不変のモノ
ケケオイルを手に取り目の前の獲物(アリル兄さん)を見据え手具すねを引く、ジュルリ……やってやるぜぇ…!(敵役風味?!キャラが崩壊してるぅ!!)
「さぁ、兄様 覚悟は…いい?」
「は、はい!!」
そして目の前には、小鹿のように足を震わせ顔面蒼白でよい返事をくれるアリル兄さん
えー……ここまでビビらせる気は無かったんだけど、顔だって殆んど笑ってるのに
…仕方ない、流しましょう
《いいんだ、流しちゃうんだ
我びっくり》
「……仕方ないことだから……」
原因がわからないからねー…
「会話が成立してねぇえぞ!!」
「黙れ、惰犬
オレのリーヴァに気安く突っ込みいれるなや」
「変換にまで惰犬が食い込んできた?!」
「そんなことよりリーヴァ
殺ってあげなくていいの?」
「そんなこと?!そんなこと扱いなのか俺はぁ…!!」
…どうしてか、兄様の"やってあげなくていいの"の"やって"に物凄く違和感を覚えるが、今はそれに構っている暇はない、アリル兄さんに自身の肌についてしっかり理解してもらわねばらないのだよ!
「……あぁ、すまないアリル兄さん…」
準備した水の入っている洗面器を脇に置き、アリル兄さんの膝にフェイスタオルを敷く
ここまで準備したら、まず俺の手にケケオイル(オリーブオイル風味)を馴染ませながら、念じる…水のように限りなく刺激がなく尚且つ油特有の肌を軟化させる効能も残す……
相反する効能を持たせるのは大変だが、今、必要としているのはまさにそれなのだ
頑張れ自分!!
「ーーックーーッン!!」
するとケケオイルが淡い光に帯び色も蒼に近い緑色になり、トロリとした感触も水のような掴み所のない透き通った感触に
成功だな!やったぜ!!
「ッハァ……じゃあ、はじめるよ…」
内心歓喜に震えるがおくびにも出さずに、冷静に装うよう心掛ける
……だってさ目の前のに綺麗なお顔があるんだよ?!
興奮して唾飛ばしたりなんかしたら、俺の首が飛ぶわ!(大袈裟な!)
「あ、は はい どうぞ」
吃りながらも目蓋を下げてくれるが、心なしか顔が赤い……やっぱり嫌なんだな吹き出物見られるの…
…ん?、何故か兄様がこっちをガン見して、プロクスに抑えられてる…てかどーどーって馬扱いかよ、パパ…何故そこで溜め息?
どうしたのか聞きたいところだか、今はアリル兄さんっと……
まず、皮膚組織の多い額から鼻筋を軽くマッサージするように、そして少ない部分の頬から目元、口元までをかけて塗り込む、やり過ぎると乾燥肌引き起こしてしまうのでそこは心掛ける
「アリル兄さん、大丈夫?
肌が痛かったりする?」
「いえ、何とも無いですよ
特に痛みも感じません
寧ろ…気持ちが良いです」
……アリル兄さんは特に敏感肌だから軽く一回で十分だと思う
直ぐさま洗面器を引っ張り洗顔をしてフェイスタオルで撫でる様に水滴を拭く
コロコロと肌の上を転がる水滴を見ながら思わず、美肌…と感心する
さすが美神……元女子から言わせてもらうと、憎いぃ!この一言に限る(怨念こもってるな)
「アリル兄さん、目を開けて良いよ」
鏡を構えながら言う
「終わったんですね?
じゃあ、目を開けますよ…?
え……、や、奴が……!消えてる!?」
※奴=吹き出物です、ご注意を
信じられないように自身の肌をペタペタと触る様子に、どれ程気にしていたかがよくわかり同時にケケオイルの効力に自分でも驚く
前の世界とは違うんだな…と少し自分が怖くなり、黄昏てると……
「リーヴァっ!
本当に!本当にありがとうございます!!助かりました!」
アリル兄さんの言葉を聞いて全部吹っ飛んでいった…哀しみや戸惑いを含んだ位感情が
……あぁ、変わってないな
お礼を言われると
喜ばれると
笑顔を見ると、心が温かくなる…これだけが前と全然変わらない
「どういたしまして…アリル兄さん」
ーー変わらないものーー
「はぁーなぁーせぇー!!
リーヴァのとこへ行くんだぁ!!」
「落ち着け!ザハル!
せめて、今はやめてやれ!!
空気を読めない俺でも分かるぞ!今はダメだとぉ!!」
《自覚症状ってどうやって育つんだっけ?》
ケケオイル…これからも役立ちますよぉ~!!