悲哀の生誕祭、1日目
皆様いかがお過ごしでしょうか?
私は最近怠惰で自堕落な生活を送っております。
いや〜、暇ですね!
「んんんー!よく寝たー」
俺は、アリスも同じ部屋で寝ると言うことで足りなくなったベットの代わりにしていた、ソファーから起き上がる。
もはやふかふかのベットなんかよりも硬ーく狭ーいソファーの方が熟睡できてしまいそうだった。
何気に窓の外を見るとすでに日は高く上っていた。
太陽を見ただけで時間がわかるなんて超能力は持ってないけども10時ちょっと過ぎくらいと予想する。
どうやら、昨日の疲れからかちょっと寝すぎてしまったようだった。
アリスたちはどうしたかと思い三つあるベットを見た。
ミアとアリスは、まだスヤスヤと小さな寝息をたててぐっすりと寝ていた。
やっぱり疲れていたのだろう。
しかし、稀代の問題児、リナが見当たらない。
よく見てみればオペラ座の仮面も見当たらなかった。
さては、また1人祭りに行ったな?
全く危機感の無いやつだ。
「ふぁぁ…」
「んー!!」
そんな事を考えているとボサボサの髪を手櫛で解き寝ぼけ眼を擦りながらミアがボケーっと起き上がり、ミアとは対照的なパッと開いた瞳でグーっと伸びをしながらアリスが起き上がった。
「おはよう」
まだ眠そうなミアと朝に強そうなアリスに挨拶をした。
「おはようじゃ…」
「おはよう!」
「おはようございます」
三者三葉それぞれ違った返事の仕方をする。
蚊の鳴くようなミアの声と、元気ハツラツなアリスの声と、ん?
三つ?
俺は後ろを振り返った。
「おはようございます。アリス様。ミア様と…ピエロ団員様?」
誰がピエロやっちゅうねん!
そこには、いつの間に入ったのやら、部屋の中に俺たちが寝ている間ずっと扉を見張っていたらしいアートが立っていた。
俺はアートに訝しみながら近づき
「アートさん、ピエロじゃない。俺は、冒険者でリンって名前だ!」
アートの頬をつねりながら間違いを修正した。
リナと同じように見られては流石にかなわないからな。
「ひぃつれいひぃました。リンふぁま。ひぃたいでふ」
アートは姿勢を崩さないままにただ非礼を詫びた。
うーむ、どうやらこのアートは本物のようだ。
それがわかると俺はそっと手を離した。
「いや、これは失礼しました。リン様。しかし、私、いつ名乗りましたっけ?」
…...あ。
しまった...
そういえば、アートとは部屋に案内された時以外会ってないという程だったはず。
これでは、襲撃のあの日アリスに変装していたことが露見しまう…
何たる誘導尋問。
策士め!
「あー…あ!そう!アリスに教えてもらったんだ。ね!アリスね!?そうだよね!!??」
俺はアリスにウインクをして相槌を打つように必死に合図を送る。
「ん?何言っておるんだ?」
アリスは首を90度傾げた。
このアホー!!!!!
「アッハッハ!少し意地悪が過ぎましたね。全部国王陛下より聞いておりますよ」
アートはお茶目にも舌を出して笑った。
...策士め。
バンッ
ドアが勢いよく開かれた。
誰かと思えば思って見てみればなんだなんの変哲も無い覆面強盗。
…もといリナが立っていた。
「フフ〜ン。我ながらいいタイミングと言ったところかしらね?」
リナは辺りをぐるりと一周見回してからそう呟いた。
「お待ちしておりました。サーカス団団長様」
「誰が団長よ!」
リナが朝も早々に爽快なツッコミをアークに入れた。
「失礼しました。リナ様。では、パーティーには少し早いですが皆様そろそろ行きましょうか。どうか、アリス様をお護りください」
アークは、今までに見たことの無い真剣な顔で頭を下げた。
何を隠そう、俺たちは誕生祭の間、貴族どものパーティーに参加しどこからくるかわからない暗殺者からアリスちゃんを守ってくれという重要な密命を王様より受けていた。
俺は、ぐっと気を引き締めた。
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俺は、ぐっとお腹を引き締められた。
貴族が参加するパーティーということでさすがにいつも着ているような小市民の服はダメとのことで着替えに来ていた。
「く、苦しい...」
メイドの一人がコルセットとかいう拷問器具の紐をクイっと引っ張った。
本当にこの世界の人はこんなものを着ているというのだろうか。
だとすれば、きっと息をしない生物か何かに違いない。
ドレスの着付けが終わる頃にはすでに息も絶え絶えでとてつもない疲労感に襲われていた。
というか、こんなに疲れるんだったらリナの権能で着替えた方がよかっただろ...
「終わりましたよ。リーン様」
メイドの一人がパーティに参加する時だけに使うために作られたもはや偽名になってない安直すぎる俺の偽名を呼びそっと姿見の前へと案内してくれた。
俺はおもわず目を見開く。
疲れ果てた表情ではあるものの真っ黒のドレスがその肌の白さの対比により一層美しさ引き立たせ、大きく露出した肩にふんわりと乗っかった銀髪がベールのようにかかり神秘的な空間を作りす人物が立っていた。
…これが他人であればどれ程嬉しかった事か。
俺は、この世界に対する少しばかりの抵抗と自分へのご褒美も込めて姿見に映る美少女に精一杯笑いかけるのであった。
「ナルシストね」
「違う。」
うーむ…
何言うか筆、もとい指があまり進まず投稿が遅くなってしまいました。
は!?もしやこれがスランプという物なのでしょうか!




