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第144話 メネス神の加護

ワニたちの背中を歩きウルタールに入った冒険者一行。彼らの前に神官アタルが現れる。


玄奘三蔵

生き残った仏や菩薩を探し出し、衰退する仏門の建て直しを考えている。


臆病なライオン

ライオンの少年。オズの国の仲間たちを探している。


ハングリータイガー

人肉食欲求を抑えている細身の虎の少年。ライオンの親友

肉を食べない三蔵を敬愛している。


玉龍

三蔵法師が乗る白馬。その本性は龍である。


牛魔王

かつては凶悪な大魔王だったが、気がふれてしまっている。

穏やかな性格になり紅孩児の人形を実の息子と思っている。

今では見聞を広める為に幻夢境を旅している。


ケット・シー

猫の王子。ノーデンス率いるグレイトアビスの所属だが地位は低い。

ウルタールの王位を狙っている。

 ウルタールは猫が支配する国。

猫こそが法であり道徳であり正義である。

 猫を殺す者、いじめる者、迫害する者は厳しく処断される。

ばらばらに引き裂かれ、猫族とワニ族の食卓に並ぶのだ。


 冒険者たちの前にウルタールの神官アタルが立つ。

「ようこそ猫の都ウルタールへ。

 ワニの渡しの相手は、さぞ骨の折れることだったでしょう。

 早速、バステト様とセクメト様にお目通り願います」


 アタルのこの発言に冒険者たちの反応はばらばらだった。


「やったにゃ、これで僕がウルタールの支配者だにゃ」

 王になれると決まったわけでもないのに大はしゃぎのケット・シー。


 玄奘は合掌して頭を下げた。

彼がかつて行った取経の旅は、大唐帝国の国命でもあった。

即ち大使という側面があり、天竺に辿り着くまでに通過した全ての国の王族に謁見し通行手形に印をもらっていた。

そのためウルタールの王に引き合わせると言われても、何も疑問に感じなかったのである。


 臆病なライオンは尻込みした。

「いや、僕はオズの国のみんながどこにいるか調べたいのであって。

 女王に会う気はないよ」


 ハングリータイガーは理屈を出した。

「いや待ってよ。

 王様(ライオン)は王様なんだから、やっぱり猫の都の王様(バステト)には会っておいたほうがいいんじゃない?」

「でもセクメトもいるんでしょ。怖い女神にわざわざ会いたくないよ」

 

 牛魔王は恐縮する。

「我々はただの旅の者です。ウルタールの支配者のお役に立てるとは思えません」


 玄奘はライオンと牛魔王をたしなめた。

「これ、その国に入り、その国の王への謁見が求められている。

 そなたたちの言い分があるのもわかるが、ここは一度従うべきであろう」


 ライオンは不満ながらも従った。

「わかったよ。できるだけ短く済ませようね」


 牛魔王は納得した様子だった。

「法師様がそうおっしゃるのであれば」


 アタルは微笑んだ。

「すばらしい。どうぞ私についてきてください。

 神殿までご案内致します」


 冒険者たちはアタルの後に続く。


 さて、ウルタールの街並みは大変に小奇麗であった。

道はシトリン、タイガーアイ、イエローカルサイトを多く含んだ石畳で舗装されていた。

レンガ造りの家々が立ち並び、人々の往来で活気に満ちてる。

緑地も多く、草地や青々と葉を茂らせた木々が清涼な風を運んでくる。

 なにより驚かされるのは、街のそこかしこで猫たちがくつろいでいることである。

大小品種、黒、灰、赤、寅、白と色を問わず四方八方、猫、猫、猫である。

 猫好きの旅人であれば永住を決意するころであろう。


 歩くたびにアタルの足下に猫たちが集まっていった。

「ほっほっほっ、これは失礼。

 猫たちは皆、私と顔見知りでしてな。

 ただこうして歩いているだけでも寄って来てしまうのです。

 これこれ、今はお勤め中じゃ。また後でおいで」


 足下の猫たちは言われたとおりにアタルから離れていった。

しかし、一部の猫たちは遠巻きに冒険者たちの列を眺めている。

 

 どうやらそれらは雌猫たちのようであった。

「ねぇ、あなた。声かけてみなさいよ」

「やだ緊張しちゃう」

「セクメト様、いいなぁ」


 ケット・シーは誇らしげに胸を張った。


 ライオンは居心地が悪かった。

「この街は落ち着かないね。

 なんだかずっと見られているみたいだよ」

 

 ハングリータイガーは慣れた様子だった。

「この街の猫たちはライオンやトラを見慣れてないんだよ」


「そうなの? それにしても好機の目が強すぎやしないかい。ひゃっ!」 

 ライオンは何かに不意をつかれて、たまげて飛び上がった。

その何かの原因はすぐにわかった。一人の雌スフィンクス猫がライオンにすり寄っていたのだ。


「あなたのタテガミ素敵ね。ねぇ、顔を埋めてみてもいい?」


 これをきっかけに遠巻きに見ていた雌猫たちが一斉に駆け寄ってきた。


 雌ペルシャ猫はライオンに訴えかける。

「いけないわ、あんなはしたないスフィンクスを相手にしたら。

 さ、私といっしょに行きましょう」


 はしたないと侮辱されたスフィンクス猫は牙をむいてペルシャ猫を威嚇した。

するとペルシャ猫は、べたべたな泣き演技を始めた。

「よよよ、なんて恐ろしいスフィンクス。あぁ、恐怖でもう立っていられないわ。

 ライオン様、あなたの肩を貸して下さい」

そして、ばちばちウインクをしながらライオンの前足によりかかる。


 一方、ハングリータイガーにも雌猫たちが群がっていた。

「ねぇ、あなたの縞と私の縞が混ぜ合ってみない?」と、雌アメリカンショートヘアが誘惑をかければ、

「駄目よ、縞を混ぜるなんて無粋よ。あなたの縞を私に刻み込んでよ」と雌ロシアンブルーが割って入る。


 雌猫たちが次々となだれのように押し寄せて、にゃあにゃあと鳴き声をあげてライオンとタイガーにまとわりつく。


 アタルは、ぱんっと手を叩く。

すると雌猫たちは目を見開いて一斉にこの老神官に注目した。

「よさぬか、彼らは旅の者。これよりバステト様、セクメト様に謁見するのだ。

 皆、セクメト様の恨みは買いたくなかろう」


 アタルに諭されて雌猫たちは未練がましそうに散っていった。


「いや、お騒がせした。ウルタールには大柄な猫族がおりませんもので。

 お二方を見て発情してしまったのでしょう。普段は皆、礼儀正しいのです。どうか許してやってください」


 ライオンは荒くなった呼吸を整えていた。まだどきまぎが治まっていない。

ハングリータイガーの表情に大きな変化はなかった。彼は女より、食肉への関心と執着のほうが強いためである。


「ケット・シー様、誤解なきよう。けっしてあなたに男性的魅力がないというわけではないのです。

 ただ、やはりライオンやトラが相手では、なんと申しましょうか。分が悪いと言いますか。

 あまりお気になさらぬようにお願い致します」


「にゃ、にゃあ」

 ケット・シーは胸を張ったまま、顔面硬直していた。


 一方、牛魔王は物珍しそうにあたりを見ていた。

「アタル殿、一つ訊ねても良いでしょうか?」

「どうぞ」

「このウルタールは猫の都として有名です。

 街のいたるところに像がありますが。これは猫の像ではありませんね」


 道の角や家々の前に大小の石像や銅像がいくつも建てられていた。

それらはどれも共通のイメージをもって作られていた。全て人の姿をした少年のものであった。


「この男の子の像はどういった意味があるのでしょうか?」


 牛魔王の質問にアタルは快く答えた。

「これはメネス様の像です。バステト様が猫の神であるならば、メネス様は猫を愛でる神でございます。

 猫は猫だけで存在するのではありません。猫は愛されることによって初めてその存在を世に示し輝くのです。

 メネス様はいつも猫たちを見守ってくださっています」

 

 彫像の前でくつろいだり戯れている猫たちをアタルは目を細めて見つめる。

「私も子どもの頃に一度だけメネス様にお会いしたことがあります。

 それはそれは猫を愛される尊いお方でした」

 老神官の表情は懐かしさと、どこか憂いを帯びたものであった。


「さ、あれがウルタールの神殿です」

 アタルの示す先に建つ石造の神殿。


 ライオン、タイガー、ケット・シーはそれを見て同じ感想を抱いた。

「……綺麗な建物だね」


 反して玄奘、玉龍、牛魔王は、言葉にならない威圧感を受けた。

近寄りがたい立ち入ってはならない雰囲気がある。拒絶されているようである。


 アタルは、それを察したのだろう。

「ほっほっほっ、問題ありません。猫族とそれ以外の種族では感じ方が異なるのです。

 私はもう慣れております。さ、どうぞ中へ。ごいっしょいたします。


 老神官に促されて冒険者たちは、バステトとセクメトの二大女神が待ち受ける神殿へと足を踏み入れたのであった。

ついついFallout76を長時間プレイしてしまう今日この頃。

クソゲーと呼ばれることもあるし事実クソゲーだけど面白いから困る。

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