暴走と報告
「キラ!」
ニーナが副委員長の後ろから出てきて俺の服の裾を掴む
よっぽど怖かったのだろう
いきなり
『なんか変な男がこっちを気持ち悪い目で見てくる。助けて!』
と念話で助けを求められて大急ぎで戻ってみれば委員長がニーナに向かって手を伸ばしてるし
思わず委員長の手をつかんでしまった
「大丈夫かい?ニーナ」
ニーナの頭を撫でてやりながら聞くとニーナが俺の手に頭を擦り付けてくる
なんだか何時もより幼く見える
素直に甘えてくるニーナなんて珍しいので存分に撫でてやった
癒される
『お兄ちゃん。変な人がオコオコしてるの』
タマが教えてくれたのと同時に気配察知に敵性反応が写る
「ん?」
俺はとりあえず敵性反応からの攻撃を止めながらなおもニーナをなで続ける
早急戦ったゴブリンキングと比べたら遅いし軽い
止めるのなんて簡単だった
おや?この敵性反応の正体って・・・・委員長?
そう言えば居たんだった
ニーナを撫でるのに夢中で気づかなかったや
「無視してんじゃねーぞ!最大レベル2のクソザコのくせに!」
なんか変な言いがかりをつけてきた
「ごめんよ委員長。ニーナを撫でるのに夢中で気づかなかったんだ」
そう言いながらニーナを撫でるのを止めるとニーナが悲しそうにこちらを見てきた
そんな顔されたら撫で続けるしか無いじゃないか・・・
再び撫で始めるとニーナが嬉しそうに顔をこすり付ける
「ふざけているのか!?俺はその子を解放しろと言ったんだ!」
んん?解放しろ?
どういうこと?
そう思って回りを見回すが皆一様に首を振る
「あのー・・・・委員長?俺には委員長が何を言っているのかわからないんだけど?」
「わからないだと!?彼女と・・・・お前が背負っている女の子は奴隷なんだろ!奴隷なんて許されると思っているのか!」
あー、そういうことか・・・・
「ニーナとタマは俺の奴隷から解放されたい?」
ニーナとタマは揃って首を振る
「だってさ」
「それもお前が言わせているに決まっている!」
ええーそこまで言うかぁ・・・・
「委員長。この世界の奴隷はしたくないことはしなくてもいいんだよ」
「お前の言うことなんて信じるものか!このロリコンめ!」
「ぐはっ!」
さりげに高いダメージをもらった(気がする)
「待ってろ!今すぐ俺がこのロリコンを成敗して・・・・!」
いや、無理だろ・・・委員長達のステータスがどんなものかは知らないけどあのゴブリンキングにやられる程度じゃ俺には勝てないと思うんだ
副委員長達もそう思ったのか
「待って!佐藤くんは私たちが勝てなかったあの化け物を倒したんだよ!剛君の勝てる相手じゃない!」
とか叫んでいるけど委員長は
「あんな化け物をレベル2で倒せるわけが無いだろ!」
と言って聞こうともしない
っていうか俺を殺すつもりなのか?普通に剣を抜いて襲いかかってきてるんだけど!?
仕方ない・・・・俺も死ぬわけには行かないし魔物の討伐ももう終わっているんだ
悪いけど委員長は無力化させてもらおう
「なっ!なんだと!?」
委員長が振りかぶった剣を避けて鳩尾に一発軽めに打ち込む
おや?一発では気絶しなかったようだ
仕方がないからさっきよりも少しだけ強めに一発だけ打ち込む
「がはっ!」
・・・・・なんか少しだけ血を吐いていたけど気のせいと信じたい
「あの最上位種を倒した時も思ったけど佐藤くんってすごいね・・・・・」
副委員長がちょっと引いてる気がするのは気のせいだよね?
この世界にいる人たちならともかく同級生で同じく人外になれる可能性を持った委員長達にまで人外認定されると辛いものがある
「流石-鬼神-だね。容赦がない」
ニーナが茶化してくる
「その二つ名だって付けられた理由割りと理不尽だったと思うんだけどなぁ・・・・」
だってあれ回復しようとしたらやり過ぎて血を吐いただけだからなぁ・・・
「二つ名まで持ってるんだね・・・もう私佐藤くんがS級冒険者だって言われても驚かないよ・・・」
「あぁ、そう言えば今回の報酬でS級冒険者になるんだっけ?」
「うそん!?」
いや、驚かないんじゃなかったの?
俺は気絶している(というよりも気絶させた)委員長を委員長達が来るときに使っていた馬車に乗せると副委員長達の勧めもあり(実は走った方が早いのだが何故かニーナが強硬に「副委員長達と行くべきだ」と主張したため)副委員長達と馬車で街へと戻ることにした
その馬車の中でニーナとタマは副委員長達に可愛がられていたが副委員長を除いた委員長パーティーが何かあるごとに回りを見回していたのが少しだけ気になった
街に着いた俺たちは馬車を降りて委員長を寝かせるための宿を取る副委員長達と別れてギルドヘと向かった
街の外では街を守るためなのか冒険者が沢山いたし、さっさと終わったことを伝えてやった方が良いだろう
一応これは予想通りだったのだが俺がギルドに入った瞬間に視線が一気にこっちに向いた
視線を向けるだけで結果を聞きにがっつきに来ないところを見るとギルドマスターのソラさんがきちんと言ってくれていたのだろう
俺がカウンターに行くと受付嬢さん(この前ギルドマスターと会ったときにいた人と一緒)が
「お待ちしておりました。ギルドマスターがお待ちです」
とだけ言って俺をギルドマスター室へと連れていってくれた
「ギルドマスター。冒険者のキラさんがお戻りになられました」
「どうぞ」
受付嬢の声が終わった瞬間にギルドマスターの声が聞こえた
返事早すぎだろ・・・・・
「じゃあカードを渡して」
言われた通りにギルドマスターにカードを渡す
するとギルドマスターはそれを何らかの機械にかけて出てきた紙を読んでいる
が、不意に目を細めると
「これ3万体越えてない?」
とさっきまで読んでいた紙を俺に差し出しながら呟く
その紙を受け取り読んでみると
ゴブリン 10802
ハイゴブリン 3020
スライム 7903
ハイスライム 3008
ウルフ 7929
ハイウルフ 2903
ゴブリンキング 1
と書いていた
これはおそらく俺が倒した数なのだろう
軽く計算しても3万は越えている
「これ、報酬を一気に用意しようとするとギルドじゃ用意しきれない・・・・」
ギルドマスターが眉を寄せている
「あー、分割とかでもいいですよ?」
俺がそう言うとギルドマスターは
「ごめんね・・・」
と呟いた
その時だった
RRR RRR RRR
日本の電話のような音がなりだした
「なんだこれ!?」
俺は突然のことに驚いたがギルドマスターは落ち着いて
「これはギルドマスター同士の緊急回線。これが鳴ったということは何かが起きたということ」
そう言うと机のから受話器のようなものを取る
やっぱり電話だよな?あれ
ギルドマスターが受話器を取ると空中に画面が浮かび上がった
「こちら王都冒険者ギルドのソラ」
「こちらノルンギルドマスター ガリレオだ!王都はどうなった!?」
「丁度今終結したところ」
そう言うとガリレオと名乗った男がほっとする
「良かった・・・・そっちには最上位種はいなかったか」
「いや、いた」
「なんだと!?今王都にはS級は一人もいなかったろうが!?どうやって倒したってんだ!まさかとは思うがお前が出たのか!?」
「いや、出たくても皆が出させてくれないとあなたも知っているはず。今回の件で私が新しくS級に任命した者が倒してくれた」
それを聞いたガリレオの目が驚愕に見開かれる
「つまりそいつぁまだ存在が明らかになってないS級クラスの強さを持ってる奴ってことか!」
対するギルドマスター・・・・紛らわしいな
ソラさんはどこまでも無表情だ
「頼む!ソラ!そいつをこっちに送ってくんねぇか?」
「どうして?ノルンには確か今S級の-聖女-がいるはず。これ以上の戦力は流石に供給過多」
確かにS級が俺と同じくらいのステータスで最上位種がゴブリンキングと同等程度ならSクラスが一人も居ればある程度は戦場が落ち着くと思うんだけどなぁ・・・・
「それが・・・・ノルンに向かっていた最上位種は10体もいやがったんだ・・・・」
「「なっ!?」」
ガリレオさんの声が静かな部屋に木霊した




