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第12話 ドロシー、おとぎの国に投票を持ち込む

2014/9/7

サブタイトルを選挙→投票に訂正しました。

「――で、どうしてこんなことになったんだい?」

 ぼろぼろになった謁見室でカカシは不機嫌そうに孫悟空を睨み、申に問いかけた。

ブリキの木こりとライオン同様といった具合だ。オズは何かを考え込んでいる。


 申は臆することなく答えた。

「大聖から申し上げたい事があります」


 申に促されて、縛られた孫悟空が答える。

「いやぁ、やっぱりオズ先王は本物の魔法使いです。詐欺師ではありません。大変失礼いたしました。ですから処刑は勘弁してください。私が死ぬと天界の不老不死の薬の効果が無くなってしまいますので」

 心にも無いことを言うと態度に出る。へらへらしている孫悟空をオズは無言で睨んだ。


 カカシは部屋を見渡す。

「勝手なことを言うね。あなたの国の薬の効力が無くなたって我々の知ったことではないね。この有様を見てごらんよ。君が暴れたせいで城は滅茶苦茶だ。」


「いやだなぁ、違いますよ」

 ここで孫悟空は、とんでもないことを言う。

「これはブリキの木こりさんといっしょに三十六部目の経を探したからじゃないですか。ちょっと散らかしましたけど、ちゃんと玉座から経を見つけ出しましたよ」


 ブリキの木こりは修理した手足の関節を撫でながら悪態をついた。

「偶然な。たまたま見つけたからといって調子にのるんじゃない。カカシよ、もうこの猿を早く引き裂いてライオンに食べてもらおう」


 待ちたまえとオズが言った。

「孫悟空、わしとしては君には死んでもらったほうが安心できる。しかし、君は今になって私を本物の魔法使いと認めた。つまり、わしが彼らに与えた脳ミソや心臓も本物と認めるというわけだね」

 それはもちろんです。と孫悟空が言うのでオズはカカシに言った。

「ちょっと北の魔女を呼んできてはくれぬか。ちと確認したいことがあってな」


 しばらくして、南の魔女グリンダがやって来た。

「北の魔女は魔方陣に取り掛かって手が放せないので私が来ました」


 オズは息をついて唸ったが、まぁよいとグリンダにあることを確認した。

「この猿が、命を助けてくれるならわしのことを本物の魔法使いと認めると言っておる。彼の言うこと信じてよいものか、それとも我々を騙そうと嘘をついておるのか判断しかねる。貴女の考えを聞きたい」


 グリンダは首をかしげながらも答えた。

「基本的に、嘘だろうが策略があろうが契約や約束事は絶対です。それは玉帝の統治下であろうとオズの国であろうと何ら変わるものではありません。とくに人間との約束は絶対です。もっとも、人間同士はよく約束を破るそうですが。ところでまさか、そんな一般常識を聞くために私を呼んだのですか?」


 オズは咳払いして取り繕った。

「ちと、ど忘れしてしまってな。いや、つまらないことで呼び出してすまなかった。もう行ってもよいぞ」


 グリンダは部屋から出て行った。


 オズは思う。

“やれやれ、どうもおとぎの国の連中の常識はわしには理解しきれん。こっちの常識がまったく通じないときもあれば、わしにとっては難解で判断し難いことも理路整然と答えたりする。

 何にせよ、孫悟空を助けてもわしの正体を追究する心配は無いというわけじゃ”

「どうだろうか。孫悟空も反省しているようだし、許してやってはどうだろうか」

 オズが言うので、さすがに三王も甘すぎると反論した。


 カカシが言う。

「この猿は今回だけでなく、以前も僕らを殺そうとしたのですよ。いや、ドロシーが助けてくれなければ間違いなく死んでいました」


 ブリキの木こりも納得がいかない。

「私たちを侮辱して許す道理はありません」


 ライオンはお腹を鳴らした。

「つまり猿料理は食べれないってことだよね。反対」


 オズは彼らをなだめ提案した。

「もちろん、諸君らの不満はもっともだ。そこでどうだろう。孫悟空に条件を出して働かせるというのは。彼は力が強く魔法も使える。色々と役に立つはずだ」


 カカシは考えを巡らす。

「ふぅん、そういうことであるならば仕事を与えましょう。マンチキンの畑で案山子をやってもらおう。調度いい棒|(如意棒)も持ってるみたいだし、これにくくりつけてしまいましょう」


 畑に野ざらしにされてはたまらないと孫悟空は慌てる。

「ちょっと待てくださいよ。この如意金箍棒はその昔、黄河の治水に使われた由緒正しき神器であり田舎の畑に立てていいものではないんですよ」


 ブリキの木こりは皮肉った。

「ここは田舎なので黄河なんて誰も知らないよ。そもそも、君は意見できる立場に無いことをお忘れかい」


 孫悟空、絶体絶命の窮地。しかし、救いの手が現れた。三蔵法師、猪八戒、沙悟浄の登場である。


 ジェリア・ジャムが叫んでいる。

「何ですか、あなたたちは。勝手に入られては困ります!」


 三蔵法師は非礼を詫びる。

「いや申し訳ない。しかし、私の弟子があなたがたにきっと迷惑をかけてしまったに違いない。すぐに連れて帰りますゆえ、今しばらくご辛抱いただきたい」

「今のあなたたちが大迷惑ですよ! だいたい、孫悟空は処刑に決まったのです」


 処刑と聞いて三蔵法師は悲しみに暮れた。

「あぁ、何ということだ。粗野で乱暴者ではあったが、苦楽をともにした可愛い弟子であった。天竺で証果を得るはずが、こんな所で命潰えるとは何と悲しき宿命か……」

 と、えんえん泣き崩れる。カカシたちは呆気にとられて言葉も出ない。


 すると猪八戒が大声をあげた。

「お師匠様! まだ諦めちゃいけません。あれをご覧ください。孫兄はまだ生きています」


 猪八戒の指差す先に縛られた孫悟空がいた。三蔵はそれに気付くと顔を真っ赤にして怒鳴った。

「なんだそのザマは。猪八戒から全て話は聞いたぞ。己を過信し人を辱めようとするから報いを受けるのだ。お前なんか早く殺されて消えて無くなってしまえ」


 手のひら返しに孫悟空は絶望する。

「そんな馬鹿な。初めに言ってたことと真逆じゃないですか。猪八戒ちょっと来てくれよ」


 猪八戒は急に呼ばれて警戒する。

「いやよ、私が口を割った復讐する気でしょ。孫兄がオズの正体を――」

「わー! わー!」

 孫悟空は大声をあげて猪八戒を遮った。カカシたちの視線が突き刺さる。

「猪八戒ぃ、違うだろ~。俺がオズに来たのは三十六番目の経を探すためだろ」


 猪八戒は阿呆だが長年ともに旅した間柄なので、すぐに悟空の真意を察して話を合わせた。

「そうです。孫兄は経を探しに来たんです。桃さんとの友情を重んじて助けになればとオズの国に駆けつけたのです」


 しかし、この言い分にカカシたちは納得しない。

「口裏を合わせても無駄なことだ。揉め事を持ちこんできたのは、その猿だ。だが、そこまでして庇うなら仲間との友情に免じて命まではとらない。ただし畑で案山子係だ。それは揺るがないよ」


 申は孫悟空を庇う。

「大聖は猿族の王なのです。彼が案山子なんてしたら猿族は誇りを失い絶望していまいます。オズの国にも猿はいるでしょう?」


 謁見室にいる各々が勝手に意見を言い合って、もはや収拾がつかなくなっていた。


「えぇい、俺を生かすか殺すかはっきりしやがれ!」

 短気な孫悟空は怒鳴り散らしたが、すぐまた水かけ論が再開した。


 オズは主張する。

「君たちは何も解っとらん。孫悟空の魔術は強大だ。これを活用しない手は無い。殺したり案山子にするなど馬鹿げておる。もっと慎重に検討すべきじゃ」


「私も、つい勢いで言ってしまったが悟空を許してやって欲しい。あれでも良いところはあるのです」

 三蔵法師はジェリア・ジャムに懇願した。

「いや、私に言われても……」


「ようし、悟浄。こうなりゃ実力行使で孫兄を救い出そう」

 猪八戒が九歯馬鍬(きゅうしまぐわ)を構え、あわや乱闘が始まろうとした時、謁見室の扉が突然バッと開いたので、全員の視線がそこに集中した。ドロシー・ゲイルがいた。

「もういい加減にしてよ。こんな言い争いをしているときではないでしょ!」

 ドロシーは観世音菩薩の腕を引っ張って入ってくる。

「ドロシー、私は弟子たちに指示を出さないといけない。こんな議論に付き合う暇は……」

「どうしてそんなに冷たいことが言えるの? 悟空さんはあなたの国の人でしょ」

 菩薩は冷たいと言われて顔が強張った。昔、同じように誰か大切な人に言われたことを思い出したのだ。


 ドロシーは構わず続けた。

「話し合いで決着がつかないなら方法は一つよ」

 アメリカの人間であるオズはピンときた。そして、彼の予測通りドロシーは民主主義のやり方を提示したのだ。

「私の国のやり方で決めるわ。投票よ!」

 ドロシーはジェリア・ジャムに頼んで、手が空いている者を集められるだけ謁見室に集めさせた。謁見室には以下二十名がひしめくことになった。


桃太郎 戌 酉 申 三蔵法師 孫悟空 猪八戒 沙悟浄 観世音菩薩 恵岸 捧珠竜女 守山大神 善財童子 ドロシー・ゲイル  トト カカシ ブリキの木こり ライオン オズ グリンダ ジェリア・ジャム


 このとき、まったく誰も気にしなかったが、十二冒険者が初めて一同に会した。

「で、投票というのは何だい?」

 カカシの質問にドロシーが答えた。

「私の国では色んな意見が出て議論がまとまらないときは多数決をとるのよ。この部屋にはトトを除けば二十人いて、私は票の集計をするから棄権するわ。あと、これは悟空さんの処遇を決めるものだから彼にも投票権は無いわ」

 ドロシーは十八名に一枚ずつ紙を配りながら言った。

「一人一票の計十八票。今出ている悟空さんへの刑だけど、一つが畑で案山子の刑、もう一つがライオンの食事になる刑、最後が無罪の全部で三つね。それじゃ、悟空さんは案山子にするべきと思う人は紙に○印を、食事にするべきと思う人は紙に□印を、無実だと思う人は×印を書いて、私が持っている箱に入れてちょうだい」


 ここでカカシが異議を申し立てた。

「いくらなんでも無実はないんじゃないかな。経を探していた言い分を認めるにしても城を滅茶苦茶に壊してくれた。何かしらの形で償ってほしい。魔術書を見つけたからといって見過ごせない」


 桃太郎が提案した。

「私と家来三名は、玉帝より経の発見とそれを狙う敵の撃破を命令されている。どうだろう、悟空殿が経を探しに来たと言うなら、私たちと同じ責任が生じるのではないだろうか」


 オズが手を叩いて賛同する。

「その通りじゃ。経を狙う者は必ずここに仕掛けてくる。そうなれば彼の力は大いに役立つ」

「じゃあ、無罪はとりやめて、魔術書の守りと敵を倒す刑ね。これを×印するわ」

 ドロシーの決め事に、誰も異議を言わなかったが、猪八戒は沙悟浄にささやいた。

「結局、どの刑になっても孫兄とはもうお別れね」

「いや、×印を書けばそうとも言い切れない。経を狙う敵は如来様を殺した敵と同一とみて間違いない。参加すれば弔い合戦になる」

「え、まさか手伝う気?」


 驚く猪八戒に三蔵が言う。

「沙悟浄の言う通りです。私たちは皆で証果を得ると決めたのです。悟空が戦うというなら私たちも残るのが道理。さ、紙に×印を書きなさい」


 猪八戒は、やれやれと紙に×印を書くとドロシーの持つ箱の中に入れた。その後も残り十七名が印を書き終えて投票した。


 ドロシーは票の集計を終えて結果を発表した。

「○印一票、□印四票、×印十三票。よって魔術書の守りと敵と戦う刑です」

 孫悟空は戒めを解かれた。


 猪八戒が駆け寄った。

「やったね孫兄。とりあえず殺されずに済んだよ」

「何がやっただ阿呆。つまり俺を殺そうとした奴が四人もいるって意味だぞ」

 孫悟空はドロシーの仲間たちを睨んだ。

「俺を案山子にしようとしたのは、あのカカシ野郎か。で、俺を食い損ねて拗ねてるライオンとそれを慰めてるブリキの木こり。あれで二票だな。ちっ、あと二人は誰だ?」


 孫悟空がきょろきょろと犯人探しをするので三蔵法師が叱る。

「これ悟空。せっかく助けてもらったのに犯人探しをするとは何事じゃ」

「いやしかし俺を殺したがっている奴を把握しておかなくては、いつ寝首をかかれるか分かったもんじゃありません」


 すると善財童子と目が合った。童子はびくっとして守山大神の後ろに隠れた。

「お前だな!」

 孫悟空は三蔵法師と守山大神の制止を振り切って善財の腕を掴んだ。

「やい、俺を殺そうとしたな」

「手を放せ弼馬温(ひつばおん)。お前は一度獅子に食われて反省したほうが良い」

「何だと!」

 悟空が腕をねじるので善財童子は悲鳴をあげた。三蔵法師が乱暴をやめさせるように沙悟浄に指示をだした。


 だが、沙悟浄より先に動いた者がおり孫悟空の頬に平手打ちを食らわせた。ドロシーであった。

「あなた、死なずに済んだのに何言ってるの? 人の入れた票に文句を言うなんて最低の行為よ」


 人間という生き物はおよそ孫悟空を畏れ敬うものである。孫悟空の力を知っていれば尚のこと。それでも臆さず向かってくる少女に悟空は面食らった。


 ドロシーの仲間たちにも緊張が走り、ブリキの木こりが斧を構える。

「弼馬温、ドロシーを少しでも傷つけてみろ。絶対に殺してやる」

 彼らは弼馬温の意味は解からないが、孫悟空を侮辱できる言葉であると理解した。

 しかし孫悟空は怒りも忘れて呆然として善財童子の腕を放した。


 観世音菩薩が言う。

「もうよい、ドロシーの言う通りじゃ。お前は死なずに済んだ。これ以上、ここで誰かを傷つけたり悲しませる必要はなかろう。私も□印を書き、お前の死刑を望んだ。お前は私の腕も捻じるのか?」


 これには孫悟空も驚き、声を震わす。

「そんな馬鹿な。そもそも五行山で封印されていた私を導いたのは、菩薩様じゃありませんか」

「そうじゃ。しかし唐から天竺までは堕天した者らがひしめき、また玄奘の前世の罪も重かったので、とても猪八戒と沙悟浄だけでは守りきれん。どうしても、お前の仙力が必要不可欠だったのです。できれば五行山から出ないで欲しかった」


 孫悟空は、観世音菩薩はドロシーの言ったように冷たい女神なのだと恐怖した。

「孫兄、そんなに悲しまなくてもいいじゃない。孫兄がいなけりゃ旅は成功しなかったんだし。私と悟浄だけじゃ力不足って言われたようなものなんだから」

 そう言って猪八戒は孫悟空を慰めた。


 その横で守山大神(しゅざんだいじん)は青くなる。

「どうしよう、俺たちは×印を書いてしまった。これはお師匠様の意志に反するではないか」

 捧珠竜女(ほうじゅりゅうじょ)は焦りながらも、

「大丈夫よ、私たちや恵岸兄様が□印を書いていたとしても結果は変わらない。問題ないはずよ」

 と自分に言い聞かせるように言った。

 そのとき謁見室の扉が開いて門番が飛び込んできた。

「い、急ぎ申し上げます! 化物の軍勢が進軍、エメラルドシティが包囲されようとしています!」


 戦いの時が来た。


 孫悟空は窓から飛び出すと如意棒を立てて先端に乗り伸びろと叫ぶ。たちまち如意棒はエメラルド宮殿の塔を越えてそびえ立つ。その頂きに立つ孫悟空は四方を見渡す。敵の配置を確認し、すぐ謁見室に引き返す。

「都は囲まれている、敵の数はおよそ一万。犬ともトカゲともつかない四足獣、馬の頭をした巨大な鳥、あと刀槍で武装した犬人間の群れが目立つ。その他にも色々いるが見たことも聞いたことも無い化け物ばかりだ。とくに北から羽根の生えた獅子、東からデブ女、南から羊、西から来るぐねぐねした変なのは手強そうだ」


 カカシはすぐに緑髭の兵士オンビー・アンビーを呼び出した。

「これはエメラルドシティ始まって以来の危機である。すぐに防衛線を敷くのだ」


 しかし兵士の様子がおかしい。問い詰めると申し訳なさそうに答える。

「今までエメラルドシティで戦争が起きたことはありませんし、兵士は私一人だけなので、とても一万もいる化け物に太刀打ちできません」

 これにオズの国以外の者たち全員が驚いた。


 孫悟空が頭を掻き毟る。

「なんて阿呆だ。たった一人の軍隊なんてあるもんか。非常識にもほどがある!」


 カカシはムッとする。

「今まで軍人が一人で困ったことはありません。とやかく言わんでもらいたい」

「今、困ってるんだよ!」

「なるほど、その通りだ。しかし、幸いにも余に名案が浮かんだ。余はオズの国の王であるから、余の命令に従ってもらうぞ」


 カカシは壊れた玉座にふんぞり返って指示を出した。

「第一に、桃太郎とその家来、孫悟空、猪八戒、沙悟浄、そしてグリンダには敵を迎え撃ってもらおう。先王は城の者たちを使って都の人々を城に避難させてください。北の魔女とその弟子と三蔵法師は魔術書の封印を解く準備を、それが済んだら迎撃に出ている者たちの援護に向かってくれ。ドロシー、ブリキの木こり、ライオンそして僕はここに残る。僕らがいなければ魔術書の封印は解けないからね」


 先鋒は配置を話し合う。

 桃太郎が言う。

「南から来るという羊が気になる。そちら私たちに任せてくれ」

「よし、じゃあ俺は北から来る獅子を相手にする。八戒と悟浄は東から来るデブ女の相手を頼む」


「では、私は西から来る変な奴を相手にすればいいわけですね」

 グリンダが西の担当を買って出たので桃太郎は不安になった。

「あなたのような女性を一人で行かせるのは気が引ける。私の家来を連れて行って下さい」


 それをグリンダは丁寧に断った。

「お心遣いは嬉しいですが、今初めて会った方々と組むよりは一人の方が動きやすいものです。それに私とて南の魔女にしてクワドリングの女王です。心配は無用です」


 すると孫悟空が言う。

「しかし、敵の数は多い。俺の分身を援護に回そう」

 孫悟空は城外に出ると身外身の法を使って一万匹の分身小猿を用意した。

「こいつらは自我がないから操るのは簡単だ。ただ、それほど強くないから過信はしないでくれ」


 そして、各々が分身を引き連れて敵の迎撃に出陣した。

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