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第53話 鳥獣戯画⑧誰がために月は輝く

 公開理事会も閉会というタイミングで異議を唱える来賓ドックス王子。後に続く(いぬ)とフロッグマン。


 誰もが唖然とする中、とりわけ動揺したのが三人。

 まず、音楽家理事アレグロ・ダ・カーポと彫刻家理事のオラボゥナ、ニャルラトテップ派の二人の理事。

“まさか、ピックマンが偽者ということがバレた!?”

 ダ・カーポに関しては一度、戌に殺されかけ事があったので恐怖も加わっている。

  

 そしてノーデンス派支援者席に座る(さる)

「い、戌……」

 旧友の無事をカチカチ兎から聞かされてはいたが、いざ目の前に現れると動揺を隠すことは出来ない。


「申、お前には色々と言いたい事があるが……。

 今はやるべきことがある。月をニャルラトテップに渡さないためにもな」

 戌はそれだけ告げると、すぐにそっぽを向いてしまった。


 議長かぐや姫は、ドックス王子にきつく注意する。

「ドックス王子、来賓であるあなたに発言する権利は無い。理事会は終了したのです」

「いや、余には言わねばならないことがある。これは個人の問題ではない月全体の問題だ!」

「いかなる理由でも認められません」

「なんて融通のきかない竹娘だ! 話を聞かぬのであれば一族総動員で世界中の竹という竹をかじり倒しロビグス(キノコの神)の(ささ)げ物にしてやる!」

「そのような脅しには屈しない。そもそもあなたはロビグスとは縁もゆかりもないでしょうに」

「ぬうっ!」


「かぐや姫よ」

 議長後ろの席から老イナバが話しかける。

「あそこまで言っているのだ。話を聞くだけでもよいのではないかな。

 彼は狐族を背負って立つ身、いい加減な言動をする男ではない」

「それは存じ上げております。ですが、規則は規則です。規則は破るためではなく秩序を守るためにあるのです。

 そもそもイナバ様、あなたにも発言権は無いのですよ。あなたは自らの意思で政権を手放したのですから」

「……かぐやちゃん、わしの頼みでも駄目なのかい?」

「駄目です。それで発言を許すようでは議長は務まりません」

 老イナバはしょんぼりとうなだれてしまった。




「理事会の続行を要求します」




 建築家理事イムホテプ、この土壇場で動く。


「イムホテプ理事!? どういうおつもりか?」

 音楽家理事アレグロ・ダ・カーポの質問にイムホテプは答える。

「言葉通りです。月にとって重要な案件であるなら、それを()むことも理事会の務めです」


「私もイムホテプ理事に賛成だ。続行を要求します」

 詩家理事オシーンも慌てた様子で続く。ドックス王子が何を発言するかはわからない。

しかし、ニャルラトテップ派の勝利は確定している。わるあがきの時間稼ぎ。僅かな希望をドックスに賭けたのだ。


「反対です。審議は終わったのです。これ以上話す事がありますか」

 ダ・カーポは手を横にふり拒絶の意思を示す。全ては彼の計画通りに事が運んだ。申し分の無い戦果。イレギュラーを認めるわけにはいかない。

彫刻家理事オラボゥナも同じ理由で続行に反対。






「……理事会の続行を認めます。ただし、ドックス王子と他二名(戌とフロッグマン)はイムホテプが立てた証人として扱う」






 かぐや姫の決定に議事堂内に不穏な空気が漂う。


 イムホテプはドックス王子にささやいた。

「王子よ、私はあなたを信用するが、もし理事会続行に見合った内容でなければ月の狐族を迫害する」

「結構、問題ない。あなたに恥はかかせない」


 そしてイムホテプはドックス王子の発言の許可を求め、かぐや姫はそれを承認した。

「失礼。余は狐族の王子ドックス。重大な発表がある。

 余は今日、ある絵を発見した。こちらにいる(いぬ)氏の所有物になるが。

 この絵はリチャード・アプトン・ピックマン氏やジンジャー嬢のそれよりも優れているとここに宣言するものである!」


 これを受けて議事堂内は懐疑と興奮の空気につつまれる。ノーデンス派、ニャルラトテップ派の理事と支援者たちも同様である。


「それは本当ですか? それほどの絵ならここにいる全員が観る必要があります。公表しなさい」

 かぐや姫はその絵の発表を求められドックス王子は絵巻物を差し出す。


「『鳥獣戯画 甲巻』? どれ」

 かぐや姫は絵巻物を広げた。その内容は天井の巨大水晶球にも映しだされる。



 それは白い紙に黒い墨のみで描かれていた。登場人物は兔、蛙、猿、狐などの月に暮らす動物たち。舞台は月の各地。






 川での水遊びの画。(第27話、川の場面参照)


 傍聴席では次々と驚きと感動の声が上がる。


「おい、あの兔は俺じゃねえか!?」

 傍聴席に座っていたグルーミングシロップ屋の兔が立ち上がって、柄杓(ひしゃく)を持ってる兎の絵を指差す。


「ははー、となると、鹿に乗って川渡りしているのは私ですね。

 あなたがグルーミングシロップをかけているのが申氏で横にいるのが柿猿婦人。

 あの二人が温泉宿を経営するなんて当時は夢にも思っていませんでしたよ」

 と、鹿乗りの兔が感心してうなずく。






 兔と蛙の弓比べの画。(第38話、カチカチ兔の回想参照)


 議事堂内を警備していた蛙の警察官は盛り上がる。

「そうそう、確かこの日はドックス王子が狐火の術を覚えたんだよな。

 で、その火を利用した弓術訓練」

「お、おう……」

 相方の兔の警官は煮え切らない返事をする。


「あ、そうか、お前、その日は大遅刻だったもんな!

 見ろよ、ばっちり描いてもらってるぜ。ゲロッゲロロ!」

 蛙は大笑いして、遅刻して走る兔の絵を指差す。

 

 兔は真っ赤になって逆上する。

「なんでこんなことを絵に残すんだよ! 長官にすっげえ怒られたし始末書だったんだぞ!

 そんなことより、次を観ろよ。ドックス王子が狐火を会得したキッカケの場面だ」






 逃げる猿と、あおむけで倒れる蛙、そして相撲をとる兔と蛙の図。(第36話、警察訓練参照)


 支援者席にいた(さる)は逃げる猿の絵を呆然と見上げる。

「父さん……、あなたばっちり描かれてますよ」


 傍聴席も盛り上がっている。

「あははは、観ろよ。あのひっくり返ってる蛙って、下にいる奴じゃないか?」

「本当だ、しかも別の場面じゃカチカチ長官の耳に噛み付いてるぜ。最悪だな」


 これを聞いてか、フロッグマンは真っ赤になってぷるぷる震えている。

カチカチ兔も耳を噛み付かれたことを思い出したようで、耳ヒュンしながら怖々と見上げている。



 その他にも、月を表す場面があり、観る者たちを熱狂させた

しかし、猿の法会の場面だけが誰にも心当たりが無かった。






 猿の法会(ほうえ)の画。


 支援者席でチクタクが申に言う。

「Foom、Mr.フロッグマンにカチカチ氏にprinceドックス、それと奥様(柿猿)ですね」

「月ではなさそうだし、どことなくみすぼらしく見える。ん、あの猿の僧侶は……」

「?」

「大聖!? 孫大聖(孫悟空)じゃないか! 無事でいらしたのか!」

「What!? 今どこに?」

「わからない。後で柿猿にも聞いてみるが……。

 だが、柿猿と大聖は面識はないはずだ」






 議事堂内は興奮と熱狂の渦に包まれた。かぐや姫は静かにするように何度も呼びかけて、ようやく静めることができた。


 ドックス王子は胸を張る。

「余は今、感動で打ち震えているッ! 日本人もやればできるのだな。狐族を侮辱することしか出来ぬ矮小な民族だと思っていたが。

 余の活躍を! そして狐族を感情豊かに表現できる画家がいたのだ。これは見直さなければならない」


「王子、もう結構ですよ。

 戌よ、この『鳥獣戯画 甲巻』をどこで手に入れたのです?」

 かぐや姫の問いに戌は答える。

明恵(みょうえ)という仏僧から貰いました」

「その僧侶を連れてきなさい。色々と聞きたいことがある」

「それは無理です」

「何故です?」

「私が食い殺してしまいました」

「なんと!」

 戌は事情を説明した。

戌が夢見人を襲ったことが糾弾されたが、フロッグマンが明恵上人が自ら進んで食われたことと戌の無実とを証言し事なきを得た。







「……私はこの絵の描き手こそ、画家理事に就任する者に相応しいと思う」

 こう発言したのはオシーンだった。弱々しいか細い声ではあった。


 発明家理事ティンカーがオシーンの肩を掴む。

「どういうつもりだ? どこの誰が描いたかもわかん絵だぞ!」

「し、しかし、スミス氏を復職させる策もジンジャーを勝たせる策もない。

 ならば『鳥獣戯画 甲巻』の作者に賭けるしかないでしょう。画風からニャルラトテップ派ではないと思いますし」


 オシーンの発言にダ・カーポが異議を唱える。

「は? ははっ? はっはっはっはっ!! この絵がピックマン氏に勝っていると? 馬鹿も休み休み言いたまえ。

 こんな酷い絵はなかなか観られませんぞ。白い紙に黒い墨で描いただけ、まるで下書きではありませんか!

 理事会は作者不明の落書きなぞ認めませんぞ。そうでしょうオラボゥナ氏」

「え、えぇ、そうですとも! 『鳥獣戯画 甲巻』は作者不明である以上は理事会に影響しません。

 画家もスミス氏のように、すでに死んでしまったかもしれない」



「三つの絵、改めて評価させていただきたい」

 こう発言したのはイムホテプ。

「私は『鳥獣戯画 甲巻』に何かを感じた。それが何かを確かめたい。議長、しばし時間をいただきたい」

「許可します」


 イムホテプは鑑賞を始める。


 まず最初にジンジャーのトウモロコシ畑の絵の前に立つ。

「動く絵。魔法をかけずに動く絵を描く才能は、ごく一部の天才だけのものと聞く。

 写実主義に徹底した繊細な筆遣い。そういった意味では彼女は集中力は大変なものだ。

 しかし、やはりジンジャー嬢は芸術家として続けるには精神力が弱い。

 彼女の負の感情を受けて、せっかくのトウモロコシ畑がカラスに食い荒らされてしまっている。

 彼女は理事の重責には耐えられないだろう」


 次にピックマンの喰屍鬼(グール)絵の前に立つ。

「さすが高名なリチャード・アプトン・ピックマン画伯。観た者を恐怖と戦慄で震え上がらせるおぞましい作品だ。

 個性溢れる作品で大変素晴らしい。使われている技巧も三者の中でもっとも優れている。

 まぁ、いささか血生臭いので観る者を選ぶのが欠点か」


 最後にかぐや姫から『鳥獣戯画 甲巻』を受け取る。

「……白い紙に黒い墨で描いただけ。なるほど、一番手抜きをしているような作品だ。

 しかし、その白と黒の世界の中で動物たちは実に活き活きとしている。

 ……そして改めて気付いた。他の絵にあって、この絵にあるもの。月だ!

 この絵は月の絵なんだ! 月を称える絵なのだ!」



 オオオオオオ!!!



 聴衆の兔や蛙、そして猿に狐たちは歓声をあげた。


 それに負けない大声でダ・カーポは叫ぶ。

「それなら月を題材に描き直せばいいだけのこと!

 ピックマン氏が月の絵を描けば『鳥獣戯画 甲巻』に遅れはとらん!」

「それはどうでしょうか。ピックマン氏が月の絵を描いたとしても誰かを食い殺す絵でしょう?

 誰を食い殺すんですか? 月の民をですか?

 ジンジャー嬢にしても同様。月の田園風景を描いたとして、少しの精神の動揺で稲を枯らしてしまうのでは?

 『鳥獣戯画 甲巻』にも描かれている水田雑草オモダカにとって替わられるなんてまっぴらですよ」

「だからなんだと言うのです! 先程も申し上げたとおり、作者がわからん以上はこの絵は何の効力も発揮しないのです。

 この絵が月の民衆からどれほどの支持を得ようともです。

 議長、理事会の閉会を。これ以上の議論は無用です!」



「今こそ、我々は公正でなくてはならない」

 イムホテプの声は小さかった。が、厳かで重みがあった。議事堂内は静まり返る。


「公正と言うのは理事会の在り方についてではない。理事は選挙で決められる。多数派が正義、それは否定しない。

 我々が公正でなくてはならない相手。それは芸術家が魂をこめて造り上げた作品に対してだ。

 ここにジンジャーとピックマンの絵があるが、ノーデンス派はジンジャーに、ニャルラトテップ派はピックマンに票を入れるだろう。

 絵の良し悪しで票を入れるのではない。画家の所属で決めるのだ。

 だが、民衆は気付いた。自分たちに本当に必要なものを。

 月だ。月の輝きは大いなる深淵(グレイトアビス)でも究極の混沌(アルティメットカオス)のものでもない。

 月の民衆から――、『鳥獣戯画 甲巻』に描かれた者の中から画家理事候補を選抜するのはどうだろうか。私が推薦する」


「異議あり! 画家理事を絵のモデルから選ぼうなど前代未聞ですぞ!

 議長、イムホテプ理事は興奮のあまり正気を失ってしまったようです。

 第一にこの絵巻に描かれた者の中にピックマン氏を超える画家などいるはずございません!」


 ダ・カーポの異議をかぐや姫は退け、過去の例を取り上げた。

「そもそも前画家理事のスミスは死んでいた。死者が理事を務めるならモデルが理事を務めても問題あるまい。

 ただし、モデルが選挙に勝った場合は理事代理とする。作者が判明した時点で、理事代理は理事職をただちに譲ること。

 さて、それら踏まえ理事選出馬の資格者は……」


「――となれば、この我輩が理事を務めるべきであろう」

 かぐや姫の言葉を遮り、発言したのは紫のシルクハットに黄の燕尾服を着たフロッグマン。

『鳥獣戯画 甲巻』では、兎の耳に噛み付き、オモダカを散らしひっくり返っている姿で表される。

「我輩の名はフロッグマン。蛙族を代表する者だ。

 なぜ、我輩が蛙族を代表するかといえば、この名前!

 我輩が住んでいたイップには蛙はただ一人。唯一無二の存在であった」


「証人は許可なく発言しないように」

 かぐや姫はぴしゃりと言い放ちフロッグマンを黙らせる。

「理事選出馬の候補者は、イナバ長老が提唱した理事資格者を参考とする。

 すなわち――


第一条、月に土地を所有していること。 


第二条、理事会および行政その他の運営資金を納める資産を有していること。


第三条、理事選挙に勝利すること。


第四条、被選挙権は芸術家にのみ与えられるが、特例として芸術家を多く擁するパトロンや、各分野において大きな功績を残した者にも与える。


第五条、…………。


第六条、……。


 さて、『鳥獣戯画 甲巻』に描かれた者の中に該当者はいるか?

 イムホテプよ、もし該当者がいなければ、もちろん推薦はできない。よろしいか?」

「……承知しました」


 まず、一番に名乗りを上げたフロッグマンは月に土地を所有していなかったため、早々に除外。


 カチカチ兎は土地は所有していたが、運営資金を納める財力が無かった。



 イムホテプは、ドックス王子に微笑んだ。

「私は、あなたを理事に推薦したいのですが。いかがでしょう?」


 そのドックス王子。

「余は、月に幾つかの不動産を所有しているし運営資金も捻出できる。王室には専属の芸術家も多い。

 だが、辞退させていただく!」

「なぜ?」

「余は人間という生き物はイソップを筆頭に我らを狡猾な畜生と見下していると信じていたが、それは間違いだった。

 『鳥獣戯画 甲巻』は狐族への敬意を表している。大いに感動し涙した。

 残念ながら余はそれに応えることはできない。余は狐族の長たる王族である。余が理事となった暁には、月から兎族と蛙族を追放し狐族の楽園を造る。

 それはこの絵を残した偉大な画家の意思に反する。月の輝きは月のために。大帝(ノーデンス)のものでも這いよる混沌(ニャルラトテップ)まして狐族のものでもない」

「王子、黙して推薦を受ければ狐族が月を支配した。政治に綺麗ごとなど……」

「余は誇り高き狐族の王子。腹に一物抱えて月を分捕るような姑息なことができようか。

 狐こそ、もっとも高潔にして気高き種族。全種族の(いただき)に立つ存在。その綺麗ごと、まかり通るッ!」

 

「なるほど、なるほどー、それは殊勝な心がけですな」

 拍手をしながらアレグロ・ダ・カーポが発言する。

「どうやら、『鳥獣戯画 甲巻』のモデルたちの中には理事代理を務められる者はいないようですな。

 いやはや、とんだ茶番でしたな。ささ、議長、理事の閉会を。理事選に備えましょうぞ」

「……そのようですね」

 




「まて、まだ一人いるぞ!」

 ドックス王子は叫んだ。

(さる)がいるではないか! 皆も知っての通り、桃柿温泉の経営者。

 イムホテプ理事は、この者を理事代理として推薦する」


 (さる)は思わず「え?」と間の抜けた声を出してしまった。


 かぐや姫はイムホテプに尋ねた。

「申を理事代理に推薦するのですね。

 ……氏は『鳥獣戯画 甲巻』の水遊びの場面にいますね。

 なるほど、温泉旅館(土地)の所有者でもあり経営者でもあるので運営費も払えるでしょう。

 月に温泉街を建設し観光客を増加させた功績は大変なものです」


「待たれよ! 待たれよ、待たれよ!

 納得できん。申氏は芸術界になんの貢献をした!?」

 ダ・カーポの異議。

 

 それを抑え込むようにイムホテプが発言する。 

「申氏に質問です。

 あなた方夫婦は芸術家を雇っていますか?」

「それは……、アッ、雇っています。

 庭師の善阿弥(ぜんあみ)に旅館の中庭の手入れをさせています。

 あ、えっと、これはつまり」

「庭師か……、うむ、立派な芸術家と認められる!

 あなたは理事代理の資格を全て満たしました」


 かぐや姫はうなずく。

「申の理事代理として選挙への出馬を認めます」



 ワアアアアア!!!


 議事堂内は熱狂と興奮の歓声で沸き立った。


「やれやれ、月の政治に干渉するつもりはなかったのだがな。

 『鳥獣戯画 甲巻』はそれを忘れさせた。日本もまだまだ捨てたものではないな。 

 申よ、貴殿には名誉を守ってもらった恩があった。(弟37話参照) こういった形で返せて嬉しく思うぞ」

 ドックス王子は(さる)の肩を力強く叩いた。

「あの、まだ実感があまり。そのあまりに突然で」



「異議ありだ……」

 この言葉、発したのはアレグロ・ダ・カーポではなかった。

ノーデンス派理事ティンカーだった。その顔はやつれ、目が血走っていた。

『鳥獣戯画 甲巻』と照らし合わせながら

(第27話、川の場面)

(第38話、弓比べの場面)

(第36話、逃げる猿、相撲をとる兎と蛙の場面)

を読めば、よりいっそう楽しめます。

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