惨劇と対峙
31階層からは先程までの密林の階層とは一変して火山の階層だ
敵も体が燃えていたり炎を吐いて遠距離攻撃してきたりと面倒な相手になってきている
流石にここでまでニーナの経験のために一人で戦わせるつもりもないので火山の階層である35階層までの敵は俺と小鳥で一掃した
36層からは氷山の階層になった
どうやら25層からは5層毎に階層の特徴が変わっているみたいだ
それにしても本当にコロコロと変わっていくからやりにくいといったらありゃしない
順調に進んでいた俺たちの攻略は次の日に到達した42階層のセーフティーエリアで止まることになる
「なんだよ・・・・・これ・・・・・」
セーフティーエリアは魔物などが出没することなく安全なエリア
それは誰もが知っていることだ
現に俺たちはこの42階層で魔物を見つけていないし、俺も罠を見つけることはできていない
そして、降りてきた階段からすぐに大きな部屋というのもセーフティーエリアの条件と一致している
今までのセーフティーエリアと決定的に違うのはおびただしい量の血痕と飛び散った肉片だ
「一体ここで何が・・・・・」
「恐らくですが盗賊か何かに襲われたのではないかと。しかし、それにしては血の量が多すぎるし、ここまで肉片が飛び散るようなこともないような気もしますが・・・・ほとんど相討ちだったのでしょうか?」
ルーナの返答を俺は軽く首を振って否定する
「次の階層への階段に向かう道の方に血の後がある。多分生き残った方は下の階層に向かったんだと思う」
ということは生き残ったのは生き残ったのはセーフティーエリアにいた人間を襲った存在だということになるのでは無いだろうか?
襲われた方の人間で有れば、階段から下に降りる必要も特にないし脱出石を使ってさっさと脱出するだろう
「・・・・・・・ニーナとタマ、ルーナ、小鳥はポチと一緒に戻ってギルドの人にここであったことを報告してもらってもいいかな?」
「キラ君はどうするの?」
「この血の痕を追ってみる」
「それなら私たちも・・・!」
ルーナがそう言ってくれるが俺は首を横に振る
「ギルドに説明に行くのは必須だし、この血の痕の持ち主をこのままほっておくことはできない。そして、気づいていないかも知れないけどこれをやったのは恐らく一人だと思う」
「どうしてそう思うのですか?」
「最初は偶然かと思ったけど血の痕が放射線上に飛び散っているんだ・・・・」
だから俺はこれをやったのは一人で、それも一撃でこうなったのではないかと思っている
そう説明するとルーナは
「だったら尚更私も一緒に!!」
と言った
確かにルーナの防壁は強いし、あればかなり助かるだろう
しかし、今回に限っては俺一人の方がいい
なぜなら
「別にやったやつを倒しにいく訳じゃないし、どんなやつか見に行くだけだよ。俺は最悪隠密からの脱出石で逃げられるし」
そう言っておく
そう、逃げられる保証なんてない
俺はこの惨状を引き起こした存在の予想すらついていないのだもし、相手に先に気づかれたりすれば気づかないうちに殺されるなんてこともあり得るかもしれない
確かに俺は強くなってはいるが「強さに関係なく相手にダメージを与える」類いの技があることを知っているからだ
例えば俺のマヒール
これは一応は回復の補助魔法に当たるので相手の強さ関係なく、叩き込めば倒せる類いの技だ
魔闘状態の俺ならばマヒールは効かないが他にそう言った技がないとは言い切れない
だからこそ俺一人で行くのだ
もし、大切な人たちが目の前で死んだら絶対に動揺するし、動揺すればそこに隙が生まれて俺が死ぬ可能性が上がる
それなら一人で行って気配察知や闘舞祭で使えるようになった気のサーチなど、関知能力をガンガンに使った方が生き残る可能性は高いだろう
一応は俺の説明に納得してくれたのかルーナたちは脱出石を使ってギルドに戻ってくれる
そして、次の階層へと降りると
「ぐやぁわぁ!?」
悲鳴が聞こえた
「くそ!こんなときに!!」
気配察知でそっちを探ると気配は二つ片方は死にかけに思える
とりあえず様子を見るために近づいて中を覗く
そこには床に倒れ付した冒険者らしき男と一人の少女がいた
ふと、その少女が顔を上げると
「おや?よかったね。おにーさん。おむかえのひとがきてくれたみたいだよ?」
その少女のどこか機械じみた声に冒険者らしき男が震える
「やっ、やめて!今度それをされたら・・・・死んじまう・・・・・ぐぴゃ」
「ばいばい」
男が言い切ったのと同時に少女が呟き、少女の体から紫色の波動が迸った
それは男に当たると男が破裂し、俺の元まで届いた
「がはっ!?」
「そこにいるおにーさんもばいばい」
少女の声が聞こえるが喰らって確信した
一人できて正解だったわ
俺は魔闘を発動させる
俺の体の中で猛威を振るっていたマヒールが消え失せる
どうやら相手の魔力は俺の魔力より低いらしい
「あれれ?おかしーな。まだおにいさんがいきてるかんじがするぞ?」
そうつぶやく少女の前に姿を現す
こいつはここで俺が倒しておかないといけない相手だ
でないと皆を殺される
俺はそう確信していた
「ふうん・・・・おにいさんつよそうだね・・・・それでもわたしにはかてないよ・・・・ぞでぃあっくのひとり・・・・水瓶座のわたしにはね」
目の前の少女はそう呟いた




