2
私は今、末っ子ちゃんと向かい合いテーブルを挟み座っている
互いには沈黙しかない
しかも、いつの間にかお父様が末っ子ちゃんの隣を陣取っていた
《流石にそこまででは無いだろ、頑張ってみろよ? ほら》
あらあら、お父様ったら楽しそうにしちゃって……
「あ、それパパが言っちゃう? っていつの間に?!隠密か!」
《凄いだろ?》
……まるでコントね、これ
「ねぇ、良いかしら?」
やっと話が途切れ、何となく緊張感のある空気のなか勇気を出し話しかけてみる
「……どうぞ」
「ありがとう」
「色々聞きたい事があるんだけれど、取り敢えず貴 方それが素?」
まずは確認
これをしなきゃ話がいっこうに進まないわ
「あの……それとは?」
「全部よ、門前からさっきまでの」
緊張して言葉がかたくなる
これじゃあ、ただの意地の悪い奴じゃない!
「はい、……すみません」
あぁ、ごめんなさいね
本来なら私が謝るべきなのにっ!
こんな自分に腹がたち顔に力が入る
「別に謝れとは言ってないわよ! それより、お父様の時と随分テンションが違うわね ?ーーなんでだよ?」
「……」
《はぁー…、おい、止めてやれザハル》
「だってぇ……お父様」
あまりにも自分が情けなくって苛立っていたら、ついつい男が出してしまい末っ子ちゃんをびびらせてしまった 最悪だわ
《こいつは照れ屋でなそのうちお前とも打ち解けるだろう、今はこれで勘弁してやれ》
嫌!そのうちじゃあ遅いの!私は今から仲良くしたいの!可愛がりたいんだよ!
「嫌よ!ねぇ、聞いて?油神、私別にいじめる気もからかう気も無いのよ?寧ろ初めっから可愛がる気満々だったんだから」
「……え?」
本音を話すと驚く末っ子ちゃん
まぁ、嫌がらせに近い態度とっておいて可愛がる気だったなんて言ても誰だって驚くわよね……
「そう!その態度よ!おどおどして!別に取って食 いわしないし、話そうにもフードで顔見えないから 目も合わせられないしでイライラしてたのよ!他に も理由あるけど!」
水神達のイタズラだと思ってあんな風なひどいことをしたなんて、私がバカみたいじゃない!
末っ子ちゃんのこれ以上情けない私を知られたくなくって
頭を急ピッチで働かせて弁解を紡ぐ
「それで、あれですか」
きっと、初め渡したラベンダーを思い出したのだろう
僅かに声が硬い
「まぁ、私も悪かったけどね? 本当なら末っ子が出来たって知って最初に可愛がり に行こうと思ったのに、お父様が独り占めしてるし !お家が出来たって言うから行こうとしたら迷走の 樹海で行けないし!やっと会えたと思ったらこんな ってあり?!って思ったら八つ当たりしちゃったの よぉ、ごめんなさいねぇ?お兄ちゃんが悪かったわ ぁ!謝りたくて決死の覚悟で今日貴方の家に行こう と思ってお土産持ってきたのよ? ………お願い許してぇ~!」
末っ子ちゃんにこれ以上嫌われるのが耐えられずに
情けないことに最後の方なんか懇願に近い泣き言を言ってしまった
本末転倒だわ、絶対に呆れられた
「お、俺もごめんなさい、ーーーー兄様」
そんな情けない私を末っ子ちゃんは兄様と呼んでくれた
貴方が謝る必要なんて無いのに…!!
なんて優しいの!
「もう、良いのよぉ!!
流石、私の弟本っ当にかわぃいわぁ!
ほら、もっと顔を見せて?」
嬉しくて力一杯、ごめんなさいとありがとうをこめて抱きしめる
するとおずおずと私の背中に手を回す末っ子ちゃん
な、なんなのこの可愛い生物は!
以外と華奢なのね…
背なんか私と頭1つ分くらい違う
「……うん……ありがとう」ボソッ
んなとこを考えていると微かに声が聞こえた
「ん?何か言った?えーっと…」
「……リーヴァです、兄様」
聞こえなかったので聞き返したが、その前に末っ子ちゃんの名前を聞きたくなり
わざとらしく詰まる
「リーヴァね?良い名前じゃない! 私は、ザハルよぉ!よろしくねぇ~!」
リーヴァ…!!リーヴァっていうのね!
可愛い名前じゃない!
お父様Nice!
《仲良きことは美しかな、だな》
ーー仲良くしたいの!マイブラザー!ーー
リーヴァがちゃんと迷走の樹海で暮らせているか見ておかなくちゃね
取り敢えずは危険がないか、特に何も無かったとしたら何故今まで遣属精霊が命を落とすことになったのかを調べるべきね……
泊まりせてって言ったらOKしてくれるかしら?
花神視点 終了
はじめての他視点なので、わかりにくいと思いますがどうかご容赦を!
ちょっと詰め込み過ぎましたかね?