番外編 シルビア
番外編第二弾です。
読まなくてもいいように本編は書くつもりですが、読めばより理解しやすいかと思います。
《注意》グロ&性的表現があります。苦手な方はご注意ください。
私は孤児院の前に捨てられていた。
『シルビア』と汚い文字で彫られた小さな木の破片と一緒に。
私がいた孤児院は東大陸の真ん中に位置する王国の王都にあった。王都は綺麗だ。だが中心から離れるとスラム街のようになっていて汚い。物乞いや死にかけた奴らがそこら中にいる。そんな所に小さな孤児院がポツンと建ってる。
孤児院には親を失った子どもや私のように捨てられた子がたくさんいた。生まれてまもない赤子から鼻を垂らしたガキまで、人間、獣人ごちゃ混ぜで一緒に住んでた。13歳になると孤児院を出ていくことができる。というより口減らしの為に出される。商家の下っ端として働くか冒険者になるかがほとんどだ。馬鹿なヤツは馬鹿なことして裏世界に引きずり込まれることもある。
私は冒険者になった。その辺の死にかけてるおっさんの剣を拾ってそれを武器とした。扱い方は自己流だ。周りの大人を見て覚えた。
片っ端から小さな依頼をこなしていき、その日暮らしの小銭を稼いだ。ソロ冒険者でしかもガキ、そして女ともなれば受けられる依頼も限られ、パーティーメンバーにも入れてくれない。
数年はそんな暮らしが続いた。
そしてある日依頼を探していたら声をかけられた。パーティーメンバーに誘ってくれたのだ。剣士を探していたようで、たまたま私の討伐依頼の様子を見かけたらしい。女剣士だしパーティー経験もないと伝えたが、そんなこと関係ないと受け入れてくれた。凄く嬉しかった。
パーティーメンバーは男3人と私だった。魔法使い、斥候、重騎士、そして剣士の私。バランスもよく順調に依頼をこなしていった。お金も貯まってきてその日暮らしをしなくてもいい日々が続いた。そして何より3人とも気のいい奴らで楽しかった。
そしてある夜、事件は起こった。
依頼を終えて帰ろうと思ったが夜になってしまうということで野宿をすることにした。見張りは斥候、重騎士、私、魔法使いの順でやることになった。
何事もなく見張りを終えて魔法使いと交代して眠りに入った。依頼が大変だったこともありすぐに瞼が落ちてきて眠った。
そして私は3人に襲われた。
後ろ手に縛られ、鎧も服も剥ぎ取られた。何度も何度も順番に交代しながら犯された。声を出しても周りには木々がざわめく音しかしない。そのうち口の中も犯されて声も出せず息も苦しくなった。
仲間だと思ってた奴らは、いやらしい目で上から下まで舐めまわすようにジロジロ見てくる。そして好き勝手に体を弄んでくる。
痛みと屈辱に耐えるしかなかった。大の男3人に女1人が勝てるわけない。自分の非力さを痛感した。
気づいたら奴らは消えていた。剥ぎ取られて散乱した服をかき集めて着て、打ち捨てられた鞄を見たら金も無かった。そして何より剣士の命である剣も盗られた。
涙も出なかった。自分の愚かさを恨んだだけだ。
それからはソロ冒険者に戻った。口調も態度も荒っぽくして男勝りになった。長い髪も切った。
だがソロ冒険者となると依頼も少ない。仕方なく他のパーティーと共同でやることもあったが、必ず女のいるパーティーと組んだ。フラフラとあっちこっちを渡り歩きながらその日暮らしで生きてた。
そしてフェルス王国にたどり着いた。
この国は魔族領とも接してるし依頼も多いと思ったからだ。予想通り魔物討伐の依頼が多い。しかも緊急のものが多いからソロでもOK。
私はここぞとばかりに依頼をこなした。死にかけた時もあったが、そのおかげで剣の腕が上達したし、金も入った。
大きな依頼を達成して金が入り、久しぶりに酒でも飲もうと酒場に入ったらそこに死にそうな顔したじーさんがいた。正確には顔色の悪い若い男だ。髭と顔色のせいでじーさんみたいだ。
辛気くせぇ顔した奴が酒場にいるなんて変だな、と思いながらカウンターに向かって酒を頼む。出てきた酒を一気に飲み干す。
「ぷはぁー!」
生き返るようだ。おかわりを頼もうとしたら隣から声がした。
「これをもう一杯ください。」
じーさんが私の分を注文したのだ。
「あんた奢ってくれんの?」
怪訝な顔で聞くと
「いい飲みっぷりだったのでつい注文しちゃいました。奢りです。どうぞ。」
と言って酒をくれた。
「わりぃな」
お礼を言って受け取る。
このじーさんが何者か分からない上に男には気をつけているから、飲みながらも気を緩めることはない。
暫く飲んでいるとじーさんが唐突に話し出した。
「あなたはシルビア殿ですね?単刀直入に言います。うちに来ませんか?」
私はむせた。それはもう酒を口から吹き出すかと思ったくらい。
「ゴホッゴホッ!…は、はぁ?」
そんな私が目に入らないのかじーさんは話を続ける。
「フェルス王国の騎士団に入りませんか?アレです。あのーほら…なんて言いましたか……あ!スカウトです!」
一人で話し続けるじーさん。ポカンとする私。
「とても剣の腕が立つと聞いてます。それに今回あなたが受けた依頼。実は私が依頼者なんです。腕前を確かめたくて。あははは。」
涼しい顔のままサラリと言った。しかも笑ってる。
「…あんた…何者?」
剣を手に取り、殺気を含みながら聞く。
「私はサントス。このフェルス王国の宰相です。」
と、じーさんは隠す素振りもせず素性を晒す。
あまりの素直さに肩透かしを受けた。だがそんな話信じる根拠がない。
残ってた酒を一気に煽り、
「悪いが他を当たってくれ。酒ごちそーさん。」
と言って私は酒場を出た。
次の日、依頼を探しに掲示板に向かうとそこにまたじーさんがいた。
「シルビア殿。この依頼とかどうです?」
馴れ馴れしく依頼書を指さして聞いてくる。
私はため息をついて
「これもまたあんたが依頼者か?」
と睨みながら聞く。
するとニコニコしながら答えた。
「ええ。そうです!報酬は倍にしますよ☆」
語尾に☆なんぞつけやがって。なんなんだこのじーさん。
「断る」
そう言って隣の依頼書を手に取る。そしてさっさとその場を去る。後ろで
「あぁ…振られちゃった〜」
と言ってるのが聞こえた。
それから毎日じーさんとはどこかで会う。依頼書の掲示板の前、依頼金受取場、酒場、宿の近く。毎日毎日よくもまぁ来るもんだ。
そして今日も掲示板の前にいる。
私は見えないフリをして掲示板を見る。どうせまた依頼を勧めてくるのだろうと思っていたが、今日は違った。
近づいてきたと思ったらいつものふざけた雰囲気はなく、真面目な顔で声を潜めて話し出した。
「南の国境で、とある3人を捕らえました。その3人は男性冒険者。女冒険者を探しているパーティーだそうです。そして仲間に入れて暫くすると襲い、金品をだまし取る犯罪者です。」
私はピタリと動きを止めた。というより金縛りにあったように動けなくなった。
「その3人にどんな判決を言い渡すと思いますか?」
じーさんが冷徹な目で聞いてきた。私が黙っていると言葉を続けた。
「強姦の罪は我が国では重い罪になります。そう。死刑です。」
心臓の音が体中に響き渡る。息をするのも忘れてしまった。
そしてじーさんは続ける。
「明日の昼過ぎに最終判決を言い渡します。城の門番に名を伝えれば中に通して貰えるようにしておきます。」
そう言うとじーさんは去って行った。
私はその日依頼を受けずに宿のベッドに潜り込んでいた。あの日のことを思い出して体が勝手に震えた。触られた箇所が汚く感じる。あの舐め回すような目で見られているような気がする。欲を吐き出した時の歓喜の声が耳にまとわりついている。脳裏に焼き付いたあの出来事が私を蝕んでいく。
翌日。私は城の前に来ていた。どうやってここまで来たのかも思い出せない。気づいたらここにいた。
深呼吸をしてから門番に声をかけた。
「あ…あの…私はシルビア…。その…えっと…」
名を伝えてその先をどう言えばいいか悩んでいたら、門番が奥の方に声をかけて人を呼んだ。
「この者はシルビアという。例の女だ。」
「あぁ。なら俺が連れていこう。」
奥から出てきた兵士が私を案内してくれた。
階段をのぼり、暫く真っ直ぐな廊下を進む。そしてまた外に出ると腹くらいの高さの石塀の下を覗くように言ってきた。
「ここから下を見てみろ。そろそろ判決だ。」
私は恐る恐る近づいて塀から下を覗いた。
そこには開けた場所で、例の3人が後ろ手に縛られて跪かされていた。その視線の先には椅子に座った男、おそらく国王だろう。そして国王の隣にあのじーさんが立っていた。何か紙を持って読み上げている。
「この者らは、強姦、窃盗、詐欺の罪に問われています。被害者や目撃者、足取りなどを調査した結果、全て事実だと判明しました。」
なるほど。あのじーさん宰相って言ってたが本当だったのか。身なりも私と会った時とは違って宰相らしい服装だ。
すると宰相のじーさんが言葉を続けた。
「有罪となればこの場で死刑とし、即刻首をはねます。3人とも、口を開くことができるのはこれが最後となります。なにか言うことはありますか?」
その言葉を皮切りに緊張感がこの場を包んだ。
私は息を飲んで見つめた。
すると魔法使いが含むように笑いだした。
「ふっふっふ」
そして重騎士もニヤリとして
「俺らに異論はねぇ。間違いなく女どもを犯した。そんで金目のものを奪った。」
と言った。
今度は笑っていた魔法使いがニヤニヤしながら話し出した。
「俺たちがなんでこんなことをしたのか分かるか?王様よ。」
「王に口を聞くことは許していません。黙りなさい。」
と、じーさんが冷たい目で言い放った。
だが魔法使いは関係なさそうに続ける。
「あの自信に満ちた女どもがいざとなると弱々しく泣いて懇願してくるんだ。やめてくれ…許してくれ…とな。でも暫くすると大人しくなって甲高い声で鳴き始めるんだ!快楽に溺れるように吐息をこぼすんだぜ!中でもとびきりなのがな…ふっふっふ」
言葉を途中でやめて笑い出す。そしてニヤニヤとしたあの気色悪いじっとりとした目で言った。
「女剣士だ!黙って堪えてるんだよ!あんなに勇ましく戦ってたのに俺たちに好き勝手されて濡らしてる。屈辱に満ちた顔で感じてやがるのさ!」
「確かにな!つくとこに肉ついててケツの締まりも最高だったよな!はっはっはっ!」
魔法使いの言葉に思い出したかのように重騎士が豪快に笑いながら言葉を発する。
私は頭に血が上り耐えられず、剣を握り締めて塀から飛び降りようと塀に片足をかけた。その時、
「黙れ!」
と大きな声が響き渡った。
私だけでなくその場にいる誰もが硬直したかのようにピクリとも動かず静まり返った。
声を発したのは国王だった。椅子から立ち上がり魔法使いと重騎士を睨みつけている。
「今発言をした2人に判決を言い渡す。有罪だ。即刻打ち首に処せ。」
すると兵士が集まってきて2人を後ろに引きずっていく。ギャーギャー騒ぐ2人など関係ないかのように体を押さえて固定し、ヒュッという風を切る音がしたと思ったらボトリと首が転がった。首が転がっても体はまだピクピクとしていた。
私はただそれを眺めていた。剣を握ったままの格好で。あまりのあっという間さに動けなかった。
そして再び発した国王の声にようやく我に返った。
「さて、斥候として同罪の罪に問われているお前は言うことがあるか?」
そうだった。もう一人いたのを忘れていた。
やつを見ると、顔面蒼白でガタガタと震えてひれ伏している。
「王の問いに答えなさい。」
宰相のじーさんが静かに言うと、斥候は震える声で言った。
「あの2人と共に罪を犯しました。被害者の人たちには申し訳ないことをしたと反省しています。」
その言葉を聞き、今度こそ私は塀から飛び降りた。
さて、どうしたものか。この者は反省しているように見える。ここに連れてこられた時からあの2人とは違って黙り込んでいた。捕らえた時も素直にいうことを聞いていたと報告があった。
そして今の反省の言葉…。このまま同じように打ち首か…償いの為に働かせるか…悩むところだ。
「国王様。いかがなさいますか?」
サントスの言葉に、うむ、とだけ返事をした。
すると兵達が騒ぎ始めたと思ったら1人の女性が現れた。剣を片手に持ち、堂々とした姿で私の前に跪いた。
「国王様。突然のことお許しください。私は冒険者をしておりますシルビアと申します。」
シルビアと名乗る女性が出てきたと思ったら隣のサントスが、あっ!と言った。チラっとサントスを見ると、困ったような表情で耳打ちしてきた。
「腕の立つ剣士でスカウトしようと狙っていました。彼女も被害者です。」
彼女も被害者だと?!被害者の女性たちは皆苦しんでいて再び冒険者になろうとはしなかったと聞いている。だが彼女はまだ冒険者として剣を持っている。そしてこんなにも堂々とした姿で現れたというのか。
斥候の男を見ると目を見開いてシルビアを見つめている。あの様子だとシルビアの事を覚えているようだな。
「シルビア。何か言うことがあってここに来たのだな?」
私が問うとすぐに
「はい。」
と凛々しい声が返ってきた。
私は椅子に座った。するとシルビアが話し出した。
「この者の罪は一生消えません。この先ずっと罪人として苦しみながら生きていくでしょう。私もそうです。苦しみながら生きてきました。だからこそ、この者を生かしたまま苦しめて欲しいのです。」
私はサントスに向かって頷いた。
サントスはそれを察して
「ではこの者を釈放せよ…と?」
とシルビアに聞いた。
「いいえ。この国では罪人を騎士団で働かせるという処罰があると聞いております。もし叶うならこの者を騎士団の捨て駒として使ってはいただけないでしょうか?そして私も騎士団に入団して監視します。サントス宰相。あなたのスカウト…お受けします。」
シルビアの言葉にサントスが笑ったような気がした。
なるほど。サントス…これはお前の策略だな?シルビアを入団させる為にこの罪人達を利用したのか。たまたま捕らえたのか探し出して捕らえたのかは分からないが…。全くうちの宰相は困ったものだ。
私は立ち上がって深呼吸をしてから声を発した。
「シルビアの申し出を受け入れよう。この者は罪人として我が騎士団に入団させる。そしてこの者の直属の上司をシルビア、お前に任せる。サントス。後のことはお前がやってくれ。」
私はそれだけ言ってこの場を離れた。サントスとシルビアが頭を下げ、斥候の男が泣いてひれ伏しているのを横目に見ながら。
「シルビア殿。」
顔をあげるとじーさんが目の前まで来て立って見下ろしていた。
私は立ち上がり斥候の男を見る。そいつは泣きながら私に何度も謝っていた。それと感謝の言葉も言ってた。連れていかれるまでそいつを見送ってからじーさんに向き直った。
「しつこい男は嫌われるぞ。」
と言ってやった。するとじーさんはいつもの笑顔で
「しつこくしないと振り向いてくれない女性もいますからね。」
と言った。
私は、ふっと笑って
「そうかもな」
と言ってあげた。
「さて。シルビア殿は騎士団として入団されました。とりあえず衣食住は完備です。部屋も準備させておきますのでまた明日の朝、城に来てください。それまでに俗世との別れはしっかり済ませておいてくださいね。」
「俗世との…別れ?」
私の問いにじーさんはニコニコしただけで答えてくれなかった。
翌日。城に来て、形ばかりの入団試験をしてから部屋に案内された。部屋には騎士団の服も揃っていてベッドもあるし広めで結構くつろげそうな部屋だった。
身だしなみを整えて騎士団の元に向かう。
訓練場に入ると士気の高い声を張り上げながら訓練をしていた。人間、獣人、色んな奴がいた。
「あなたがシルビア殿ですね。」
突然声をかけられてビビった。そこには背の高い顔の整った男が立っていた。
「私はルーク。この騎士団の副団長を務めています。騎士団も人数が多くなってきてますが女性は初めてです。何か不便なことがあったら言ってください。」
「あ、あぁ。よろしく。」
えらく整った顔してんなこの男。世間じゃ相当モテる部類なんだろうな。私は全く興味ないけど…。
そんなことを考えながら短く返事をした。
その後、一通り騎士団のことを説明された。男所帯で小汚い部分もあるが割と掃除も行き届いてるし居心地の良い場所だ。そして一日のスケジュールや騎士団の掟なんかを聞いていて、昨日じーさんが言ってた事がようやく理解できた。
『俗世との別れ』
朝から晩まで訓練と武器や用具の整備。飯は1日3回食堂でとる。夜も見張りが当番制で3日に1回は回ってくる。休みは申告制だが、城下町の外に出てはいけない。緊急出動があればすぐにでも行かなければならないから気が抜けない。しかも魔族領と接してることもあり緊急出動が多い。
確かに俗世との関わりはほとんど持てない。
その話を聞いていてついルーク副団長に聞いてしまった。
「こんな生活してて息詰まらない?」
すると首を傾げて
「いいえ。私は家族とかいないので特にそう思ったことはありません。」
と言ってきた。
こいつ…根っからの騎士団向きだ。掟に縛られる事になんの躊躇もない。遊び歩くとか考えすらしないんだろうな。
「あっそ…」
変なやつだな。副団長。
入団してから数年後。騎士団は第一騎士団と第二騎士団に別れた。第一騎士団は精鋭部隊で昔っからのやつが多く、腕の立つ者はそこに配属された。第二騎士団は入団したばかりのやつや罪人が多い。
私は第二騎士団の副団長になった。
ちなみに第一騎士団の団長はルークだ。今まで騎士団長だった奴が第二騎士団の団長となった。ルークと団長…配属先逆じゃね?とか思ったけど口には出さなかった。団長はおっさんで妻子持ちだから第二騎士団に入りたかったんかな?とか勝手に思ってる。尻に敷かれてるようなイカついのに優しいおっちゃんだからなぁ。
そういえば、あの斥候の男は第二騎士団の下っ端として働いている。
「おい!斥候!ここの武器庫の整理しとけよ!」
「シルビア副団長…その呼び方なんですが…」
「私の中でお前は斥候なんだよ。今更名前とか呼べない。」
「は、はぁ…じゃあ斥候でいいです…。」
結構いい感じの関係性だと思ってる。ルークには
「あれでいい関係とは言えない」
とか言われたけど気にしない。どこがダメなのかサッパリだ。
「おーい!シルビア!これどうすんだっけかな?」
「団長…前も教えただろ。これはこっちだ!」
「はっはっはっ!おっさんになると忘れっぽくていけねぇな!そろそろ引退してぇなぁ。」
「ボヤいてねぇで手を動かせや!ボケっとしてると娘に嫁がれちまうぞ。この間デートしてるの見たわ。あれ彼氏?」
「なにっ?!彼氏なんて知らねぇぞ!どこのどいつだ!」
「…あ、やべ。これ言っちゃいけないやつだわ。まぁいっか。」
団長が騒いでるけど放置して病弱宰相の所に向かう。また風邪引いたとかで寝込んでるらしいが今日中に確認しとかなきゃならない事が沢山ある。
全くうちの国はめんどくせぇ男ばっかだな。
途中で指示…というかサボってるヤツらに喝入れながら歩いていく。
「今日も天気いいなぁ。夕飯にこっそり酒でも出してもらおうかな。食堂のおばちゃんに言っとこー。」
騎士団の掟に反するけどバレなきゃいいのだ。
少しの楽しみを胸に抱きながら城へと歩みを進める。
最後までお読みくださりありがとうございます。
感想、レビュー、評価など頂けたら励みになります。誤字脱字、読みずらいなどありましたらコメントください。日々精進です。




