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とまどい

リクエストがあったので。

眠くなって途中でやめたので、前書きも後から編集です。

凜乃ちゃんが正しい方です・・・誤字気にしなきゃあいけませんね、気にしないもんですいません。

  そりゃあ、凛乃ちゃんより私の方が年上だよ。


  一度高校いってやめたから今同じ高校二年生とはいえ確かにいっこ上だよ。


  だからってお勉強がわかるっていうのとはちょっと違うと思うの。


  凛乃ちゃんのスパルタ勉強会が始まってわずか一時間たらずで私のHPはピコンピコン状態真っ赤っか。


  もうダメ、勉強が始まってからもう何度目になるか、テーブルにうつぶせになってア~だのウ~だのうなり声を出す私に、


  「あ~、もうやめとけ、やめとけ。ハルの頭から湯気でてんぞ、口からも魂抜け出てんぞ~。かわいそうになぁ。リィお前分数から教えてやるったって、そもそも分数ってなんだって顔してっぞ、ハルは」


  そういって私のつっぷしたままの頭を優しく撫でてくるのは我が家の家長であり自称凛乃ちゃんの半身、杉野さん。


  私はこれキタ!とばかりに顔をあげ、ウルウルとボスにもっと言ってよとおねだり攻撃をした。


  はっきり言って私には理数系は無理、「どこの世界の暗号だ」と思ってるし前の高校だって名前が書ければ入れると誠しやかな都市伝説が語られるくらいのレベルのとこだったもの。


  それが何?権力怖い!


  凛乃ちゃんが通う高校への私の強制転入だもん。


  文系科目は今回も赤点ぎりぎりセーフだけど数学が毎回赤点、追試をしても無理なものは無理、こりゃあ詰んだな、と私は思ってたのにほら、「権力怖い!」で最後は簡単なレポートでオッケーだった。


  私的には学校なんてどうでもいいし、当初の目的の凛乃ちゃんの男除けもいらないらしいから、いつやめてもいいんだけど実質的な私の飼い主の凛乃ちゃんが「一緒にいるの」と言って、なおかつ私を大学までいかせるとの野望に燃え

 ている。


  で、わからないならわかる所から教えてあげると自らが家庭教師をかってでた。


  なぜかプロの家庭教師を頼むのはダメなんだそうだ。


  私が勉強するのが嫌で男でも女でもたぶらかすに違いないからと断言された。


  それに皆が頷くのを、どっちがたぶらかすんだかと私は思った。


  私と大の仲良しの冒険家の悟さんが言うのには、凛乃ちゃんにはとても厳しい境界線があって誰でもたぶらかすわけじゃない。


  それにやられた人間は溺れながらもそれを味わう余裕を持てるし、凛乃ちゃんは文句をいいながらもちゃんと目で見て手も差し延べてくると言う。


  けれど私の場合「無自覚、無責任、その場限りだ」とジトっと恨みがましく私を見ながら言われた。


  するりと入りこんできて、気がつけば底なし沼みたいでただ溺れるしかないのに手をさしのべるどころか気にもしないんだ。


  お前は本当に誰一人本当には必要がないんだろう、そう言ってまたふて腐れる。


  だからお前は冒険になんか絶対連れていかない。


  そのまま平気でお前は人間社会からドロップアウトしちまうからな。


  そうわけわかんない事言って私にその大きな図体で寄り掛かり、ここに来れば一日中私にひっついてる悟さんは今はいない。


 いつもの冒険に出かけてるんじゃなく、残念な事にこの春先我が家長どのを怒らせて、


  「そんなにサバイバルがしたいなら存分にさせてやる!」


  とどこかにほうり込まれたらしい。


  あれから四ヶ月、さすがに私でもどこにほうり込まれたのか聞きたくなってきた。


  まあ、いっつもいっつも凛乃ちゃんを鬼の居ぬまに修業と称して遊び倒すからだよ、自業自得っていうやつ。


  後から怒られるのわかってるのに何でやるかな?って私があきれて聞いた時、


  「姫さんにはガス抜きが必要だからな」


  なんて真面目に答えてくれたけど絶対嘘っぽい。


  目が楽しくてしょうがないって顔してたもん。


  帰らない悟さんに私が大丈夫かと聞いたら「あいつなら心配無用だ、全人類が滅ぶような状況でもあいつだけは生き伸びる」


  そう疲れたような顔をして皆同じようなことを言ってきた。


  ある意味このメンバーにこれだけひかれてるのって凄いかも悟さん。




  何で今こんな現実逃避してるかっていうと、せっかくのありがた~いボスの私への助けの手が容赦なく我が正式な後見人である弁護士の吉崎さんによって切り捨てられたからだ。


  その眼鏡の縁をキランとさせて理路整然と私が勉強する事の凛乃ちゃんへのメリットをズラズラと並べ立て、凜乃ちゃん至上主義の杉野さんはあっさりその救いの手をなかったものにした。


  よって私は再び凛乃ちゃんの無慈悲な手に委ねられた。




 


  いつもいつもここでは何かがおこり私はそれに巻き込まれたり傍観しながら日々まったりと自分のペースで過ごしていた。


  夏の終わりに悟さんもなんか人として大事なものをまた何枚か脱ぎ捨てたらしいけど無事に帰国した。


  今までも皆にトラブルメーカーとしてなにげに避けられていたのに、あの杉野さんが今や凛乃ちゃんにしっかりと護衛をつける撤退ぶりだといえば、そのバージョンアップぶりがわかるだろうか?


  帰ってきた日、私と凛乃ちゃんはたまたま学校の登校日でいなかったんだけど、誰とも会話をせずその凄まじい雰囲気で流石の一癖も二癖もある仲間でさえビビらせていたという。


  で、学校から帰ったとたん玄関先でなぜか待ち構えていた杉野さんに制服の首の所を引っ張られズルズルとそのまま靴もはいたままポイってされた。


  思い切りリビングまでズルズル連れていかれてポイって投げられた私は悟さんに大切に受けとめられ、そのままその腕の中で「何なの?」とばかりに、いつものんべんだらりとしてるこの私も突然の乱暴な扱いに抗議すべく杉野さんに視線を向けると、他の連中と一緒にやれやれって感じになってた。


  なんなんよ?と思うまもなく、視線さえも他を見るのは許さないとばかりに頭ごとそのまままた悟さんの胸に押し付けられ苦しいやら何やらで、でもまあ無事に帰ってきたからいいかと丁度いい体温に私は意識を放棄しそのまま惰眠をむさぼった。


  後でお帰りなさいと言おう。




  後から悦子さんに聞いた所、あまりに悟さんの人外の雰囲気がひどくて荒々しすぎるんで、「ネコが帰ってくんの待ってたのよ。


  うざいでしょう?」と綺麗に笑う悦子さんに私も凛乃ちゃんもちょっとだけひいた。



  私もこのマンションに自分の部屋を貰ってるけど、基本皆が集まるリビングで学校にいく以外はゴロゴロしてる。


  入れ代わり立ち代わり皆がやってきて、またいなくなる。


  私におやつをくれたり、めんどくさがりの私にご飯をきちんと食べさせたり。




  凛乃ちゃんはいつも遠くを見据えてるけどちゃんと自分の足元も大事にしてる。


  「夢はまったりひなたぼっこして一生を終える事」がマジ目標な私みたいのが側にチョロチョロしててちょうどいいって笑ってくれる。


  ここはとても居心地がいい。


  けれど誰と楽しく過ごしていても私が本当にその中に入っているんだろうかと不安に思う。


  私は臆病なネコで一度人間になって失敗したから余計だ。




  思い切りラグの上で四肢を伸ばし次にボーっとしなから顔をラグにつけたまま、すぐ顔の前にある足を見る。


  どうやらここで寝ているうちに誰かが帰ってきたらしい。


  ソファーセットのすぐそばで寝ていたから座る誰かの足が見える。


  私のおきたのがわかったのか、屈む気配がしてそっと横たわったままの私をわざとらしくあざとく優しく撫でる手。


  これはたまに我がボスが誰か外部のものに見せるパフォーマンス。


  杉野さんいわくちゃんとペットを可愛がってるのを見せる事も、ペットがそれに素直に甘える事にも意味があるらしい。


  誰と誰にだろう?


  皆があれだけ危ない人ばかりなので敵も多いのかな?


  凛乃ちゃんばかりに向かったら危険なので私を見せる事で撹乱をするのかなあと情報屋にある時何かのおりに軽く言ったらデコピンされた。


 「ばあ〜か!お前康平さんに逆らうなんてよっぽどのバカだし、姫さんにはガードはバッチリだ」


 「うん、若干一名をのぞいてな・・・。あいつ以外手を出す無謀な奴なんていねーよ。お前も守ってやるっつー意思表示なんだぜ。わざわざここに招いてくる人間はそれなりなんだからな、お前、本当にわかってないのな」


  そうあきれたように言われたけど私にはわからない。


  だから嫌なんだ、人って。


  どこまで踏み込んでいいかわからない。


  ちゃんとここまでって境界線を明記してくれればいいのに。


  私は大人しく撫でられながら徐々に意識がはっきり覚醒してきた。


 なぜか今日のお客様らしい対面に座る人間から凄くきつい視線が私に向けられている。


  もしそれに温度があれば私はすでにコンガリ焼かれていただろうくらいにはきつい視線だ。


  私はなんかやな感じと撫でる手を外すと自室に戻るべく立ち上がった。


  「どうした?、ご機嫌斜めか」


  と気持ち悪いわざとらしい猫撫で声を無視して出ていこうとした。


  私はなにげにチラっと対面に座るあの視線の主を出るついでに見てみた。


  そこにはきつく焼けつくような視線で私を見据えるタイガとあの宏大さんと翔さんがいた。


  それを見て驚く私に杉野さんが、


  「今度うちと取引する高山さんだ」


  そう言ってニヤりとするのに私は今度こそそこを出ていった。


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