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ストーリー・オブ・フォース  作者: チョコミント
4/10

第四章

リードをつけられた俺を引っ張るのではなく、逃げられるのを防ぐ為か、俺を小脇に抱えられながら、母上は無言で拉致監禁部屋へと進んでいく。


昨日出会った、バニーガールのルゥちゃんを思い浮かべるという現実逃避と格闘している内に、作戦遂行エリアへと到着してしまった…。しまった、せめて手ぐらい繋げば良かった。


部屋の中央にやさしく寝転がされると、オレの耳元に何枚となる紙をそっと母上は散らす。


パサッ…。パサッ、バッサバッサ、バサバサバサ…。


俺がこっそり進めていたテーマパーク計画の資料と会計帳だ。

これ見よがしに広げられた資料の右上には、丁寧に取扱ORCLの印まで押してある。


「さて、これはテーマパークではなく、非合法カジノですからね。いくら、ここの売り上げた金額を"孤児院や農村部の教育資金"に回したとしても、良い事と悪い事の区別は、今のあなたには分かるはずです。」


丁寧に金の使い先まで調べられあげて、母上は文句は言わせないぞプンプン

(実際には般若が見えている)といった感じで、俺に言ってきた。



あ、テーマパーク(慈善団体事業兼娯楽施設ラスベガース)って心読めるんですか、そうですか…。


「母上、これは違うんです!非合法カジノ等では決してなく、ネズミとアヒルが大好きな、学生達の修学旅行に人気のスポット!そういった夢のある施設なんです!」


「何を言ってるかわかりませんが、とりあえず人気のスポットというのは分かりました。では、この元締Aさんからの拷問結k、ゴホン、発言を読み上げましょう。」


あいつゲロリヤガッタノカ!!

夕日と共に語った俺との熱い筋肉トークは、その程度の友情だったのかっ!!


「おにーさーん、このカードを使って、新しくエキサイティングな誰も傷つかない(懐は傷がつくけど)賭け事を考えてみたいんだけど、これで慈善事業をしてみない?と、言われて…以下略」


オワタ…。


「いいですか?結果から伝えます。この事業は私の"指導(という名の権力)"の元、私が引き継ぎます。お金の使い先は、花マルを上げちゃいます。丁度、着手しようと計画していた所なので、タイミングとしても仕事が減って彼等(文官達)も、うんうん唸らなくても良くなったでしょう。」


花マルを上げちゃいますって、そんな可愛い事いう歳かよ…。


パシューン!という乾いた音と共に俺の前髪が何本かハラリと落ちる。

床に一筋の綺麗な切込みを入れた後、何やら下の階からガタガタ音がした…。

母上の無動作ソニックブレードだ…。


「…、いいですか?」


一拍置いて母上が言う。


「オラクル、あなたはまだ5歳です。こういった事は私達大人に任せて、あなたはちゃんと城をこっそり抜け出し、あ、この子可愛いな。と思った女の子とイチャイチャして、私達両親を困らせるくらいに、所構わず手を出す事態になるくらいが丁度いいのです。」


「いや、国王陛下と王妃が出張って来たらやべーから。」


「あぁん?」


やべっ、思わず心の声が…。


「コホン、ともかく、こう言ったことが続くようであれば、私にも考えがあります。3歳の時に、うひょー!魔法ってスゲー!!と言って、城の庭を燃やし尽くしてから早2年…。あなたの身の上を考慮して、しばらく好きにさせようと思っていましたが、時を動かしすぎです。2ヶ月後に予定されている、あなたが提唱していた時元転移の魔法試験は中止。浮いた話の一つも無い貴方には10年間の嫁探しの旅に出て貰います。」


「は?」


嫁探しの旅?


旅…、城から出る…、母上に見つからない、自由…、よし行ける!何処へでも!!

金なら腐るほど隠しているし、口座も現物もどんとこいっ!途中で抜け出しヒャッハー!だぜ!!


「わかりました…、母上と離れ離れになるのは、大変寂しいですが、私、旅に出ますっ!!」


「というのは、やっぱり無しにします。2ヶ月間城から出ることを禁止し、貴方の所有している口座一切を凍結。アルバスに探させた、あなたが隠していると思い込んでいる鉱物も、こちらで処理します。」


な、なんだとっ!?


「ちょ、は?え、え?」


あんた、俺を嵌めやがったのかっ!くっ、俺って顔に出るタイプなのかなぁ…。


チリーン…。

母上が机の上にある鈴を鳴らすと、侍女兼ソード達が部屋に入ってきた…。


いつの間に待機してたんだよ、お姉様方…。


「オラクルに第1級魔法禁静を、併せ第A級騎士禁活を付けなさい。そして図書館に閉じ込めておきなさい。それと、そうね…、24時間終始4〜5名の若くて可愛い(A級騎士)女を付けておきなさい。追って2ヶ月の行動範囲は通達します。」


侍女達は、母上に了解の意を示すと呆然となっている俺を両脇から掴み、殿下失礼しますと言いつつも、嬉しそうに銀色の腕輪と、透明な腕輪を付けてきた。


抵抗しようと思ったが母上の恐ろしさを知っている俺は何もせず、彼女達に掴まれたまま引きずるようにして部屋を出て行く。



やばい、このまま2ヶ月も何もしないと耐えられなくなって俺、死んじゃうかも…。


扉をくぐる寸前、俺の股間に申し訳程度にあった白い布は、枯れ木に1枚残った葉が落ちるように、はらりと床に落ちた。服、どこか たのむ。


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