転職と俺のチート
転職
新たなる力と可能性を得るための物
転職するとレベルは1に戻り、ステータスも下がる
俺が転職について城で聞いた話はこんな感じだ
正直転職は、よりステータス上昇幅の大きな職業になるための方法くらいにしか考えていない
しかし、そういった職業は基本的に最初の職業のレベルを一定まで上げると出すことが出来るようになるものなので最大レベルが2の俺には上位職になることはできない
だから正直どうしてニーナが俺に転職を勧めるのか理解できていない
「まぁ、やってみればわかるって」
ニーナも自信満々だしやるのはタダ・・・ではないようだがそこまで金がかかるわけでもない
前回は盗賊だったわけだし今回の選択肢は
戦士、魔法使い、格闘家、僧侶
の中からだ
ふむ、よく考えると俺はMPと魔力が少し低い感じだし今回は魔法系の職業にしようかな・・・前回が盗賊だし魔法使いはなんか違うな・・・よし、僧侶にしよう
俺は転職師・・・転職させてくれる人に銅貨5枚を支払い僧侶に転職してもらう
さてと・・・ステータスを確認してみるか・・・
「さぁ!やることは終ったんだし帰ろ、帰ろ!」
ステータスを確認しようとした途端にニーナに邪魔されてしまう
仕方なく宿まで戻って夕食を食べてからステータスを確認する
佐藤 キラ
職業 僧侶+1
Lv.1
HP 40/40
MP 20/20(+2)
攻撃 38(+1)
防御 27
速さ 61(+7)
魔力 25(+6)
スキル
気配察知 隠密 初級鑑定 パワー ガード スピード ヒール リジェネ
ギフト
成長限界短縮
パワー(消費MP 3)
対象を選びその対象の攻撃力を上昇させる
上昇率は上昇させる対象の攻撃力×使用者のレベル%
ガード(消費MP 3)
対象を選びその対象の防御力を上昇させる
上昇率は上昇させる対象の防御力×使用者のレベル%
スピード(消費MP 3)
対象を選びその対象の速さを上昇させる
上昇率は上昇させる対象の速さ×使用者のレベル%
ヒール(消費MP 5)
対象を選びその対象のHPを回復させる
回復量は使用者の魔力×レベル
リジェネ(消費MP 10)
対象を選び、効果時間中対象の体力を秒間対象のHPの100分の1のスピードで回復する
効果時間は魔力×使用者のレベル秒間
ちょっと待て・・・・・なんだこれ!?
俺が聞いていた話では転職時にステータスが下がるはずなのにステータスの減少は見られていないし、何故か盗賊の職業ステータスまで引き継がれている
こんな話聞いていない
どういうことだろう?
「ステータスは見たかしら?」
声のした方を向くとそこにはニヤニヤと笑っているニーナがいた
「見たけどこれはどう言うこと?ニーナはこれの原因を知っているんでしょ?」
よく考えてみれば俺があそこでステータスを確認していれば大騒ぎになった可能性もあった
それにステータスを確認しようとした途端に帰ろうと言い出したニーナはこのことを知っていた可能性が高い
「じゃあ答え合わせタイムといこうか。聞きたいことは?」
ニーナが聞いてくる
「まず、この職業の後ろについている+1っていうのは?」
「それは転職した回数だね。今のところなんの意味があるのかは理解されていないよ」
「なら次にどうして俺のステータスは下がらなかった?」
「それはキラの職業レベルがMAXの状態で転職したからだね。何故かは知らないけどレベルがMAXの状態で転職するとステータスが引き継がれるの」
「それならこれが最後だが・・・前の職業ステータスが今回の転職でもくっついて来てるのは何でだ?」
「へ?」
最後のは知らなかったのかニーナも呆然としている
「これはわからないのか・・・・・」
「うん、私もこの話は小さい頃父さんに聞いた話だからまだ完全に話してもらえてないところもあったのかも」
「そうか・・・」
しかしこれはいいことを聞いた
レベルMAXで転職すればステータスは下がらないのか・・・・
つまり転職を繰り返せばそれなりに強くなって行けるということ
それこそクラスの他の奴等に比べても・・・・
まぁ、少なくとも最初の5つの職業を全てカンストするまで強くはなれるということがわかったのだ
「教えてくれてありがとな。ニーナ」
ニーナが教えてくれたおかげで俺は自分がもっと強くなれることに気づいたからお礼を伝えたかったのだが
「キラは私たちのご主人様なんだから当たり前でしょ」
と素っ気なく返された
「だから何かわからないことがあったら私に聞けばいいのよ」
そう言って部屋から出ていく
「って、タマ!?何時からそこにいたの!?」
「それ・・・・ほとんど最初からじゃない!」
「照れてって・・・・照れてないわよ!」
どうやら扉の外にはタマがいたようでなにやら会話してから一緒にお風呂に向かったようだ
「さてと・・・・俺も風呂に行くか」
ニーナとタマが風呂にはいって暇をもてあましているわけだしな
別に覗こうとか思っている訳じゃないからな?
・・・浴場は予想以上に鉄壁だったということだけを追記しておく
風呂から上がった俺達は少し困ったことになっていた
風呂から上がり、いざ寝ようと言うときになって基本的に無言で大人しいタマが
『今日はお兄ちゃんとお姉ちゃんと一緒に寝る』
と言い出した(?)のだ
正確には言っていた訳ではなくボードに表示させていただけなのだが
「流石にそれはまずくないかな?」
俺的には全然ラッキーというかむしろ大歓迎なのだがそれは口に出さずにニーナの方を見る
「タマ・・・・流石にそれは私も・・・・」
やはりニーナは反対派のようだ
『どうしてなの?家族は皆で一緒に寝るものだよ?』
「かっ、家族ってそれはちょっと早すぎるわよ!!」
『お兄ちゃんとお姉ちゃんとタマはこれからずっと一緒に暮らすんでしょ?だから家族なのー』
「あぅ・・・・・」
普通に考えれば無茶苦茶で、筋も何も通っていないはずなのに何故か俺も納得しそうだ
後、顔を真っ赤にしているニーナがすごくかわいかった
結局俺達はタマに押しきられる形で一緒に寝ることになった
タマを挟んで俺とニーナが川の字のように寝る感じだ
勿論手を出すような外道な真似はしていない
深夜になって目が覚める
体が重い
目を開けると目の前にはドアップのニーナの顔があった
「!!?」
なんとか大声を出すことは避けられたがとても驚いた
「・・・・・やぁ・・・・・めて!・・・・・て・・・父さん」
いきなりニーナがうなされ始めた
悪夢でも見ているのだろうか
俺はニーナを抱き締めると頭を撫でながら耳元で
「大丈夫・・・大丈夫だよ」
と囁く
ニーナが悪夢から解放されるようにと願って
「父さん・・・」
最後にそう呟くとニーナはそのまま寝息を立てていく
「俺がこの子達を守らないとな・・・・全く地球にいた頃からは想像もできないよ・・・・こんなことになるなんて」
と誰にともなく呟いて俺は再び意識を闇に落とした