腹減る者
私はお腹がすいたので、買ってきたドライカルパスを食べた。
もぐもぐと食べた。
目は、テレビに映るある国の風景を写していた。
やせ細った少年が、老婆と歩いていた。
年の割に身長が低かった。おそらく栄養不足だとのことだった。
道端に落ちた残飯を食べる青年がいた。
食べ物を買うお金がないからそうすると言っていた。
ガリガリに痩せた軍服の男達が力なく屯していた。
一人の男が痛そうしゃがみこむと、他の軍服の男がそれを蹴った。
食べたくても食べられない人間がこの国の外には沢山いる。
そう思いだしたとき、乱暴に腹を満たした自らに違和感を覚えずにはいられなかった。
私だって食べなければ死ぬ。
彼らに、何か食べさせてあげたい、そう思ってしまった。
しかし、それに対する現状の無力さも痛感してしまう。