八百万の神、一柱 その2
感想欄が最近また乾燥してきています…
おっと、大寒波まできました。
飢えそうなので誰かおコメをわけてくれませんか?
「死神!?」
「そう私は死神、神の中でもかなり格の高い神様なんですよ?」
プルーはドヤ顔を見せた。
「どこの世界でも不思議と死にたいと思う人は案外多くてですね。一時の気の迷いの人や本気でそれを考えてる人もいるんですよ」
主祭壇の周りをうろうろと歩き一拍のためを作る。
そしてプルーは怪しげな笑みを浮かべ
「そして、私はその手助けをしている!」
死にたいと思う人の手伝い。
つまりは...
「ひ、人殺し?!」
ドタッバン!
あまりのカミングアウトに長椅子から盛大に転げ落ちた。
「プッ」
プルーは主祭壇に体重を預けるようにもたれかかった。
「プフッフ。アー!ハッハッハッ!そこまでリアクションしてくれますか?普通!」
プルーはバンバンと主祭壇を叩いて笑った。
「私が人殺しな訳ないじゃないですか!」
プルーは涙目になりお腹を押さえながら否定した。
「いったでしょ?神の権能は役に立ちそうで立たないものだって。それは私だって例外じゃない。私の権能は死の神だというのに人を殺すものとは程遠いもの。それを役立てようと思ったら殺す以外の方法しかない。だから殺せないし殺さない」
プルーはやれやれといった仕草を見せた。
「全く、始まりの神を恨みますよ」
プルーは固く拳を握りしめた。
人殺しじゃ無いのか。
よかった…
危うく「勘の良い子は嫌いです」とか言われて口封じされるかと思った。
俺は椅子に座り直した。
あぁ、腰痛い…
「ところで始まりの神ってさっきから言ってるけどそれは誰?」
「あぁ、説明してませんでしたね。始まりの神は読んで字のごとく一番最初の神でして、私たち見たいに願いから生まれた偽物の神と違って生まれながらの神ですよ」
生まれながらの神??
ならその神を生んだ何かは何になるんだろう?
ややこしいから聞かないでおこう…
「ちなみに、世界の全てを作ったのは始まりの神なんですよ」
ふーむ、
始まりの神は創造の神ねぇ。
「何でこんな七面倒な世界にしたんだって感じなんですけどね」
プルーは両手を挙げやれやれと言ったポーズをとった。
それについてはひどく同意できてしまう。
どうせ作るなら、もっと住み易い ー 正確には働かなくて良くて何もしなくてもモテモテで遊んで暮らせる世界にしてくれればよかったのに。
「余談ですが、風の噂では現在始まりの神は、一番最初に願われた願いの神として顕現してるらしいですよ。でも、最初の願いって何なんでしょうね。見つけたら殴り込みに行くんですけどねぇ〜」
プルーは和かにひやりと冷たい笑みを見せながら話した。
怖い怖い怖い
それじゃ、殴り込みどころか魂取りかねない黒さだよ。
でも、最初に人が願った願いって一体なんだろうか。
食欲?
「ま、こんなところですかね。大体は。他に何か聞きたいことありますか?」
「あ、神の話とは関係ないんだけどひとついい?」
「いいですよ」
「レオってプルーの姉弟?」
プルーは最初意味が分からずキョトンとした顔をした。
「まさか!私は表向きには神ではなくこの教会のシスターをやっているんですよ。それで、あの子は孤児院もついでにやっている私の教会で引き取った子の一人ですよ」
へぇ〜、プルーって以外と優しい?
「あ!また失礼なこと考えてませんか?」
「いやいや、考えてませんよ!」
なんでプルーは心の中が分かるんだ。
その後暗くなるまでプルーとたわいのない雑談に花を咲かせた。
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あたりはもうすっかり暗くなっていた。
早く帰らないとリナが何をいうかわかったもんじゃない。
「そろそろ帰ろうかな。今日は楽しかったよ。ありがとう」
「いえいえ、こちらそ、って。あ!そうだ、どうぜならここは教会なのですから最後に懺悔でもしていきませんか?」
「懺悔?あぁ!一度やって見たいと思ってたんですよ!」
「そうなんですか!ちょうど良かったです。でも、もう時間も遅いので簡易式でいきますね。そこに座ってください〜」
ちょうど良かった?
まぁ、いいか。
俺は言われるままに地面に座り込んだ。
「迷える子羊よ。あなたの犯した罪を神の前に告白してください。」
プルーの雰囲気が今ままでとはまるで違うものになった。
まるで肖像画にでも出てきそうな聖女が浮かべるような慈愛に満ちた微笑みで俺に問いかける。
やばい、罪とか特に考えてなかった。
え?そんなに真剣なやつなの?
「えー、飲食店のバイトは給料が少ないと愚痴を零してしまいました」
ダメかな?
ちらりとプルーを確認した。
「フッ」
プルーは必死に笑いをこらえていた。
あ、大丈夫そうだな。
「それでは神の前で許しを求め心より悔い改め祈ってください。」
まさしく神の御前。
俺は心より祈った。
深く深く。
働かなくても楽に暮らせますように!
「その祈りはきっと死の神プルームへと届いていることでしょう。」
いや、まぁ、そりゃ届いてるでしょうね。目の前にいますし。
「神はその慈悲深い心で必ずやあなたの罪を許してくれることでしょう。今後あなたが生きるべき道を見失わぬよう共に祈りましょう。『ハピネス』」
プルーの白い手から出た優しい緑の光に包まれる。
まるで幸せそのものに包まれているかのような気分になる。
ふわふわと浮かぶような。
まさか、懺悔をするとここまで心が安らぐのものなのか
「はい。おーけーです」
「ありがとう。おかげでとても心が楽になったよ」
「それは良かったです」
プルーはにっこりと微笑んだ。
「最後、魔法使わなかった?」
「使いましたよ。神聖魔法中級の『ハピネス』です。少しの間幸福感を得ることができるんですよ。これを使うと、とっても受けが良いんですよ」
え?なにそれ、危ないやつじゃないよね?
「ま!こう見えてもオモテの顔はシスターですからね。そのくらいできますよ」
プルーは本日2度目のドヤ顔をした。
「じゃ、懺悔代3000アリスです。特別に講師料は無料にしてあげます」
「え!?金取るの!?」
「当たり前ですよ。神だって飢えると死ぬんですから。だからカムカムマネー」
俺は渋々、プルーに3000アリスを渡した。
「まいどありー」
この世界、世知辛ぇ...
「...始まりの神のバカヤロー!!!」
最初の願いって何なんでしょうね。
あなたが一番最初に望んだこと良ければ感想に書いてくれたりしません?
しないですか...そうですか...




