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後悔と驚愕そして既視感

花神視点


末っ子が生まれたと聞き飛び上がる位嬉しくすぐにでも抱きしめに行きたい衝動におそわれた


だって、あの事件から百年間

ピタリと神が生まれ無くなってしまったんですもの


当たり前でしょ?


それでも行かなかったのは、この百年一番苦しんだであろうお父様にーーあの人はけしてお父様を この世界を怨んでなんかいない、だから新たな神が生まれたんだーーそう知って欲しかったから



次の日、お父様に末っ子はどこに居を構えるのか聞きに白亜に輝く城に訪ねた


運良くお父様は仕事がちょうど終わったらしく、すぐに部屋に通してもらえた


けれど、お父様の口から出たのは耳を疑うような言葉だった


《あの子は迷走の樹海に住むことになった》


危うく出かけたお父様への非難の言葉をどうにか飲み込み、問い詰めた


「どうして?!

あんな危険な地に生まれて間もない子を送るなんて……!」





《危険な地等ではない》





「けれど!実際に何人もの遣属精霊が命を落としているのよ?!」





《だとしてもだ!!

……あの子なら大丈夫な気がするんだ》





私は、弱々しく呟いかれたその言葉をただ受け止めるしか出来なかった


「お父様」


《頼む、あの子ならリーヴァならきっと……!》






「ーーわかりました、この件に関して暫くは何も言いませんし口外もしません

けれど、もし本人が助けを求めたとしたら私が末っ子を引き取るわ それで良い?お父様」




《あぁ、ありがとうザハル》


「お父様、末っ子は何を司る神なのですか?」


《油神だ》


「は?」


《…だから、油の神だ》



自衛の手段もないあるわけのない生まれて間もない神、しかも油の神


何が出来ると言うのか


きっと、すぐに助けを求めるーーもしくは逃げて来ると思っていた


しかし、それは思わぬ形で裏切られることになった












その日から1週間後、私の屋敷に1人の不審者がやって来た


初めは水神か風神のイタズラと思い


乱雑な態度で、枯れたラベンダーを握らせ追い返した


今、考えれば水神達がそんなまどろっこしいイタズラをする訳が無い


そもそも、ラベンダーなんて花の名前知っている筈が無いのだ バカなのだから(毒舌!)


マジであの時の自分を殴ってやりたいわ!

もっと冷静に考えてみろってね!


けれど、あの時の私は迷走の樹海にいるであろう末っ子で頭がいっぱいだったのだ


不審者と称した、その人物が油神だと名乗ったのを聞き流してしまうくらいに






それに気付いたのは次の日のことだった







また懲りずに不審者は来た


どうやら、本当にラベンダーが欲しいらしい


仕方ないので自分のガーデニングルームに案内しさっさと帰らせようとした



ラベンダーさえ渡せば帰るだろう

そんなことを考えながら歩いていると


ガーデニングルールに着いたすると

後ろから声が聞こえた


「……凄い、常春だ」


自分の育てた花たちを褒められて嬉しくない筈がない訳で、自然と緩んでしまう口元


「っ当たり前よ、私、歩くの疲れたからあんたが自 分ですきなだけ採って行きなさい!」


なんて、口走って近くにあったイスに腰をおろす


そうすると、不審者…おそらく遣属精霊だろう、はお礼を言ってラベンダーを摘み取っていった












それにしても自らの遣属精霊を使ってあんなイタズラするなんて…!


そういきり立ちながら水神達の元を訪ねた





「ねぇ、貴方達

私に何か言うことは無い?」


「はぁ?ねーよ」


「俺も~」


「本当に?」


「本当だよ!なんだ?今日なんかお前おかしくね?」


「いいえ、ごめんなさいね

私の思い違いだったみたい」


……一応長い付き合いなので、こいつらが嘘を言っているかいないかくらいはわかるつもりだ、今さっきのあいつらは嘘をついている素振りなんてしなかった


そうなると、あの不審者はいったい誰?


「そういやさ、お前らはまだ見たことないかもしんねーけど新しく生まれた奴がいんだろ?」


「えぇ、……こっちに来たの?!いつ?!どこにいるの?!」


「はっ?どうしたザハル

嫌に末っ子を気にかけてんな」


ニヤニヤとこちらを見てくる水神


このままだと色々根掘り葉掘り聞かれてお父様との約束を破ってしまいそうなので

平静を取り繕って答える


「百年ぶりの子よ?顔ぐらい見たいに決まってるわ!」



「ふーん…あっそ」


本当に納得はしてないようだか、形だけ納得はしてくれたようだ(興味が無くなっただけなんだろうけど)


「でさ、そいつマジでキモくてさ!

ローブ着て

しかもしっかりフード被ってるから顔もわかんねーしマジ辛気くさくてヤバかったわー」


「(え?!ローブを着て、しかもフードで顔が見えないって

まさか!あの不審者……末っ子ちゃんだったのぉー?!!)」ガタンっ!


「あ?いきなり来て今度は帰るのか?ザハル」


「え~帰っちゃうの?」


「ごめんなさいね、大切な用事を思い出したの また今度ね」


そう二人に言うと私は足早で自宅に末っ子への謝罪の花束を創りに帰った





翌日、私は丹精込めて創った渾身の作を手に末っ子ちゃんの住む迷走の樹海へ向かい足を進める


帰ってこれるかわからないでもそれでも

やっと生まれた子に嫌われるなんて…!


嫌だわ!!絶対に!


意気込んでいると近くで何かが視界に入る


それはローブ着て、フードで顔をしっかり覆った末っ子ちゃん


「あっ!」


声をかけようとするが足早に動くその姿に

タイミングを逃してしまう


何とか話すタイミングを手に入れるためにあとをつける





すると末っ子ちゃんはお父様の城の目の前に立ち止まり見上げ始める


お父様に用事があるのかしら?


すると末っ子の後ろにいつの間にかお父様が


こちらに視線をよこし、静かにしていろとジェスチャーされだまって見守っていると



お父様が末っ子ちゃんに声をかける


すると(当たり前だか)驚いたようで

少し声をあげる


そんな様子にお父様は微笑ましそうにしながら抱きしめ(きぃーー!!私だってしたいのに!!)


顎を持ち上げた……っは?!


あの子、あんなに綺麗な顔立ちしてたの?!



それより…あの瞳!あの人と同じオリーブ色だなんて!!



驚いていると、末っ子は私と話していた時と全く違った様子でお父様と話している




あの子、あんな風に話せるのね……





落ち着きを取り持ちながら、それと同時にあの子と私の距離感を感じる



だが、独り黄昏ていても何もはじまらないので接近し、取り敢えず思ったことをぶちまけることにする









すみません、長くなってしまったので

一旦切ります

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