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師匠と初めての敗北

「もっと強くなりたくはない?」


そんなソラさんの言葉を聞いた俺の言葉は


「いえ、結構です」


というものだった


だって別に俺は魔王を倒したいどこかの委員長とは違って生活費を稼いで守りたいものを守れればそれでいいのだ


それだけなら最低限今のステータスでもなんとかなるだろう


むしろなんとかならないのはおかしい


冒険者ランクの中では最上級のS級を貰い、更に魔物の中でもS級とされている最上位種でさえも楽々と倒せるのだ


別にこれ以上強くならなくてもニーナ達を守るだけなら問題はない


俺はそう思っていたのだがソラさんにとっては意外な返答だったようだ


「理由を聞いてもいい?」


ソラさんからの質問に俺はニーナとタマを撫でながら答える


「俺が冒険者になったのは強くなるためではなく全く身分証明が無い状態からお金を稼いでこの子達を養って守るためなんです。だから必要以上に強くなる必要はないのと思ったのですが・・・・」


俺の問いにソラさんは一つ頷くと


「なるほど、それなら尚更強くならないといけないと思う」


と言い出した


どういうことだ?


「えっと・・・・それはどういうことでしょうか?」


「その子達は獣人と魔族のハーフでしょ?しかも魔血の封印がつけられるレベルの魔族となると相当高位の魔族だったはず」


そういえば俺はニーナとタマの過去について聞いたことが無かったかもしれない


まぁ、無理して聞くような話でもないし俺も二人から話してくれるのを待つつもりだったしね


そういえば少し前にニーナがうなされていたこともあったっけ?


相当に厳しい過去を背負っているんだろう


俺が聞いた話は「村が魔物に襲われて全滅したこと」だけだ


それもニーナとタマを勝ったときのニーナの言い方から考えてもここ2年・・・少なくとも3年以内に起こったこと


『ニーナ・・・・・本当は話してくれるまで待つつもりだったんだけどこれだけは聞かせておいてほしい。俺は君たちを守るためにもっと強くならないといけないかい?』


ソラさんに聞かれたくない話だと思い一応念話で話す


念話だと副委員長が聞いていることになるのだが副委員長なら口は固いだろうし大丈夫だろう・・・・多分


『ごめんなさい・・・多分今のキラだと私たちの村を襲った奴と戦ったらすぐにやられちゃうと思う・・・・多分一人ならなんとか逃げ切れるくらいじゃないかな?詳しい話は後でするよ』


そこまでか・・・・


いつになく暗いニーナの声も嘘を言っているようには感じない


『わかった・・・それなら家で話を聞かせてもらうことにするよ』


俺はソラさんに向き直ると


「すみません。一時は断っておいてなんですがやっぱりお願いしてもよろしいでしょうか?どうやら俺はもっと強くならないといけないようなので」


図々しいとはわかっていたが俺は頭を下げてソラさんに頼む


頼むときは平身低頭これは基本だと死んだ父さんも言ってたしな


「ん、わかった。それなら明日の申の刻にギルドマスター室来て。そこから修業をつけることにするから」


ん?ソラさんは今何て言った?


修業をつけることにする?


「まさか・・・・ソラさんが直接教えてくれるんですか・・・・?」


俺は強くなるのに最適なクエストを用意してくれるとかそんなのだとずっと思ってたんだけど


「勿論私が教える。というより、キラの規格外の能力の理由の一部を知っていて尚且つキラよりも低いステータスでキラと対等に渡り合えそうなのはギルドマスターレベルまで」


ん?んん?


「えっと・・・・・もしかして修業って・・・」


「ん、私との模擬戦」


えぇええええええええ!?


しかもさっきさりげなくすごいこと言ってなかった?


「ソラさん・・・・俺よりステータスは低いけど俺と対等に渡り合えるって言いました?」


正直今の俺のステータスなら委員長レベルのステータスじゃ素の状態で戦えば反応すらさせずに倒せると思う


確か今の委員長の強さって大体A級くらいだったと思うから


「ギルドマスターってもしかしてすごく強かったりするんですか?」


「まず、こんな荒くれどもを纏めている所のトップが弱いわけがない」


ぐぅの音も出なかった


そりゃそうだよね。危なくなったら止めるのはギルドのトップであるソラさんなんだから


「私のステータスとしては大体A級上位からS級にギリギリ届かないくらいかな。最上位種相手なら一対一の単純な殴り合いで10回に3回勝てればいいほう」


それなら大体ステータスは平均130~140くらいかな?と予想をつける


でもそれなら委員長とほとんど変わらないはずなんだけどなぁ・・・・・


「むっ?疑っている?」


「すいません。正直な話ソラさんが俺と互角に渡り合えるというのが信じられないです。ソラさんも俺のステータスが見えているんじゃないですか?」


「ん、見えてるし私から見たらかなりの脅威的なステータスだね」


「それじゃあ何で対等に戦えるだなんて・・・・」


「じゃあやってみる?」


「はい?」


ソラさんが言い出したことに驚いてしまう


「どうせ明日からやること。今からやっても問題ない」


そう言ったソラさんに連れられて俺は訓練所に連れていかれた


「流石にお互い怪我するのはまずいから勝負は素手で行い、相手を傷つけるような魔法も禁止。相手に早く触った方が勝ち」


ソラさんのルールに頷く


「じゃあ始めるよ」


そう言って目を閉じたソラさん


って目を閉じたぁ!?


「ちょっ!?ソラさん!?もう始まってるんですよね?」


「そう。だからいつ来てもかまわない」


自信満々にソラさんは言うがあんな状態で反応なんて出来るのだろうか?


とりあえず俺は真っ正面から行くのは明らかな愚策なので走って後ろをとるとそのままソラさんの背中に手を伸ばす


もうすぐ手が触れる・・・・と思ったとき体が凄い勢いで地面に叩きつけられた


「ぐはっ!?」


凄い衝撃に体から息が吐き出される


気がつくとソラさんは手刀で俺の首に触れており


「これがよく切れる剣とか刀だったらキラは今ごろあの世行きだね」


そう言ってにっこりと笑っていた


「キラは確かにステータスはすごく高い・・・けれども戦いかたがそのステータスに頼りすぎていて直線的且つ力押しになってしまっている。そういう戦いかたは魔物の相手をするだけなら有効だけど対人又は魔王や魔族と戦う場合、ステータスとは別のこう言った強さも必要になってくる」


なるほど・・・・・


確かにこれは完敗だ


ソラさんの言うことを身に染みて理解しながら俺はニーナ達を連れて家へと帰ったのだった


ついでに言っておくと何故か副委員長も家に泊まることになっていた


勿論寝る部屋は別々だ


俺の睡眠時間と精神力をガリガリと削られるのはごめんだし


とりあえず別の部屋で寝るから寂しいという冗談を言う副委員長にタマを明日の朝まで預かっていてもらって俺は部屋でニーナと二人きりになった


ニーナからの話を聞くために

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