おわラセンかいだん
螺旋階段が続いている。
それはもう異常なまでの長さだ。
上を見上げれば、まだまだ続く階段の永遠さにため息が漏れる。
下を見下ろすと、一段目がもう見えない程に遠く、今まで登ってきた疲れが押し寄せる。
辺りを見渡すと、同じような螺旋階段が何本も見えるばかりで、どうしようもない絶望感を味わう。
どこをどう見てもイヤになりそうなので、登り始めてだいたい2週間程した頃には何も見ずにただただ階段を登るようになっていた。
今日でかれこれ7052日目になる。
他に人はいない。
そろそろ自分の存在すらも本当に実在するのか疑い出してきた。
この螺旋階段を登ることに何か意味でもあるのだろうか。
こんな単調な生活をすることに何か意味でもあるのだろうか。
こんな、こんなこんなこんなこんな……
目の前の、と言っても階段以外に何も見えないのだが、風景の色が薄れていくのがわかった。
このままではおわってしまう。
とりあえず一気に駆け上がってみた。
疲れた。
なんの変化も得られなかった。
結局なんの変化も得られなかった。
登って疲れて、いつも通りだ。
もう、一歩を踏み出す力も失せた。
いや、
変化ならあった。
よく見てみると、上の方に、遥か遠くの上の方に、何かがある。
何か、光が見える。
ような気がした。
そう、光が見えた気がした。
ただそれだけなのだが、ただそれだけでもう一度踏み出そうと思えた。
光はどこにあるのかなんて分からない。検討もつかない。
でも、見えてしまったのだから仕方が無い。登ってやろうじゃないか。
辺りを見渡すと、同じような螺旋階段が何本も見えるばかりで、どうしようもない絶望感を味わう。
下を見下ろすと、一段目がもう見えない程に遠く、今まで登ってきた疲れが押し寄せる。
上を見上げれば、まだまだ続く階段の永遠さにため息が漏れる。
ただ、その先に光が見えた。
じゃあ、もう少しだけ頑張ってみよう。