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祭りの夜、波乱の予感

物語の大きな場所なのでゆっくりと書かせてください。


と言っておけば多少サボってもバレないか…

「あああああぁぁぁ!!!」


 本を顔に被せうとうと船を漕いでいると、そんな甲高く可愛らしい絶叫が耳に入って来た。


 慌ててソファーから起き上がる。


 ゴンッ


 頭を何かにぶつけた。


「あー…痛い」


 ぶつけた頭を撫でながら最悪の起床(ソファーを寝床だとは認めはしないが…)だと思った。


 何にぶつかったのかと重たい瞼を無理やりこじ開けて見れば目の前には例の見知らぬ女の子。

 女の子は寝転んでいる俺のお腹を跨って自分の頭をさすっていた。

 どうやら俺はこの子の頭と正面衝突した様だ。


 しかし、何だこの状況?

 頭の中は疑問符が現れていた。


 女の子は、俺が起きた事に気付きじっと俺の顔を見つめた。

 しばし無言で見つめ合う。


「…あの…どうかした?」


 静寂に耐えきれず疑問を吐いた。

 しかし、俺の言葉に女の子は耳を貸すことなく、ペタペタと俺の顔を触り始めた。

 遠慮なく断りなく。

 頬を猫耳を尻尾を、撫で、抓り、揉み、捻り、引っ張って。


 ??????????

 頭の中は疑問符で埋め尽くされた。

 あの、痛いんですが????


「お前もカムナギなのか!」


 不意にこの状況を作り出した元凶が口を開いた。

 その声は管楽器のように透き通った声。


 カムナギ??

 何だろうこの世界の何かなのだろうか?

 喋ったかと思ったら訳の分からない事を…


 取り敢えず身の上を話すこととした。


「俺は、ミアの友達のリンだけど」

「ミアの!…んー…ん?」


 何やら顎に手をあて考え込んだ様子。


 城の関係者ならばミアを知ってるかと思ったら正解?

 …と言うか早くどいてくれ。


「ロリコンのリンさん?何してるのかな?」


 ふと、横から優しげな声音でそんな事を話しかけて来たのはリナだった。

 しかし、明らかに目がやばい。

 その目は、ついにやったかと言う失望の(まなこ)にも、やりやがったと言う憤怒の瞳にも見える恐ろしい眼差しだった。


「なんか絶叫が聞こえたかと思って起きて見れば、何なの状況。ロリコンのリンさん。説明してくれるわよね?」


 そう言ってリナはジロリと睨んだ。


 だから目が怖いんだって。


「いやいやいや!!待て待て!説明して欲しいのはこっちだ!馬乗りになってるのが俺ならまだしも俺は馬乗りになられてるんだ!!」


 そう必至に訴えてみるがリナは懐疑的な目でまだ見ていた。


「うぅぅ…なんじゃ…うるさいのぉ」


 そんな眠そうな声を出したのは、寝起きでボサボサ箒頭のミアだった。

 ミアは目をこすりながらゆっくりと起き上がった。


「ミア!」


 女の子はミアの懐へと一直線にダイブした。


「グェッ!」


 化鳥の鳴き声がこだました。


「久しぶりだな!ミア!」


 女の子はミアに抱きついてそう言った。


 やっぱり知っていた様だ。


「な!何でアリスがここに居るのじゃ!…て!やめい!!」


 女の子はミアのプニプニのほっぺを捻ったり引っ張ったりして遊んでいる。


「やっぱりミアの知り合い?」


 アリスと言われた女の子を後ろからヒョイと抱き抱え、ほっぺをいじられ涙目になりかけてるミアを救出する。


「そうじゃな。こやつは、アリスティア・リール・ア・ルナティーナ。この国の第1王女じゃ」


 なんて、ミアは軽く話した。


 王女…

 また厄介そうな奴が…


「とお!」


 アリスは足を大きく振る事で俺の拘束から抜け出し、一回転してから両足を揃えた綺麗な着地をした。


「そうだ!私はこの国で一番可愛いお姫様だ!」


 腕を組み胸を張って毅然とした態度でそう自己紹介した。


「お前たちはさすがはミアの友達だけあるな!余と同じくらいに可愛い!」


 俺とリナを両手で指差し高らかに宣言した。


「特別だ!余をアリスと呼ぶ事を許可するぞ!」


 お姫様から、そんなお許しが降りた。


 可愛いはともかく、認めてもらえたってことかな?


「してお前たちは、誰なのだ?」


アリスちゃんは可愛らしく首を傾げた。


「さっきも言ったけど俺は、ミアちゃんの友達のリン。よろしくねアリスちゃん」

「私は、美の女神。リナよ。よろしくね」

「ニャ?」


アリスちゃんは何故かまた首を傾げた。

ん?


「あ!アリスちゃん。大丈夫?この変態(リン)に何かされてない?」


 リナはアリスの奇行を見てさえまだ俺を疑っている様だった。


「特に何もされておらん!でもなかなかの肌触り、毛触りであった!」

「よかったわ。何もされてないならいいのよ」


 俺は何かされてるんだが…


「そんなことよりも!余は祭りに行きたい!その為にここに来たのだから!」


 アリスはあからさまに目を輝かせていた。


「あら、アリスちゃんも祭りに行きたいの?ならちょうどよかったわ。私たちもそろそろ行くつもりだったのよ。一緒に行きましょ!」


 いつの間にか羽のついた仮面をつけ準備万端と言わんばかりの格好のリナがそう言った。

 しかし、祭りに行く前に俺には1つ聞いておかなくてはならない事があった。


「おぉ!そうか!なら」

「待った。」


 アリスとリナがジロリと俺を見た。


「アリスちゃん、それちゃんと城の偉い人に許可とった?」

「あ…」


 リナは気づかなかった様だった。


「どうなんだ?」


 俺はアリスへ問い詰めた。


「ハハハ!…大丈夫だ!…たぶん」


 あぁ…これは大丈ばないやつだ。

 あとあと問題になれば…


 『猫耳探偵初回スペシャル

 密室王城誘拐事件!

 祭りの喧騒に消えた少女。悲しき王女の秘密とは』

 にて探偵が捕まって最終回を迎える衝撃展開が目に見える。


 リナと目があった。

 こいつもことのヤバさを理解した様だった。


 自分から誘った気まずさからかリナは何も言わずに黙っている。


「んー…どうしたものかな」


 アリスはイヤーな空気を察してなのか懇願する様に俺をジッと見ていた。


「今日しか行けないだ!明日からはクソ面倒なパーティやら何が面白いのか分からぬお披露目会やらうわべだけの貴族への挨拶やらがあって行けないのだ!だから、今日余を祭りに連れて行ってくれ!」


 アリスが必死に訴えた。


 そんな風に必死に言われるとなんとも可哀想に思えてくる。


「よし!私に任せておきなさい!どうにかしてあげるわ!」


 リナはビシッとアリスに指をさし意気揚々と堂々たる態度でそう言った。


 やる気のリナに俺は一房の不安しか感じなかった。


 犯人役で出演だけはしないでくれよ?

 何かあったらミアにどうにかしてもらおっと…

忘れてるたかもしれませんがリンさんは猫耳ついてるんですよね…

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