少年と黒王女
「爵位・・・・?」
「はい、要するに国に仕える代わりに領地と権限を与えられる存在ですね。最もキラさんには、この「国に仕える」という部分も免除させていただく予定ですが。一応土地を与えるには爵位が必要となるので名誉子爵あたりになるのでは無いでしょうか?」
いや、爵位が何かは知っているよ?
でも、今シフル様さらっと凄いこと言ってなかった?
「それってつまり、実質的に大きめの土地を報酬としてもらえると言うことですか?」
小鳥が俺の聞きたかったことを聞いてくれた
「まぁ、有り体に言えばそうなります。しかしながらですが、父上と交渉してみてもとある街を報酬として与えることが精一杯でした・・・・まぁ、正確に言えばそこが報酬となるように私が父上を誘導させていただいたのですが」
シフル様が黒い笑みを浮かべている
っていうかそこまでしてシフル様が俺に持たせたかった土地ってどんな場所なんだ?
「それはここです」
シフル様が地図を広げて一つの場所を指さす
少し山奥って感じだな・・・・・
しかし、どうしてここを俺に?
「えっ!?ここって・・・・・」
そんなことを考えているとニーナが驚きの声を上げた
なんだ?知る人ぞ知る有名な場所なのか?
「やはりニーナさんはわかるんですね」
シフル様の言葉にニーナが頷く
「だってここは・・・・・」
「そう、この場所は今から約2年前にとある魔族の暴走によって滅ぼされ、今は廃墟となった街」
その言葉にふと、記憶の扉が叩かれた気がした
「当時外に出ていた者を残して絶滅した、猫人族と呼ばれる穏やかで気性の優しい人たちが住んでいた街です」
その言葉で完全に思い出す
『私とタマはね、猫人族の母と魔族の父の間に産まれたの』
俺はニーナの方を見る
「・・・・・私たちの・・・・・故郷なんだもん」
震えるような声でニーナが呟いた
少し泣きそうになっているニーナとそんなニーナを心配するかのように眺めているタマを撫でながら俺はシフル様に向き直り、頭を下げる
「シフル様・・・・ありがとうございます」
何時か自分で探してニーナ達を連れていこうと思っていた場所なのだ
しかし、ニーナ達に案内させるというのは過去の傷を抉るような物だと思い先伸ばしにしていたのだがこれも一つのいい機会なのかもしれない
「しかしながら、ここはまだ当時村を襲った魔物達の溜まり場となっている可能性があります。十分に注意してください」
報酬に魔物のいるところを渡すのもどうかと思ったが、おそらくそれもこの街を俺に渡す条件として必要だったのだろう
でなければとっくに軍でも送って魔物を駆逐してくれているはずなのだ
「ニーナ・・・・・タマ・・・・・二人とも行けるかい?」
こう言ってもタマはなんのことか今一理解はしていないんだろうな・・・・と思いながらも声をかけると
「うん・・・・・私は大丈夫」
「タマも大丈夫なのー」
うん、問題は無さそうだ
もしタマがパニックにでもなったら皆でカバーしてあげればいい
ニーナとタマのためにならないからあんまりしたくはないのだが、いざという時は俺が魔物達を駆逐すればいいだけなのだ
「それでは失礼します!シフル様!ありがとうございました!」
俺はそう言ってまた一つ頭を下げるとシフル様に別れを告げてニーナ達の生まれ故郷へと向かった
シフル様が最初に「二つ話がある」と言っていたのも忘れて
キラ達が去ってしばらくして
「はぁ、全く・・・・・二つ話があると言っておいたのにあの様子だともう忘れてますね・・・・」
しかし、最初にあの話をするのはさすがに無理があった
この二つ目の話こそが私にとっては重要な事で、領地をキラさんにとって重要な事とするならば、私にとっては爵位を与えるということこそが重要だったのだ
「爵位とは得るのは難しいですが、キラさんくらいに有能な人なら短期間である程度まで爵位を上げることは可能でしょう」
そのための今は廃墟であり、魔物の領域でもある領地である
キラさんは魔物の領域であることがその街をキラさんに渡すことの出来た決定的な理由だと思っていたようだが、実は違うのだ
元々街であった魔物の領域を魔物から取り戻し、活発化させる
それだけでもかなりの偉業となり、爵位も上がるだろう
そして、更なる実績でも出せればその爵位は上級貴族と遜色無いものとなる
そう、王族である自分と結婚しても問題ないくらいに
それこそが私の伝えたかった重要な二つ目の話だったのだがそこまで焦る必要も無いでしょう
何故ならキラさんはもう領地を受けとる気が満々なようですから
今回シフル様が少し黒かったですね
はい、というわけでこれでキラ君を取り合うヒロイン全て出揃いました
ここからどういう風にメインヒロインに持っていくか作者少し悩んでおります
(ちなみに作者の中ではメインヒロインは決まっております)
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