魔王とユダ
「サタン様!一体どういうことですか!」
「ユダか・・・・・どういうことも何もそのままだ。ルファは我に魔王軍から退団したいと申請し、我がそれを許可した。そのためにルファはもう軍部にはおらんし、大罪の傲慢の力も我に返しておる」
しかし、我の答えはユダを満足させるものでは無かったようで
「私が聞きたいのはそういうことではありません!どうしてルシフェル殿がいなくなった後の大罪の枠を欠番にするのかということです!ルシフェル殿がいなくなったのはまだ理解できましょう!あまりにも自由すぎるあの方を止めることなど誰にもできないのですから・・・・・しかし、そのルシフェル様がいなくなったのなら新たなる大罪を決めるべきではありませんか!!」
ユダが一気に捲し立てるが我の返答は決まっておる
「必要ない。もとより奴よりも傲慢の大罪に相応しいものもおらんのだ。下手に新たなる大罪等立てようものなら先代とどうしても対比されることとなりそやつもしんどいだけじゃろう」
そう、奴は大罪の一人としてその自由さを考えてもあまりに強すぎる奴じゃった
その後任となるものが確実に追い付くことなどあり得ないと断言できるほどに
「私なら!」
「お主では大罪になるのに必要な力すら足りておらん。お主が大罪を目指すのであればまずは力をつけて精進せよ」
「ぐっ・・・・・・はい」
ふむ、確かにユダは性格だけなら傲慢の大罪と共鳴することは可能だろう
しかし、それではいけないのだ
大罪の力に魅いられた者の末路はその力の暴走と己の破滅だ
だからこそ大罪を背負うものはその罪に押し潰されないくらいに強い心が求められるのだ
そういう意味でユダは駄目だ
恐らくあやつに傲慢の大罪を背負わせようものならば一瞬で呑まれるだろう
ユダが退室するのを見ながら我はそんなことを考えていた
それからの4年間は特に何もなく進んだ
たまに来るルシフェルの手紙を読んだり、ルシフェルの住んでいる街に招待されたが残念ながらお忍びでも行くことができなくて、本気で一度魔王城を抜け出すか悩んだりと
充実し、それなりに楽しい日々じゃった
しかし、そんな日々もある日突然終わりを告げた
ルファが魔王軍を去ってから5年がたったあの日
我の執務部屋に来たユダが驚くべき報告をあげたのだ
「魔王様!人間どもがルシフェル殿の元に討伐軍を出すべく動いている模様です!」
「なっ!なんだと!?」
それはまずい!
ルファ一人なら人間ごときに遅れは取らんだろうが、今のルファにとってあの街はかけがえのないもの、守るべきものになっておる
更に人間どもの数によってはルファ一人で全てを守りきるなど到底不可能な事だろう
「くっ!我が出る!」
「落ち着いてください!魔王様!魔王様が一度人間を追い返したとしても人間どもは再び攻めてくるでしょう。ここはかの街の住人全てを魔族領に移動させるのがベストかと」
ふむ、確かにユダの言うことも一理ある
「ここは私にお任せくださいませ。必ずや彼らを魔族領に移動させて見せましょう」
「ふむ、そこまで言うのなら・・・・・任せたぞ。ユダ」
「お任せあれ」
そうしてユダはルファの元へと向かった
我はこの時に無理を押してでもルファの元に向かわなかった事を生涯悔やむこととなった




