表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/98

出稼ぎです

本当にすみません…

自分の中でとっかかりを感じ、もう一度書き直してみました…自分なりに頑張ってみたので楽しんでいただけたら嬉しいです!






まだ高い日の光が木々の隙間からこぼれ薄暗い樹海を神秘的に見せる



「リーヴァーまだかよー?」


「まだ…」


「歩きすぎて足が痛いです…」



俺も痛いです…



「リーヴァ…本当にこの道で合っているの?」


「合ってるよ、…前回はこの道で十五分で行けた」



《え、真か…じゃあなぜに我らはここ小一時間歩き続けてるのだ…!》



パパがとうとう木に寄りかかり嘆く



「知らないわよ~、リーヴァ気にしちゃダメだからね!」


「うん…」




そういう兄様は俺の頭にあごをおき、首に腕を回すというリラックスしている体制である



「でもよー可笑しくね?」


「何が?変なことを言ったら殺しますからプロクス」


「イライラしてるな!おい!


周りの風景…全然変わってないんだけど」



「…そういえば、そうですね」




地面にハンカチを敷いて、見下げているはずなのにアリル兄さんのほうが明らかに優勢である



《…もしかして、あれか?今更ながらにこの迷走の樹海の本領発揮っていう感じか?》



「かもしれないですね…本当に今更」



「…でもよー、リーヴァがいるのに何で」



「……僕たちがいるから?」



《かもしれぬな…》



全員が疲れたように溜め息を漏らす




「でも…本当に何故、今更…」


兄様と二人で入った時は何もなかったのに…







【君に…出テいってホシクナイカら…】







「?!」


急に頭に直接響くような声に驚きながらも周りを見渡すがそれらしい影は見つからない




「どうしたの?リーヴァ急に動いて…」



「いや…何でもない」



みんなには聞こえてない…?

言うか?…いや、確証がないんだから…



「そう?なんかあったら無理せずに言ってね?」



「うん…」



【君にしか…聞こえてな、イ】



「俺にしか…?」



「リーヴァ…本当にどうしたの?何かあるなら言って!…オレ、そんなに頼りない?」


悲しげに兄様の端整な顔が歪む…

あ、なにやってるんだろ俺…兄様を信じてんなら…言わなくちゃ


喉に押し留めていた鉛のように重たい言葉をなんとか押し出す



「声、が聞こえるんだ…」



《声?…その声が何を言っているかわかるか?》


俺の突拍子のない言葉をみんなは信じてくれた…言って良かった、信じてくれてありがとう…!嬉しさのあまり視界が緩む


「大丈夫…オレがついてるからな」



泣いてしまいそうなのを見られなくて俯くと怯えていると思ったのか、力づけるように兄様の腕に力からが入る


違うけど…ありがとう兄様



「…俺に出て、いって…欲しくないって」


「そいつか…俺らを閉じ込めてんのは……チッ!気にくわねぇな」


プロクスが苛立たしげな舌打ちをして、地を蹴り周りを取り囲む木々を睨み付ける


【ワシは…ランヴィ…旧き封印されし、カミであったもの】


「ランヴィ…?」



この樹海に封印された、方ですか?!

神の世界にもお化け的な心霊?現象がおきるとは…!夜のトイレどうしよう…


そんな俺とは対象にパパの顔はことの深刻さを物語るくらい深いシワが眉間による


《ランヴィ?!…封印されてもなお、思念を送れるとは…!》






【独りは…イヤだ…独りは…哀しい】






頭の中にあまりにも悲痛な声が響く…ごめんなさい、シリアスな空気に出来なくて

そうですよね、封印ですものね!お亡くなりになんてなっていませんしね!まことに申し訳ありませんでしたぁあ!!


だから、俺にピンポイントでテレパシー流さないで下さい…怖いんです、本当に




【ワシは…もう、独りは…イヤだ



おいてイかないで…】





木々ののざわめきが、ランヴィにあわせ大きくなっていく



ん?てか、なんで独りになるの?ここ…俺んちがあるじゃん、俺いるじゃん…ダメなのか?





「え?






なんで?」



【出ていク…ワシを置いて…出ていク】



はぁ…まったく…俺の意見を聞きもしないで…

ちょっとした憤りが湧いてくる


おそらく、小さい子どもがいたとしたらこんな感じなんのだろう…




「リーヴァ…?」



ここは…





「よく…よく聞いてランヴィ…俺は出ていかない、仕事のために…所謂…出稼ぎに行くんだ、わかるか?」


【ほんトうに…?】




「…ここは…俺の家があるところだよ?戻ってくるから…」




ざわめきが鎮まり、兄様やプロクス、アリル兄さんがいきなり鎮まった周りを訝しげに見る



【…戻っテくる…?】




兄様の腕を解いてもらい

木の鋭く尖ったら部分に手を添える




「信じられないなら…これを、


俺の代わり…」




そのまま…手を勢い良く下ろす

当然、手から血が滴り落ちる




血は地面に滴り落ちる寸前のところで澄んだ翠色の結晶となるそれを俺は木の窪みに入れる


ケケオイルの応用だけどうまくいって良かったー…てか、手痛い



【これは…?】



「…俺の代わり、帰ってくるまで大事に守っててくれない?」


俺がそう言うと木から伸びた蔓が窪みに入り結晶をおそるおそるというようにつつく




実体のないランヴィ…けれどそれは封印されたこの地では木に宿っているも同じであるのではないか?そう考えてやってみたが…当たりだったな…良かった


【…守ったら良イ?…そしタら…戻ってクる?】



「当たり前だ、留守を頼んだ…開けてもらって良い?」



【ワカった…気をつけテ…】


木々が避けて道をが姿を現す…開けたお陰か少し光が増して眩しくもある





「あれ?リーヴァ…お前、なにしたんだ?」




いきなり現れた道に驚きを隠せない様子のプロクスにアリル兄さんが蹴りを入れる



「何が…なにしたんだ?ですか、見ててわからなかったんですか?リーヴァがランヴィを説得してくれたんですよ!感謝なさい!この堕からはじまって犬で終わる生き物」



「堕犬じゃねーか!遠回しに言ってる意味あんのかそれ!?」


《プロクスよ…諦めよ

つ、ついでに我はわかっていたからな!》


「保身に走った?!」


道が見えて安堵したのか、いつものプロクス弄りがはじまり心なしか弄られているプロクスも嬉そうに頬を緩めている



「ねぇ…リーヴァ?」



「ん?…どうしたの?兄様」



樹海から出て、久しぶりに浴びた直射日光に目をくらましそうになりながら兄様になんとか視線を向ける



ーー お留守番頼みました、よろしくお願いいたします ーー







(…手、処置しなきゃね


(俺のリーヴァに傷が…!俺の印ならともかく、俺以外のヤローの為になんて…絶対、痕なんて残させねぇ!))




(うん…ありがとう兄様)




((《リーヴァには見えてないんだな…ザハルの黒々しいオーラが…》))





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ