不憫な炎
他視点って本当に難しいです……
炎神視点
それは偶然だった
酒神と創っていたランプだがとても使いにくいという難点があり、元々頭をあまり使わない俺らにはどうしようもなく
ついには酒神が根をあげて逃げちまった
けど、諦められずに俺は親父の知恵を借りようと部屋に向かっていると
ザハルの野郎が見覚えの無い奴を連れて歩いてやがった
少し気になりつつも足を進める
そうして、すれ違った瞬間
ゴウッ!!!
自らの内にある力が溢れんばかりに燃え上がり外へ出ようとする
「っ……!」
あまりにも強い衝撃に茫然自失としかけになりながら抑え、何とか原因を視線で追う
恐らく原因はザハルの野郎が連れていた奴だ
追おうにも久しぶりの暴走にてこずり落ち着いた頃には姿はおろか気配もなくなっていてつい舌を打つ
《どうした?プロクス
今日はいやに気が立ってるじゃないか》
「それよりさ親父、取り敢えず
いきなり現れんのやめてくんね?」
しかも、目の前って
心臓止まるかと思ったぞ!!!
まぁ、いいやけどな 止まってねーし
《いいのか?》
「心を読むのはダメだけどな」
そうこう話している内に親父の部屋に着く
「ん?そういや何で今日俺ここに来たんだっけ?」
やべ、思い出せねー
なんだっけか?
《なんだ、忘れたのか?》
「あぁ、ごめん忘れちまった
親父のせいだけど」
《ならちょうど良い
思い出すまで我の話を聞いてゆけ》
「別に構わないけどよ
自由すぎね?」
《今日、何と末っ子が!リーヴァが仕事し 我にお土産までくれたのだ!!!》
聞いてねーな
「あぁ?リーヴァ?……誰だ?そいつ」
聞き覚えの無い名前に頭を捻ると親父が火が着いたように語りだす
《百年ぶりの子だ!!
あの人見知りだが好奇心
を抑えられずにこちらを窺ってくる瞳……猫のようで全くもって愛らしい!それでいてーーー略ーーー》
なげー…話なげーよ!!
「あーわかったわかった
全くもって素晴らしくて可愛らしい子デスネ」
半分以上聞いてねーがな
《聞けよ》
「だから、心読むなって」
《「…………」》
お互い無言で見つめ合う
俺は何ともないんだが、親父の目が少し潤んできた(どんだけ自慢してぇの?!)
「ハァー…(……仕方ねぇし腹くくるか)すまん親父、もう一度話してくれ」
パァァア!!《し、仕方ないな!
プロクス!次は聞き逃すなよ?》
何でだろ胃が痛てー…
炎神は基本的に愛すべきお馬鹿ちゃんだったのですが、何故か胃痛要素も持ってしまった……!
そのうち絶対胃に穴が空くよ、この子……
続きます