見えない能力、一つ?
お久しぶりです。
いつの間にか地震、大雨など、色々と起こりましたが、皆さんは大丈夫ですか?
不幸が続くと気が滅入るものです。
深呼吸して行きましょう。
やばい!やばい!やばい!やばい!!
裏口を走り、薄暗い通路を抜けた先は広い庭。
庭は丁寧に芝が刈られてさらに満月の光も相まってとても見晴らしがいい。
あの建物の裏にこんな綺麗な庭があったのかとこんな時に場違いな感想を抱いてしまった。
「お嬢さん、こんな時間に慌ててお出かけですか?」
何処からともなく男の澄んだ声が響く。
バっと声のする方を振り向いた。
金色の髪を夜風に揺らめかせ、赤い目を月明かりに輝かせる少年。
こんな目立つイケメンが店の関係者かは知らないが、とにかく逃げるように言うべきだろう。
「さっき殺人鬼に襲われたんだ!!早く逃げろ!!あんた殺されるぞっ!!」
俺の怒鳴るような忠告を聞いても全く焦る気配なくゆっくりと優雅に腰掛けて居た石から土を払いながら立ち上がった。
「やっぱり、あなたも関係者…」
ボソッと少年が何かをつぶやいた。
「ん?何か言ったか?いや!それよりも、早く!逃げ」
「私なんか将来の事を思えば、確かに今ここで逃げ出したほうが良いのかもしれない、だけどそう言うわけには行かない」
「何言って…」
少年は、懐から青い宝石のついた少し長めのナイフを放物線を描くようにふわりと俺の胸元めがけて投げた。
「うぉ!危なっ!!いきなり何するんじゃ!」
ナイフを慌てふためきながらもどうにかキャッチする。
「彼から逃げれたと言うことはあなたは、その美しい見た目と違って相当の手練れのはず。ならば、幹部、もしくは実力に相応しい地位の者。そんな重要人物を逃がすわけにはいきませんね」
少年はカッと赤く輝く瞳を大きく開き、真剣な表情でこちらを見た。
「構えなさい!今、私はあなたに決闘を申し込みます!」
少年は今までの覇気のない声ではないしっかりとした意思のある声を響かせた。
が、俺にそんな人の機微がわかるはずもなく
「何バカな事言ってんだよ…ほら行くぞ!ここは危ないんだって!」
少年の手を取り、一刻も早くここから離れようと走り出した。
「な、何を、すんるんですかッ!」
ガンッ
痺れるような痛みが手にかかる。
ギギギっと金属と金属の擦れる嫌な音。
「やりますね」
ん?!
どうなってるんだ!?!
完全に理解が追いついていなかった。
ほんの一瞬、瞬きをする時間程度の間に突然少年は、細剣を抜き後ろから俺に斬りかかっていた。
しかしその剣を俺は受け取ったナイフでしっかりと受けていた。
殺人鬼の時といい今といい、これは
体が勝手に動いた。
そうとしか考えられなかった。
「もしかして…」
少年は、ありえない跳躍力で後ろへ距離をとる。
「次からは手加減はしません。真剣にやらないと死にますよ!」
そう高々と声を張り上げてから、剣をまっすぐ俺へと構え矢のような速さで迫った。
「ちょちょちょちょ!ストップ!!ストーップ!!!」
あらん限りの声を張り上げて待ったをかけたが少年は止まる気配がなかった。
ゾクッ
またもや全身を貫く悪寒が駆け巡る。
ズサー…
悪寒の言うままに草むらへと豪快なヘッドスライディングをかました。
すぐさま立ち上がり少年を確認する。
少年は、目の前まで来ており、剣を上段に構え今にも振り下ろそうとしていた。
ドンッ
すぐ横で剣が風を切り地面をえぐる音がした。
少年が振り下ろした剣を無意識に体が動きナイフで左へと軌道をそらしていた。
剣を引き体制を整える前にと少年から距離をとった。
軽い深呼吸をし息を整える。
「やっぱり」
この体にはまだ『ギフト』以外の隠された能力がある。
でなければ、今日だけで4回は死んでいたはずだ。
そして今はその不確かなものに頼るしか逃げ道はない。
少年はまたもや矢のような速さで迫ってくる。
深呼吸をし覚悟を決める。
俺は全身の力を抜き体が勝手に動く不思議現象に身をまかせる。
これは一種の賭け。
動かなければ即死亡の一世一代の大勝負。
しかし、死の恐怖とは別にこの状況に興奮する自分がいた。
剣と剣が混じり合い、命を奪い合う。
元の世界では到底味わえなかっただろう刺激的な出来事。
「エマ様!!ここで終わりなんて面白くない展開やめてくださいよ!!!」
少年はしっかりとこちらを見据えすぐそこまで迫っている。
覚悟を決めたとて怖いものは怖い。
思わず目を閉じてしまいそうになるのをどうにか我慢する。
ブンッ
髪がふわりと舞い、頭のすぐ真横を剣が通り抜けた。
「チッ!」
ニヤリ
少年は、すぐに身を引き、その勢いを利用し一回転し真横に切りかかるが、俺は重力を感じさせないふわりとした軽い足取りで後ろへ飛ぶことで回避する。
だが、少年の追撃はそれでは終わらない、距離を詰め右へ左へ何度も剣を振るった。
右へ左へ剣が動くたび左へ右へと踊るように髪を揺らし軽やかにかわした。
最後に少年は大きく剣を振るった。
力強い大振りを難なくかわし出来た隙をつき少年の懐に飛び込み、ナイフを振るう。
が少年は大きく後ろに飛び去ることで難を逃れる。
俺は心のそこから笑みを浮かべた。
「やっぱり!こうでファンタジーはこうでなくっちゃ!!」
小説書く用の曲に飽きてきてしまって…
何かいい曲ないですかね
 




