最上位種と再会
今回は小鳥ちゃん視点からスタートします
「うわぁ・・・・これかなりの数がいるね・・・」
格闘家の理名ちゃんが呆然と呟く
私たちのパーティーの中には気配察知を持っているのが理名ちゃんしかいないから自然と索敵役も理名ちゃんになっていた
「数で言うと2万~3万くらいかな?」
「2万~3万!?多すぎない!?」
理名ちゃんに突っ込むのは魔導師であり、私の親友である菜々子だ
「一応回復薬も持ってきたし魔法もあるんだ。きっとなんとかなるさ」
騎士の剛君が要るから確かになんとかなるかもしれないけど
私は何となく嫌な予感を覚えていた
だけどこんな空気の中で言い出すことは私にはできず、結局私は何も言わなかった
そして、すぐに私はそれを後悔することになる
しばらくの間私たちの討伐戦はうまくいっていた。遠距離の敵は火以外の魔法で倒して、近づいてきたゴブリンやウルフ、スライムを理名ちゃんの指示で剛くん達が倒していく
私のMPが残り半分をきったら菜々子と交代し、MP回復のポーションを飲む
MP回復のポーションはリジェネと同じく徐々に回復していく物なので完全回復までには時間がかかるのだ
しかも、効果時間中はMPを使えないなどデメリットもある
その効果時間も大体15秒くらいなのだが
魔物の討伐数が500を越えた頃
いきなり理名が全く別の方を向くと同時に理名が向いた方向から大きな音が聞こえた
「これは・・・魔法!?いきなり500くらいの魔物が消えたで!?こんな使い方してたらMPなんてすぐに無くなるやろ!」
理名が言いたいことは明白だった
「この無茶な戦い方をしている人を助けにいこう」
ということだ
勿論理名だって何も親切心だけで言っている訳ではない
先程の轟音はおそらくだが大魔導師の初期魔法で一発打つのにMPが15必要なメガフレイムだ
つまり、あの轟音の元に行ければ少なくとも大魔導師が一人いることになる
あの魔法はギフトで消費MP半減 (パーティーメンバーの使用するMPが半分になる)を持つ私でも7発も打てばMPがほとんどすっからかんになってしまうため基本的に使わない
しかし、大魔導師が一人増えるなら交代のローテーション等を考えても一回くらいなら使える
そう考えると助けにいかない理由が無いのだ
「よし、行くぞ!」
剛君もそれを理解しているのか助けにいくために動いてくれる
が、アイツは私たちの気がそれた一瞬を待っていたのだと思う
普段の警戒体制なら不意を突かれても勝てるかどうかは別として反撃ぐらいはできただろう
しかし、今回は
「!?何かく・・・がっ!」
「くっ!・・・・きゃっ!」
まず策敵役の理名がやられ、次に敵に気づいて魔法を放とうとした菜々子が地面に叩きつけられる
私はポーションを飲んだばっかりで魔法を使えない
次に補助魔法をかけようとしていた神官のしずくがやられた
全員気絶しているのかピクリとも動かない
「皆!?うぉおおおおおお!」
剛君が盾を構えながら現れた敵
おそらくだがゴブリンの最上位種
に向かって切りかかっていく
ゴブリンの最上位種はそれを見てニヤリと笑うと手にした棍棒を剛君の盾に叩きつけた
「ぐっ!?がぁぁぁぁぁぁあ!」
剛君はその勢いで吹き飛ばされて、木に叩きつけられた
「ヨワイ、ヨワイ、ヨワイ、ヨワイゾォォォ!ヤハリニンゲンドモナドワレラノチカラニヒレフスダケノナンジャクナソンザイナノダ!」
喋った!?
なんとこのゴブリン、喋れるらしい
「アトハオマエダケカ・・・クククニンゲンノオンナガヨンヒキモテニハイルナドキョウハウンガイイ」
こいつは私たちに害をなす存在だ・・・
それだけは何となくわかった
この世界ではゴブリンやオークといった亜人型魔物は人間の異性を使って生殖行動を行うことができるのだが私はまだそのことを知らなかったため何をされるのかわからなかったのだ
「サテト・・・・カクゴハイイカ?」
ここで「言いわけないじゃない」なんて言えるわけがないのだが
戦わなくてはいけない、それはわかっていた
しかし、ポーションの効果のせいでしばらく魔法は使えない・・・・いや、魔法を使えたとしてもこんな化け物に勝てるわけがない
そんな私の口から出た言葉は・・・・
「誰か・・・・・助けて・・・・・」
誰もいないとわかっている
それなのにそう呟いてしまった
緊急依頼が出ているんだからここに来ている人なんていない・・・・そのはずなのに私の耳は
「あれ?副委員長?」
懐かしくて優しい声を私に届けた
森に入り群がってくるウルフやスライム、ゴブリンたちをフレアや短剣などで倒しながらとりあえずピンポン玉の反応を目指して進む
そして、ようやくたどり着いたと思ったらやたらごついゴブリンがいた
身長約2メートルってところかな?
どうやら誰かを襲っていたようだ
そして襲われていたのは・・・・
「あれ?副委員長?」
俺と一緒に転移してきた副委員長の高梨 小鳥だった
あれ?確か副委員長は委員長と同じパーティーのはずじゃ・・・・・
と思って辺りを見渡すと木にもたれ掛かって動かない委員長に、地面に倒れている副委員長の親友の明日 菜々子、如月 理名、山野 しずくがいた
うわぁ、見事に俺の初期メンバー(?)が壊滅してるよ・・・・
「キサマ!ジャマヲスルナ!ジャマヲスルナラコロスゾ!」
「うわっ!喋った!?ゴブリンでも喋るんだ!」
「だめ!逃げて!佐藤くん!こいつは多分最上位種なの!強くなった私たちでも一瞬でやられた!佐藤くんじゃ勝てない!」
副委員長が必死に叫ぶが、俺は首を傾げる
うーん、こいつはそんなに強いのかな?
確かに今までのと比べるとかなり強そうだけど・・・
「フン!モウオソイワ!クタバレ!」
ゴブリンが突っ込んでくる
お?なんかステータスが見えるぞ?もしかしてこれが中級鑑定の力なのかな?
ゴブリンキング
Lv.58
職業 ゴブリン
HP 327/327
MP 0/ 0
攻撃 235
防御 223
速さ 229
魔力 0
スキル
ギフト
王の先導
王の先導
同種族を扇動し行動の一部を操ることができる
自分よりも強いものや強さが近いものは効果を受けない
うーん、ちょっとニーナとタマを背負ったままじゃ辛そうだ
ステータスも俺と同じくらいだし・・・・
でもニーナとタマを無防備にするのは・・・って、それなりに信頼できてまぁまぁ強い人ならそこにいるじゃん
俺はゴブリンキングの攻撃を避けると副委員長に
「ごめん!ちょっとこの二人のこと頼んでもいいかな?」
と背中に背負っていた
というかくくりつけていたニーナとタマを副委員長に預けた
「あちゃぁ・・・・・ニーナ気絶しているのか・・・」
道理で途中からニーナの悲鳴が聞こえなかったわけだ
ついでにタマは
『もっとお兄ちゃんの背中でグイングインしたいのー!』
とか念話機能で伝えてきてる
「流石に本気でやらないとまずいから、それはまたいつかね」
とタマの頭を撫でてやると
『わかったのー』
と尻尾を振る
うん、相変わらずタマは可愛いなぁ
そういえばさっきからゴブリンキングが静かだな
気配察知で一応注意だけは向けてたから逃げたわけでも襲って来てるわけでも無いのはわかっていたけど
「キサマ・・・ナニモノダ?」
なんだコイツ?攻撃を避けられたことがなかったのかな?
うーん、ここはなんて答えればいいんだろう?
「お前を葬り去る者だよ」
とでも言っておけば良いのか?
「佐藤くん・・・・・それは流石に・・・・」
『お兄ちゃんかっこいいのー』
うん、知ってた
次回!初めての魔闘!




