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奴隷

レベル2で成長の限界が来てしまった


その事実はクラスメイト全体に恐ろしい勢いで広まった


当然委員長達も


「悪いけど最大レベル2の君じゃ戦力にならないからパーティーにいれるわけにはいかない」


と言って俺をパーティーから外した


幸いにもこの噂はクラスメイトの中のみで広まったため、自称王女様(?)達に、「役に立たない勇者に用意する物資はない!」なんて言われることもなかった


しかし、自分のレベル上限が2だという事実を信じられなかった俺は自称王女様(?)・・・うん、普通に王女様だったしもう王女様で良いや・・に頼んでもう一度スライムを倒させてもらえるように頼み込む


当然俺のギフトや、最大レベルが2であることを知らない王女様は不思議そうな顔をしていたが、許可してくれた


しかし、それを10回ほど繰り返しても尚、俺のレベルが変動することはなかった


レベル2から3へと上がるために必要な経験値は大体スライム2体分なのにだ


つまり、俺はレベル2から上がることはもうないのだ


成長限界短縮さん仕事しすぎだろ・・・・・


言うまでもないがクラスメイトの誰もが俺をパーティーに入れることなく城から旅立ってしまい、俺は一人で旅立つことになってしまった


「どうしてなのかわかりませんが、この何もわからない世界でたった一人で戦うのは大変ですので」


と他の皆に比べて多目の準備金を王女様から貰った


最初はこれで人でも雇えということだろうか?


王女様マジでえぇ人やん

 

自称(?)とか言ってごめん!


そんなわけで城下町に出たわけだけど・・・・


流石に何をするにしても一人は・・・・


この世界の常識もなにも知らないんだしなぁ・・・・


こういうとき小説では・・・・


便りになる先輩が現れる!


・・・・・っていねぇじゃん!


後は・・・・・・


うん、(恐らくだが)王女様の意図通りに人を雇ってもいいが、そういう人たちも、俺の最大レベルが2だと知ったら俺を殺してお金を奪おうとするかもしれない


というわけで(何がというわけでなのかはわからないが)奴隷商を探すことにしよう!!


・・・・・・と思ったらすぐに見つかったよ


裏道とかじゃなくて天下の往来にあるものなんだなぁ


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」


受け付けにいるお姉さんが話しかけてくる


小説なら普通は脂ぎったおっさんが出てくるもんなんだが・・・・


「奴隷を買いに来たんですが」


「かしこまりました。どのような奴隷をお求めでしょうか?」


「すみません。俺はあんまり奴隷とかに詳しくなくて。一応一般常識さえきちんとしていれば大丈夫です。まだ何をさせるかも決まってないので」


最悪戦闘ができないなら街で引きこもって何らかの商売でもして誰かが魔王を倒すのでも待てばいいしね


そう言うとお姉さんは


「かしこまりました。それでは、まず奴隷というものからご説明させていただきます。奴隷とは奴隷紋によって行動を制限される存在となります。基本的に奴隷とは双方の合意の元なるものであって、ここは奴隷と主の出会いの場と考えていただければお間違いごさいません」  


なるほど、つまり出会い系のお店だと考えれば良いのか(絶対違う!)


「また、奴隷の人権は国で保証されており、奴隷にも主を訴える権限がございますし、奴隷を殺した場合でも殺人は適応されます。また、奴隷紋でも絶対にしたくないことは強制させることはできないのでお気をつけください」


ただ、奴隷になるくらいに切羽詰まっているため、常識的に考えていけないこと以外は基本的に命令すれば従ってくれますが


とお姉さんが付け加える


ふむふむ、元より日本出身としてはそんな無理矢理従わせるなどということはしたくない


・・・・少し期待してしまったことは秘密だけど、多分これも常識の範囲内だよね?


「それではご希望の性別、種族、年齢をお申し付けください」


「種族?」


「はい、人族や獣人族の中でも猫人族や狐族なと様々な種族がここにはいますので」


「猫人族の女、年齢は15~18で!」


即答した


っていうかファンタジー世界の猫耳だぞ!無視できるわけがないだろう!


・・・・男?男の奴隷なんて誰特なんだ?


「かしこまりました。少々おまちくださいませ」


そう言って女の人は扉の向こうに消えていく


どんな奴隷と会えるのだろうか?というかそれ以前に気に入られるんだろうか?


気に入られることがなければ買うことができないというシステム上気に入られる事が何より大切になってくる


5分ほど待って女の人が戻ってくる


「大変お待たせいたしました。申し訳ございませんが条件に合う奴隷が当店には居ませんくて・・・・」


「なん・・・だと!?」


返ってきた言葉に絶望しかける


「しかし、少しだけ条件が変えていただけましたら、猫人族の女という条件を満たす奴隷はいるのですが・・・」


それを聞いて一も二もなく飛び付く


「どっ、どんな条件ですか!?」


猫耳族の女性を奴隷として購入できるかもしれないと知り、多少息が荒くなる


そんな俺に少し引きながらもお姉さんは答えてくれる


「まず、一人ではなく二人同時でのご契約となります」


二人同時かぁ・・・・お金大丈夫かな?


「更にですが、その二人ともを同時に養うことが条件となります」


まぁ、それはそうだろう


「最後に年齢が12歳と10歳になっています」


猫耳ロリ・・・・だと!?


「いっ、一応会うだけ会ってみても良いですか?」


買うかどうかはともかくとして会ってみるのは権利だと思うんだ


例えそれが夜のお仕事ができない年齢だったとしてもだ


「ええ、構いませんよ」


お姉さんが案内してくれた先にいたのは


「!?」


驚くばかりの美少女二人組だった


姉妹なのか見た目はそっくりである


「この方があなた方を買いたいと考えていらっしゃる方です。それでは私は外にいるので少しお話してみてください」


そう言うと女の人は扉から外に出る


「・・・・・・」


「・・・・・」


「・・・・・」


しばらく無言の時間が続く


無言が気まずい・・・


「えぇーっと・・・本日はお日柄もよく・・・」


ってお見合いかよ!


一人で悶絶していると


「あなたはどうして私たちを奴隷として買いたいのですか?」


見た目からして姉妹の姉(?)の女の子が聞いてきた


「えーっと・・・・まず、僕はこの世界の人間じゃないんだ」


「ということは最近召喚された勇者ってことですか?」


なんで知ってるのか知らないけどとりあえず頷いておく


その後隠すことなく俺の事情を話した


人の信用を得ようと思ったらまずは嘘はつかずに全てを話せって、死んだ父ちゃんも言ってたし


自分のギフトが強いと思ったら全然強くなかったこと、他の勇者達もパーティーを組んでくれなかったこと、旅に出るにしろここで何か始めるにしろこの世界のことを何も知らないから手っ取り早く知識がほしかったこと


「それで奴隷ですか?」


確かにおかしいのかもしれない


「あなたのいた世界はよっぽど酷い世界だったんですね」


なんだかジト目を向けられている


俺のいた地球に悪い印象を持たれている気がする


まぁ、それは置いておいて、と前置きして女の子が話始める


「それではこちらの話を聞いてもらっても構いませんか?」


とりあえず頷いておく


「私たちは村が魔物に襲われ全滅しました。このまま二人で生きていくことは不可能だと理解していたので、奴隷になることにしました」


「!?」


思ったよりヘビーな内容に驚いてしまう


よく考えればわかるはずなのだ。こんな小さな子達が奴隷になっている理由なんてそんなに軽い理由な訳がないと


「どうして奴隷に?」


「少なくとも奴隷になれば1年間は衣食住が保証されていますから」


この子の話によると奴隷は一年の間なら衣食住全てを保証され、買われる相手を選ぶことができる


逆に一年を越えると奴隷としての立場さえ失って再び自立するチャンスを掴むか、奴隷として買われる相手を選り好みすることができなくなるらしい


再び自立する場合にも多少の金を渡してはくれるが、それは借りたもので返済の義務があり、期限内に返せなければ鉱山に奴隷として送られる


奴隷として残った場合も後半年も立てば大概が鉱山に送られて死ぬまで働かさせられるそうだ


そんなことで奴隷商は破産しないのか?と思ったら奴隷商は国営のため、国民の税金で賄われているらしい


ついでに二人とももうそろそろ1年と半年の期間になり、鉱山に送られることになるようだ


「それで、二人はどうして売れなかったの?」


正直こんなにかわいい子達だ二人一緒で最後まで養うという条件でも普通に売れると思うし、一年と半年も売れ残るとは考えづらい・・・・


「まず、私が一人なら買いたいと言う人は沢山いました。それでも私は妹と離れ離れになるくらいなら一緒に死んだ方がましだと思っていたから決して頷きませんでしたが」


やっぱり姉妹だったんだ


「どう言うこと?二人とも可愛いから別に二人一緒だということに問題はないと思うんだけど・・・」


そういえばさっきから妹の方がしゃべっていないな・・・・


姉の方の服を掴んでこちらを見ているだけだ


あれ!?もしかして怖がられるの!?俺


俺は悪い人間じゃないよー


「妹は魔物に襲われたときのショックで喋れなくなったんです・・・・・そのせいで気味悪がられて皆が敬遠することになって。そして、私の妹は忌み子・・・・・って言ってもわかんないですよね。魔族と獣人の両方の特徴を持って生まれた子なんです」


要するに魔族と獣人のハーフかな?


「それがどうかしたの?」


それの何が悪いんだろうか?


「あー、そう言えばあなたは異世界転移で来たんでしたね・・・・だからエドさんも私たちを紹介したのでしょう。異世界人ならそんな忌避間はない・・少なくともこの世界の人たちよりはましでしょうから」


つまりこの世界ではハーフは嫌われているのだろうか?


「この世界では忌み子・・・つまり血が混じった存在は生まれる可能性はほぼ0%。そのせいで忌み子は災いの象徴と呼ばれているんです。それでもあなたは私たちを購入されますか?」


それを聞かれて一つ聞くのを忘れていたことを思い出す


「えっと・・・・ちょっと言いにくいんだけど・・・」


そう聞いた瞬間姉の方の顔が少し歪む


「君たちって・・・・・いくらなの?」


「ふぇ?」


その時のポカンとした顔がさっきまでの無理に作ったような顔に比べて年相応に思えた


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