報酬と噂
ソラさんが言っている一つ忘れているもの
それが何か皆目検討もつかない俺にソラさんが正解を教えてくれる
「今回私はキラの要請を受けて潜入任務を果たした」
ん?何かおかしい気がしないでも無いがまぁ間違ったことは言っていないだろう
「そして私は途中で捕まったとは言え、転移魔方陣の情報は提供した。そして、その情報がなければ手遅れになっていた可能性もあったと思うけど・・・・・どう?」
確かにソラさんの転移魔方陣の情報がなかったらもっと面倒な手続きをしなければならなくなっていて、相手がもっと陣容を厚くしてやられる可能性もあったわけだ
今回だってソラさんが潜入してくれていなかったらパーティーを強制的に解散させる転移罠にすら気づけずに各個撃破されていた可能性も捨てきれないのも事実だし
「そして、依頼を受けてそれなりに情報を持ち帰った私にはそれに報いる物があってもいいと思う」
なるほど、ようやく理解することができた
確かに報酬無しで手伝ってくださいなんて虫のよすぎる話だし、もし、正式に依頼を受けた冒険者なら怒りだす所だろう
よく考えれば俺はニーナには働きに対する報酬を払うと言っているのだ。ソラさんに払わないのは流石に不義理過ぎるだろう
「すいません。確かにそれは考えてなかったです。えーっと・・・・・何がほしいですか?」
俺には今回のソラさんの働きに報いる報酬というものが思い付かなかったのでソラさんに任せることにする
最悪払えないものならチェンジを要求すればいいのだし
「じゃあ-鬼神-今日一日付き合って」
そこで、俺の冒険者の立場を強調するために二つ名で呼ぶ辺りソラさんらしい
まぁそれくらいなら・・・・・と思い俺は頷いた
一日ソラさんに付き合う・・・・それくらいなら問題ないだろう
・・・・・・そう思っていた時期が俺にもありました
まず、小鳥たちに今日はソラさんのお礼に一日付き合うことになったと報告し、『それなら帰りにでもロイヤルショートケーキを買ってきてね』というありがたいお言葉を頂き、ソラさんと一緒に街へと繰り出した
そこまではよかったのだ
だが、ソラさんの買い物に付き合うこと2時間
それは地獄と言っても過言では無かったかもしれない
まず言っておこう
俺はきちんとした女性主体の買い物は初めてだ
ここ一ヶ月共に過ごしていたニーナやタマは基本的に俺が買う物に何か思うところがあるのかもしれないが表面上は喜んでくれるし、小鳥に至っては買い物に俺を伴うことはない
たまに女性陣三人組で買い物に行っていることもあるようだ
そのせいもあってか俺は一つのことを忘れていたのだ
これは小説の中だけでは無く、俺たちの世界でもあるテンプレ
女性の買い物に男性が付き合うと疲れることになる
そう、女性主体の買い物を経験したことのない俺はこの事をすっかりと忘れていたのだった
ソラさんとの買い物は服選びから始まった
様々な服の中から選び、試着したソラさんに俺は一々感想を言わなければならない
その感想も少しでも手を抜けば途端にソラさんの機嫌が急降下爆撃をしかけてくるし、ソラさんが試着室から出てくるときに視線が別の方を向いていても同じく急降下爆撃の刑だ
かといってずっと試着室に目を向けていると今度は別のお客さんや店員さんからの視線攻撃や「何かお探しでしょうか?」といった言外に「女性専用の服屋に男が一人で試着室ガン見しとるなんてなんのようじゃワレぇ?」と言っている攻撃も受ける
そういうときに限ってソラさんは中々試着室から出てこない
視線攻撃はどうしようも無いとして話しかける攻撃は「連れを待っているんで」と言えば理解してくれた・・・・はず
しかし、俺のそばから離れるときの憐れむかのような視線は本気でやめてほしかった
というかS級冒険者になって日が浅いとはいえ認知度が無さすぎて驚いた
まぁ、闘舞祭で決勝戦に出るとはいえここにいるのは基本的に女性のため、闘舞祭を見に来ることなど基本的に無いのだろう
そのため、そこまで認知度が高くなくてもおかしくないと言えた
実際には-鬼神-という二つ名は城下町ではかなり有名なのである
鬼のように強い反面優しい心を持ちこの街を救ったが、謙虚で自らの功績をひけらかさないため誰もその素顔を知らない英雄
といった風に本人が聞けば発狂してのたうち回りそうな評価をされているのだ
そして、本人がその事実を知るのはそう遠くない未来である
そうして沢山の店を回るが何一つとして買わない
俺が付き合った意味って・・・・・
かと思えば今度は元来た道を戻って最初の店から順番にいくつかの服を購入する
これで終わりかと思いきや今度は行列の出来ているケーキ屋さんへと直行だ
あれ?でもここって・・・・・
「あれ?佐藤君?どうしてここに?」
そう、ここはニーナ達から頼まれていたロイヤルショートケーキを売っているお店、つまり、小鳥の親友である明日さんが経営しているお店だ
明日さんはすぐに俺の隣にいるソラさんに気づいたようだ
一瞬でその目が細くなる
流石一線は退いたとは言え(こんな言い方はおかしいかもしれないが)クラスのトップパーティーにいた魔導師だ・・・・迫力が半端ない
「どういうことかしら?佐藤君?ここが有名なデートスポットと知って来ているなら私にも考えがあるわよ?」
ちょっ!?今明日さん何て言った!?デートスポット!?
俺はソラさんの方を見るがソラさんは目線を合わせようとしない
そんな俺たちの様子を見てある程度の予想はついたのか明日さんがため息をつく
「はぁ、何となく予想はついたわ・・・・VIPルームに案内してあげるから話くらい聞かせてよね」
「いいのか?こんなに並んでいるのに」
「命の恩に報いるだけよ」
命の恩って・・・・・・そこまで恩に感じてもらう必要なんてないと思うんだけどな
「・・・・・ただ、話を聞きたいだけ」
「・・・ッ!!」
ソラさんの呟きにビクッと肩を揺らす明日さんに少し安心した
「それで?いったい二人はどんな関係なの?」
VIPルームに案内されてロイヤルショートケーキが一切れずつと紅茶が用意されてからすぐに明日さんの質問タイムが始まった
「勿論つきあっ・・・・「ちょっ!ソラさんは何を言っているんですか!?師匠と弟子ってだけですよね!?」・・・・」
ソラさんの爆弾発言をなんとか途中で止めることに成功する
「・・・・・嘘は言っていない・・・・キラの特訓に付き合っているから」
うん、確かに嘘は言っていないがわざと誤解を招くような言い方はやめてほしい
「大変そうね・・・・」
ほらぁ、明日さんがなんだか憐れむような目でこっちを見ているじゃないか!
あれ?今日わりとこの視線で見られること多くない!?
そして、明日さんに事情を説明する
流石に王女様からの依頼ということと依頼の容は伏せたが、それ以外のこと・・・・ソラさんに依頼を手伝ってもらったことやその報酬として一日付き合わせられていることなどを話した
一息に喋って疲れたので紅茶を飲む
あっ、普通に美味しい
「なるほど・・流石、鬼のように強い反面優しい心を持ち、この街を救ったが謙虚で自らの功績をひけらかさないため誰もその素顔を知らない英雄である-鬼神-様だねぇ」
「ぐほっ!?」
明日さんの言葉に飲んでいた紅茶を吹き出しそうになったが我慢した
結果、気道に入ってひたすらむせることになったのだが・・・・・それよりも今、明日さんがすごいこと言ってなかったか!?
「ゴホッゴホッ・・明日さん、今のなに!?」
「なにって?-鬼神-の冒険者の街での評判?」
なぜか明日さんも首をかしげている
ソラさんに至っては隣でプルプル震えてるし
これ絶対に笑っているよね?
そんな評判が流れていたなんてしらなかった・・・・
っていうか謙虚なんじゃなくて目立つのが嫌だから触れ回らないだけなんだけどね
そんなこんなで明日さんも納得し、俺とソラさんは出されたケーキを食べ終わり、俺はニーナ達に頼まれていた分+αのロイヤルショートケーキ4ホールを明日さんに用意してもらって外に出た
中で結構な時間を過ごしたせいか外はもう真っ暗だ
「ふぅ、もう夜になっちゃったね」
ソラさんが呟く
「流石にこれ以上引き留めたら小鳥たちに怒られるだろうし今日はここまででいいことにする」
そう呟くソラさんの顔は
(ルート分岐が発生します)
ひどく寂しそうな横顔だった→ソラルートへ
満足そうな笑顔だった→メインルートへ
満足そうな笑顔だったを選択しました
「それではまた」
満足そうな笑顔のソラさんを見送って俺は家路についた
尚、家についた瞬間に俺に群がってくる三人に俺は苦笑がこぼれてしまった
どんだけロイヤルショートケーキ食べたかったんだよ
というわけで今回二度目のルート分岐です
コヨミ「ルートは!!!!?????」
まぁお察しですね
尚裏開発室も用意してない模様
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