神様に会う
真っ白な部屋、いや少しばかり俺の部屋に似ている。
「やっと起きたかい」
聞き慣れた声の方を見ると、自分より少しばかり年上の女性が立っていた。
神様だ、と俺は見て理解した。
見た目はいかにも神様という服装ではなくて、通っていた高校の女子用の制服を着ていた。
それでも、何となくだが声を掛けていた神様らしいと思えたのだ。
「意識がハッキリしないのか、それならもう一度……」
そう言って、どこから取り出したか分からないが、巨大な鉄槌を振り上げた。
「ハッキリしてる、ハッキリしてるから!」
神様はそうかといって残念そうに鉄槌を消した。
「君はいつも私の言葉を無視するのだな」
そうじゃない、ただそれを信じて行くのが嫌なんだ。
「まあ、君の信念やらにとやかく言うつもりはないが、少しぐらい話を聞いてくれてもいいんじゃないか?」
俺は黙っていた。あの時だって、神様は教えてくれた。
結果的に両親は亡くなってしまったけど、それでも……。
「私はあの時のことをすまないと思っている。もしあの時、私にもっと力があれば……とね」
神様は自分の手を見つめ、力強く握った。
「今ならば力がある。でも、それは君一人だけを違う世界へと遅れるだけ」
やはりまだまだだな、そう彼女は付け足して俺をみた。
「少年、君は新たな人生を望み、自らの願いを叶えたいか? ……それとも、死という何もない場所で新たな生を得るまでまつか」
そして彼女は言った。ひどく悲しげに、ひどく強がっているように。
「選べ少年、今君の進める道は二つだけだ」
だからだろうか、背中を押されるように俺は選択していた。
神様side
少年がいなくなった白い部屋に私はいる。
「……これでよかったのだろうか?」
一人ごちるけれど、誰として答えるものなどいなかった。
私は、元々あの世界にいるべきはずの神ではなかった。そしてただ自らのためだけに力を使ってしまった。
ただの自己満足。ただの傲慢。そう思えてならなかった。
「だが、そうせざるを得なかったのも事実」
あの世界の変革自体、世界自体が求めていた。
兵器のいらない平和な世界。そんな世界などないというのに。
魔法によって栄えた世界は、魔法によって衰退するのは目に見えている。
「いや、進歩し続けるのだったな」
人間は自らが神であるかのように傲慢な存在なのだから。
だが、私は神だ。傲慢なのもいつか赦されるだろう。
「君はどう思う?」
私は振り返り、先ほどこの世界に訪れた者に訊ねた。