潰えてしまったようだ。
パンッ。
突如意識外から発砲音がした。
すると間も無く視界外から現れたコルクは、未だ少し宙に浮いていた帽子の中央を貫く。
帽子は、軽いコルクの力に押されふわりふわり地面へと呆気なく本当に呆気なく落ちた。
俺は音のした方を見てしばらく言葉を失った。
すると犯人は、今日一番、満面のドヤ顔を浮かべ
「私の勝ちね」
リナのなんとも言えない勝ち誇った顔が憎らしかった。
どうやらリナも俺と同じく対抗心を燃やしていたようだ。
だが、要は最後の美味しいところだけをかっさらっただけのハイエナじゃないか!
こんなルール無用のハイエナに負けたなんて正直、相当な不満しか持ち合わせていない持ち合わせていないが、まぁ、しかし今回は
「二人とも!感謝するのじゃ!」
貰った魔女の帽子を嬉しそうに被るミアの笑顔に免じて水に流す事にした。
「可愛い...」
「...ロリコン」
質問でもなんでも良いので取り敢えず感想くださいいい!!!!




