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油なき花



更新です!遅くなりました!


 炎神視点



「お、なんか起きたみたいだな」


「本当ですか……良かった」



壁越しでも伝わる鮮やかな末っ子の神力に二人の帰還を知らせた


まったく、親父もリーヴァを連れてくんなら一言ザハルに言ってくれよ……



「リーヴァァアああアアアアアア"あ"ア"ア"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」



脳裏に未だに残っている

皆が寝静まった夜中に響いたのは花神の轟声、その銅鑼を叩き割ったような轟声によって隣室で眠っていた俺達は叩き起こされた


「っうお!!なんだなんだ?!」


「……ザハルの声ですね、もしかしてリーヴァになにか?!」


各自ベッドから転げ落ちんとばかりに急いで向かう、俺はドアの近くだったのが幸いしてアリアルアより早く飛び出せた


「(後がこえー)でもあぶねーんなら、アイツが来る前に片付けちまわねぇと……な」


白銀がこちらに何か言っているのが分かったが、恐らく制止の言葉だろう俺は振り返らずに、ザハルとリーヴァのいる寝室に飛び込む




「ブツブツ……リ、ーヴァ……れ、の……ヴァ……ブツブツ」


が、当初の勢いは部屋で上向けのリーヴァに馬乗りになり、何らかの言語をブツブツと唱えるザハルによってしおしおと風船のように萎んでいく、てか微塵も残んねぇよ



そして、何処か妖しい雰囲気に不味いタイミングに来ちまったか?!と焦る、すると後ろから置いてきた連れの声が


(ヤバいヤバい!!なんて説明すりゃ良いんだ?てかなんで俺がこんなに焦ってんだよォオオオ?!)


バタバタと足音が近づいてくる、それに反例して俺の心臓もバクバクと大きく脈打つ、仕方ねぇ……廊下でアイツを引き留めて一旦退却するか


そう身を翻して、扉を開けると時速五百キロぐらいの早さで白銀が横をすり抜けた、ってえぇええええー?!


「リーヴァァア!!!大丈夫ですか!ってなんですかこれ!?」


「いやァア!!なんでそんなに早いんだよ?!お前体動かすの苦手だろ!」


「はんっ!リーヴァの為なら光の早さで走れますよ可愛い弟なんですから!」


鼻で笑われたよちくしょう!……いやそれは何時ものことだ(?!)それよりもこの状況なんとかせねば、俺は自分も把握しきれてない事態を納める為に決死の勇気を振り絞りザハルに声をかけることにした


「ザハルさぁーん……」


「……」


「ザハル様ぁー…」


「……」


「……バーカ」


「アーホ」


ビシィイイッ!!何処からか現れた青々とした蔓が俺の頭に直撃した、じんわりとした暑い痛みが浸透してきて鼻の奥がツーンとした

あ、涙が……何だが懐かしい痛みに年甲斐もなく涙腺が緩んだ


「痛ぇェエエエエッ……なんだこれ、暑い痛い暑い!!」


しゃがみこみ痛みを逃がそうと体を揺する、俺今、全力でダサいだろなでも良いんだ!今は痛いから!!


「お黙りなさい、自業自得でしょうに……それよりもザハルがこちらに見向きもしない理由が分かりましたよ」


するとアリアルアのその美しい唇から冷たい言葉と事の真相が発せられた


「はぁ?!……ぉぉ、確かにリーヴァの神力が無ぇ!」


見ると確かに、何時もの息を飲むような美しい翠がリーヴァの何処にも見当たらない


「まるで綺麗に中身だけが何処かへ行ってしまったような……永いこと生きてきましたが、僕はそんなこと出来る神を一人しか知り得ません」


「親父か!「ゴホンッ!」……でもよぉ?こんなことしたら親父だってザハルにどんな仕打ちをされるか分かんねぇ訳無いだろ?」


アリアルアがザハルをチラッと見て俺を咎めるように咳き込むので小声にして会話を続ける、目が空気読めポチと語っていた

こんなときもポチ?!なんて思うが言うと剛拳が飛んでくるので口には出さなかった、俺偉い


自分で言っといてなんだが親父がザハルにヤら……最悪のパターンが脳裏を過った、そうなると次期王はザハル、か……(いやいやいや、なんか我既に殺されること確定してるし!)


まぁ確かに神々の王たる親父ならこんなこと朝飯前だ……でも

腕を組んでうんうんと悩んでいると、さっきまでピクリともしなかったザハルが突然立ち上がり此方に来た


「…ザハル……様?」


つい敬称をつけたのは仕方の無いことだと俺は思う

何時もの外見的チャラさが取り払われて、世界を獲りに来たよ!みたいな凄味満点の魔王ザハルが御光臨なされていたのだから


「リーヴァが、お父様に……



……フザケルナァア!!」


「「ギャァアアアアアアアアアアア!!!」」


俯き気味だったご尊顔をあげて咆哮するザハル、心なしか八重歯が牙みたいになってるからよりこえぇ!!


「何してるんですか主」


この時フラードが神に見えた、いや俺が神なんだけども


「うるせぇよ、邪魔すんな」


「なんですか、アリアルア様達に八つ当たりする事がそんなに大事ですか?」


ザハルの神力が揺れた、勇者だ、フラード……いやフラード様!


「いえ、様付けは要りません気色悪いので」


「ひでぇ!そして心読むなよ!てかそれ地の文!!」




ーー 花の嘆き ーー


(嘆きってか、回りを巻き込んだ暴走!)


(うるせぇよポチ)


(そうですよポチ)


(止めてあげて下さい、ほらポチ様大丈夫ですか?)


(結局犬から脱却出来てねぇ!!)

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